2020年3月29日日曜日

■人の光を、解き放つ 振付家MIKIKO

■出演:MIKIKO
■(NHK,2019.2.4放送)
■「プロフェショナル仕事の流儀」で「バレエダンサー岩田守弘」に続き「振付家MIKIKO」を観ました。 Perfumeの2018年全国ツアーを映した番組です。
MIKIKOの振付は歯切れが良く「当て書き」があるので有名J-POPには最適です。 彼女の振付を生舞台で観たことがない。 いつも映像それも断片です。 それでも脳味噌がピクピク喜ぶので無視できません。
彼女の振付の裏には日本舞踊がみえる。 手の動きや歌詞との連携、身体への意味づけなどリズムは違うがそれを感じます。 リオ・オリンピック閉会式はまだ記憶に残っている。 東京オリンピック開会式も担当するようですが、当番組をみて照明や映像も駆使でき総合芸術家として大成していることに納得しました。 開会式が(延期になっても)楽しみですね。
*NHKサイト、https://www.nhk.or.jp/professional/2019/0204/index.html

2020年3月28日土曜日

■じゃじゃ馬ならし(中止)

■作:ウィリアム.シェイクスピア,演出:ジャスティン.オーディバート,翻訳:小田島雄志,出演:アマンダ.ハリス,ジョセフ.アークレイ,ジェームズ.クーニー他
■東京芸術劇場.プレイハウス,2020.6.12-14
■6月公演も中止とは! イギリスも大変ね。 久しぶりのRSC英国ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー公演だから早々にチケットを購入したのに・・。 中止は12本目。
*劇場サイト、https://www.geigeki.jp/performance/20200612p/

2020年3月27日金曜日

■コーカサスの白墨の輪  ■馬留徳三郎の一日(中止)

□コーカサスの白墨の輪
■作:ベルトルト.ブレヒト,演出:レオニード.アニシモフ,劇団:東京ノーヴィ.レパートリーシアター
■梅若能学院会館,2020.5.24
■今朝メールを開けたら、「新型コロナウィルス感染拡大の状況が世界的に長期化の様相を呈してきたことから苦渋の決断ではございますが、5月までの公演はすべて延期とさせて頂く事になりました」。 5月も駄目かな・・。 中止はこれで10本。
*劇団サイト、http://tokyo-novyi.muse.weblife.me/japanese/pg564.html
*「このブログを検索」に入れる語句は、 アニシモフ
□馬留徳三郎の一日
■作:高山さなえ,演出:平田オリザ,出演:田村勝彦,羽場睦子,猪股俊明ほか
■座高円寺,2020.4.4-12
■午後一番のメールで、「新型コロナウイルス感染拡大防止に関わる杉並区の方針に基づき、座・高円寺は4月12日(日)まで休館を継続することとなりました。期間中に開催される青年団プロデュース『馬留徳三郎の一日』公演は中止とさせていただきます・・」。 11本目の中止。 4月前半は全滅に近い。
*青年団プロデュース公演
*尼崎市第7回「近松賞」受賞作品
*劇場サイト、https://za-koenji.jp/detail/index.php?id=2285
*「このブログを検索」に入れる語句は、 平田オリザ

2020年3月25日水曜日

■DANCE to the Future 2020  ■ジュリオ・チェーザレ(中止)

□DANCE to the Future 2020
■振付:渡邊峻郁,木下嘉人,福田紘也,木下嘉人,貝川鐵夫,髙橋一輝,福田圭吾,アドヴァイザー:遠藤康行
■新国立劇場.THE PIT,2020.3.27-29
*劇場サイト、https://www.nntt.jac.go.jp/dance/dtf/
□ジェリオ.チェーザレ
■作曲:G.F.ヘンデル,指揮:リナルド.アレッサンドリーニ,演出.衣装:ロラン.ベリー,出演:アイタージ
ュ.シュカリザーダ,駒川敏章,加納悦子ほか
■新国立劇場.オペラパレス,2020.4.7-12
*劇場サイト、https://www.nntt.jac.go.jp/opera/giuliocesare/
■新国立劇場公演中止はチケ購入分で初めて、しかも4月度が対象になったのは痛い。 上記2本を含めて中止は合計9本になってしまった。

2020年3月24日火曜日

■パリ・オペラ座ダンスの饗宴

□デフィレ■出演:アマンディーヌ.アルビッソン,エミリー.コゼット,オーレリ.デュポン他
□エチュード■振付:ハラルド.ランダー,音楽:カール.チェルニー他,出演:ドロテ.ジルベール他
□くるみ割り人形■振付:ルドルフ.ヌレエフ,音楽:チャイコフスキー,出演:ミリアム.ウルド=ブラム他
(以上の3作品□を上映)
■東劇,2020.3.20-(オペラ.バスティーユ,2014.10収録)
■「デフィレ」はパリ・オペラ座バレエ団員と当生徒の250余名が舞台の奥から前へ行進するだけの内容なの。 パレードに近いわね。 プルミエ(ル)は簡単な挨拶ができる。 フィナーレの全員でのポーズは圧巻。 一度は観ておきたい作品よ。
「エチュード」は練習の基本から応用、組み合わせを複雑に、そして超絶技巧へ淡々と進めていく流れなの。 組体操のような場面もある。 飽きが来るのは単調だから? そして音楽が硬すぎる。
「くるみ割り人形」はファンタスティックな舞台になっている。 この作品は演出や振付に多くの版があるから毎回楽しめる。 これはヌレエフ版らしい。 でも編集で途中が切られている。 忙しない感じがした理由かな? 「くるみ割り人形」は組み合わせが悪い。 別の作品に替えれば前の2作品がより映えると思う。
*パリ.オペラ座バレエ.シネマ2020作品
*映画comサイト、https://eiga.com/movie/92606/

2020年3月20日金曜日

■英国ロイヤルバレエ、茜と亮一プリンシパルの輝き

■出演:高田茜,平野亮一,ケヴィン.オヘハ,レスリー.コレア,吉田都,リポーター:遼河はるひ
■(NHK,2018.3.10放送)
■バレエ教室に通っている子供たちが観たくなる内容です。 ロイヤル・バレエの紹介映像と言ってよい。
プリンシパル高田茜、平野亮一にインタビューをするのは遼河はるひ、吉田都が付添として参加します。 そして「くるみ割り人形」のパ・ド・ドゥを二人が練習し本番をむかえるというストーリーです。 
ロイヤル・バレエの親密なドラマチック・バレエは最高です。 特に「くるみ割り人形」は他舞団を圧倒している。 クリスマスツリーがニョキニョキ高くなる始まりの場面ではいつもドキドキしますね。 ここは省いていましたが。 季節外れのクリスマス気分に浸れました。
*NHKサイト、https://www6.nhk.or.jp/nhkpr/post/original.html?i=13620
*「このブログを検索」に入れる語句は、 高田茜 平野亮一

2020年3月18日水曜日

■シェルカウイ 踊りで世界を救う、41日の闘い

■監督:清水真紀子,出演:シディ.ラルビ.シェルカウイ,ディミトリ.ジュルド,ファビアン.トーメ,ジョニー.ロイド,パトリック.ウィリアムズ,パク.ウージュ,吉井盛悟ほか,ナレーション:森山未來
■(日本,2016年)
■アントワープ出身シェルカウイが演出した「FRACTOS Ⅴ」の作成過程をドキュメンタリーにしている。 毛色の違うダンサー5人と演奏家3人が登場する。 シェルカウイ自身もダンサーの一人として踊る。
「情報が人を操作する世界」を描く。 情報が蔓延する世界は真実や事実から遠く離れてしまった。 言語学者チョムスキーが出処らしい。
シリア難民やベルギー連続テロなどを舞台に乗せて混乱していく様子をストーリーにしているようだ。 西洋と東洋の融合も考えている。 フラメンコ舞踊ファビアンと和太鼓吉井の練習風景が長々と続く。 フラメンコと太鼓の組み合わせは面白いが、二人の動きがどうしても合わない。 結局は大人の都合(?)で折り合いが着く。
シェルカウイは言う。 「・・過去を壊すこと手放すこと、そうすれば新たな生命が生まれる」。 「アートは既存システムを壊すためにある」。
スローモション風の振付だった「PULTO」を思い出してしまった。 この振付がシェルカウイのものだと分かる。 今回もダンサーたちがゆっくりと動き重なり探り合っていく親密な振付になっている。 本番舞台は数分しか映らなかったので何とも言えないが。 独特な身体動作に現代テーマを絡ませる彼の作品は当分目が離せない。
*SPICEサイト、https://spice.eplus.jp/articles/52773
*「このブログを検索」に入れる語句は、 シェルカウイ 森山未來

2020年3月15日日曜日

■悔しさを、情熱に バレエダンサー岩田守弘

■出演:岩田守弘,茂木健一郎,住吉美紀,語り:橋本さとし
■(NHK,2008.12.9放送)
■「プロフェッショナル仕事の流儀」第104回番組です。 先日観た「バレエの王子」の続編のような内容でした。 どちらも日系ダンサーが主人公だからです。 ボリショイ・バレエ団ソリスト岩田守弘も低身長で主役になれない。 しかも肉体の衰えと闘う38歳。
最初の舞台が熊の縫いぐるみを被った役だと知った彼のショックが伝わってきました。 それでも彼は舞台を熟す。 「人より三倍のレッスンを課す」でも「役が回ってこない」苦しみが続く・・。 「一つの役に10人のライバルがいる」。 ボリショイの厳しさですね。 次にショスタコーヴィチ「明るい小川」の脇役で踊る練習風景と本番映像が紹介されます。 訪れたチャンスに彼は手を抜かない。
茂木健一郎がインタビューをしますが話が弾まない。 岩田はサラリーマンの古き良き精神を持っているように見える。 組織に対して真面目で順応です。 キャラクター・ダンサーとして生きていく道をいつも探している。 茂木健一郎はそれを感じ取ったのかもしれない。 ダンサーである父親からの教えでしょうか? 
岩田の行動の背景には硬直したソビエト、そして舞団にも原因が有る。 「明るい小川」に出演できたのもペレストロイカのお陰だと彼は言っている。 岩田の履歴を調べると、退団後は国立ブリヤート・オペラ劇場芸術監督に就任し、ウクライナ独立派のバレエフェスティバルに参加してウクライナのブラックリストに載ってしまった(WIKIより)。 管理(経営)者としての行動でしょう。 彼は優秀なダンサー以上に組織で生きていく人として当番組に登場するだけの中身を持っています。
*NHKサイト、https://www.nhk.or.jp/professional/2008/1209/index.html

2020年3月14日土曜日

■マザー MOEDER(中止)

■演出:ガブリエル.カリーソ,ドラマトゥルク:フランク.シャルティエ,出演: ユルディケ.デ.ブール,シャルロット.クラメンス他,舞団:ピーピング.トム
■世田谷パブリックシアター,2020.3.19-21
「ピーピング・トム『マザー』につきまして、新型コロナウイルス感染症の拡散防止のため、やむなく中止・・」。 ニャオーン! ついに来てしまった、あれだけ開催を頑張っていたのに・・。 7本目の中止よ。
*劇場サイト、https://setagaya-pt.jp/performances/moeder202003.html

■フリーバッグ FLEABAG

■作:フィービー.ウォーラー=ブリッジ,演出:ヴィッキー.ジョーンズ,出演:フィービー.ウォーラー=ブリッジ
■シネリーブル池袋,2020.3.13-19(ウィンダムズ劇場,2019年収録)
■これは芝居というより、どうみても漫談だろう。 作者自身が舞台に一人立つ。 実際には高椅子に座り続けるのだが一人十役はこなす。 いや、役より物真似に近い。 主人公は当にフリーバッグの意味に近い性格だ。 世界に対して、そして性に対して必要以上に奔放にみえる。
それにしても劇場(映像内)の観客はよく笑う。 よくみえないが女性の声が多い。 今日の映画館も若い女性が多い。 館内の笑い声も女性たちだ。 セックスを含め日常の出来事を直截に表現しているから取っ付き易いのだろう。 多くの話はカラッと乾いているから誇張に聴こえる。 でも主人公の姉が登場する場面はとてもリアルに語られていた。 作者には実在の姉妹がいるのかもしれない。 モルモットの話も同じだ。 子供の頃に小さな動物を飼っていたのだろう。 この二つは他と比較してネットリしていた。 
調べると海外テレビドラマシリーズでヒットしていることを知った。 女性たちが笑っていたのも納得した。 ファンなのだろう。 テレビは分からないが今日の舞台は漫談的演劇と名付よう。 やはり演劇を引きずっていたからだ。
*NTLナショナル・シアター・ライヴ作品
*映画comサイト、https://eiga.com/movie/92339/
*追記 3月初旬、・・別役実の訃報記事に目が行く。 彼の舞台を思い出そうと脳味噌がウロウロしている間に目の動きはマックス・フォン・シドーの訃報で止まった。 彼の出演した作品がパラパラと脳裏に飛び出してきた。 ベルイマンの記憶は前頭連合野にシッカリ保管されているようだ。 「戯曲より舞台が優先」から演出家と比べて劇作家は残らないのだろう。

2020年3月6日金曜日

■桜姫東文章(中止)

■演出:安田雅弘,出演:山本芳郎,倉品淳子,川村岳ほか,劇団:山の手事情社
■東京芸術劇場.シアターウエスト,2020.3.14-17
■6本目の公演中止で東京芸術劇場は全滅よ。 「スカーレット・プリンセス」の5月まで当劇場の観劇予定は無くなってしまった。 ところでスカプリの原作は「桜姫東文章」なの。 山の手事情社の舞台は観ておきたかった。
*劇団山の手事情社創立35周年記念公演
*劇場サイト、https://www.geigeki.jp/performance/20200314tw/

■縛られたプロメテウス Prometheus Bound

■構成・演出:小泉明郎,出演:武藤将胤
■港区立台場区民センター,2020.3.3-7
■観客は何もない室に通され、そこでゴーグルを付ける。 室内を動き回ることができる。 まもなくゴーグルに映像が映し出され科白が聞こえてくる。
モノリス立方体が現れたり光の矢が飛ぶモノクロ映像だ。 品質は良いとは言えない。 それより科白が気にかかる。 その言葉は身体が壊れ死が近づいているように聞こえる。 映像と溶け合って夢の出来事に感じられる。 迫りくる死の予行演習をしているようだ。 ・・。
ゴーグルを外し次室に案内される。 椅子とディスプレイが並べてある。 次の観客が窓越しに見える。 前室と同期しながらディスプレイに役者が映し出される。 なんと声の役者は車椅子に座った難病ALS患者(後になって知る)だった。
次の観客を視界に入れながら、映像の役者を見つめ、その科白に再び集中する。 日常の愛も語るが、壊れゆく肉体をサイボーグに変えることを徐に話し出す。 そこに思いがけない<希望>が見えてくる。 ・・。
前半は(観客が)夢の端で死を思い浮かべ、夢から覚めた後半は(役者が)愛を確認し未来に希望を託す(、それを観客が観る)構造になっている。 予想もしなかった内容に衝撃を受ける。 これは演劇なのか? 演劇的興奮は確かにやってきたからである。 崩れゆく肉体と死、他者とサイボーグ、愛と希望、すべてが己の(未来の?)身体と強く繋がっていたからである。
*シアターコモンズ'20参加作品
*主催者サイト、https://theatercommons.tokyo/program/meiro_koizumi/

■三つ折りの夜  ■Dance Speaks(中止)

□三つ折りの夜
■演出・出演:勅使川原三郎,演奏:庄司沙矢香,出演:佐東利穂子
■東京芸術劇場.プレイハウス,2020.3.6-8
■公演は延期。 スケジュール未定だから中止と同じかな。 マラルメの詩、沙矢香のヴァイオリン、そしてダンス、新次元の舞台を観たかった。 コロナウィルスが理由での中止は4本目。
*劇場サイト、https://www.geigeki.jp/performance/theater229/
*「このブログを検索」に入れる語句は、 勅使川原三郎
□Dance Speaks
■舞団:スターダンサーズ・バレエ団
■東京芸術劇場.プレイハウス,2020.3.13-15
■「緑のテーブル」(台本&振付:クルト・ヨース)、「ウェスタン・シンフォニー」(振付:ジョージ・バランシン)の二本立て。 残念ね。 5本目の中止よ。
*劇場サイト、https://www.geigeki.jp/performance/20200313p/

2020年3月1日日曜日

■ヴォツェック

■作曲:A.ベルク,演出:ウィリアム.ケントリッジ,指揮:ヤニック.ネゼ=セガン,出演:ペーター.マッティ,エルザ.ヴァン.デン.ヒーヴァー他
■109シネマズ二子玉川,2020.2.28-3.5(MET,2020.1.11収録)
■この映画館は音響が大き過ぎて耳を塞ぎたくなる。 実際、指で塞いで観ていたの。 手が疲れてしまったわよ。 METライブビューイングは大音響の館が多い。 配給元の指示で音量変更ができないらしい。 この理由で新演出以外は観なくなってしまった。 日比谷でROHロイヤルオペラハウスのライブビューイングを観た時はとても良い音響だった。 METはロック・ライブと勘違いしているんじゃないかしら?
この作品はスタッフの違いからキーワードがいつも動きまわる。 今回は「匂い」かな。 「酒の匂い・・」「血の匂い・・」「死の匂い・・」「・・の匂い・・」。 前回の舞台は「貧困」だった。 でも、どちらも苦しい言葉だわ。 子供が人形だと印象も違ってくる。
それと舞台がゴチャゴチャしていてまるで瓦礫の山のようにみえる。 その上から映像や照明を当てるから識別できない。 第一次世界大戦の混乱が肌で感じられるけどね。 でも映像を映像に撮るのは最悪よ。 画質は悪くなるし、カメラマンがその映像部分だけを撮るから全体の繋がりも断絶してしまう。
ライブビューイングにし難い舞台だった。 大音量もあって疲れてしまった。 次回からMETを観る時は耳栓が必要かもね。 もうオペラとは言えない。
*METライブビューイング2019シーズン作品
*作品サイト、https://www.shochiku.co.jp/met/program/2087/
*「このブログを検索」に入れる語句は、 ケントリッジ

2020年2月29日土曜日

■カノン(中止)

■作:野田秀樹,演出:野上絹代,出演:中島広稀,さとうほなみ,名児耶ゆり他
■東京芸術劇場.シアターイースト,2020.3.2-15
■「・・新型コロナウイルスの感染症拡大のリスクを低減する観点から、やむなく公演を中止・・」。 メールが届いたわよ。 チケ購入後の中止は3本になってしまった。
*劇場サイト、https://www.geigeki.jp/performance/theater227/
*「このブログを検索」に入れる語句は、 野上絹代

■星の王子さま

■作:サン=テグジュペリ,演出:レオニード.アニシモフ,テキスト:アリエ.ヴァレ,ムーブメント:山本光洋ほか,劇団:東京ノーヴイ.レパトリーシアター
■東京ノーヴイ.レパートリーシアター劇場,2020.2.28-3.1
■詩的な舞台です。 中世日本や古代中国の衣装を着て、暗い中をゆっくりと歩く役者にスポットを当て、発声は抑えて淡々と喋り、さり気なく形を見せる動きは様式の美学を感じさせます。
太夫らしき身なりの語り手が、下手に座って物語を進めていく。 王子だけ白マスクを被っての登場です。 合わせた白衣装がフランス映画で見るパントマイム芸人を思い出させてくれる。 上手に座っている音楽隊の着物も白系のようです。
「たいせつなことはね、目に見えないんだよ・・」。 科白の意味を全体の印象感覚から捕えようとしている。 原作を読んでジワッと感動していれば、その記憶が舞台印象と補足し合って深みが増すはずです。 先日の「宣告」とは逆ですね。 「読んでから観ろ、・・」が似合う舞台です。
*第30回下北沢演劇祭参加作品
*劇団サイト、http://www.tokyo-novyi.com/custom1.html

2020年2月28日金曜日

■ねじまき鳥クロニクル(中止)

■原作:村上春樹,演出・振付・美術:インバル.ピント,脚本・演出:アミール.クリガー,演出:藤田貴大,音楽:大友良英,出演:成河,渡辺大知,門脇麦,大貫勇輔ほか
■東京芸術劇場.プレイハウス,2020.2.11-3.1
■うーん、公演中止になっちゃったわね。 これで二本目よ。
*劇場サイト、https://www.geigeki.jp/performance/20200211p/
*「このブログを検索」に入れる語句は、 インバル・ピント

2020年2月27日木曜日

■シッラ Silla(中止)

■作曲:G.F.ヘンデル,台本:ジュアコモ.ロッシ,演出:彌勒忠史,美術:tamako☆,衣装:友好まり子,指揮:ファビオ.ビオンディ,出演:ソニア.プリナ,ヒラリー.サマーズ,スンヘ.イム他,管弦楽:エウローパ.ガランテ
■神奈川県立音楽堂,2020.2.29-3.1
■日本初演で楽しみにしていたが中止になってしまった。 チケット購入後に私事都合や主催都合で観られなくなったのは今年になって初めてよ。 出演者がインフルエンザに罹患しての中止は有るが感染防止理由は初めてね。 今のところこの一本だけ、でも長引くとやばい。
*音楽堂開館65周年記念作品
*劇場サイト、https://www.kanagawa-ongakudo.com/detail?id=36013

■亡霊たち、再び立ち現れるもの

■原作:ヘンリック.イプセン,翻訳・演出:毛利三彌,出演:久保庭尚子,西山聖了,中山一朗,高山春夫,藤井由紀,劇団:CAPI
■こまばアゴラ劇場,2020.2.20-3.1
■幽霊だとヒュードロドロになってしまう。 亡霊のほうが合いそうだ。 舞台を観ていたらストーリーも追うように思い出してきた。 奇妙な感覚だ。 気にかかったことをまとめると・・。
・母ヘレーネの息子オスヴァルへの愛がこんなにも盲目的だったのか!? ここに彼女の亡霊の源泉があるのかもしれない。
・オスヴァルを簡単に捨てるレギーネの竹を割ったような性格に戸惑ってしまった。 二人は外の世界へ行こうとしていた同志だ。 外れたオスヴァルはもはや不要になったのか!?
・オスヴァルが終幕に母ヘレーネと駆け引きをするのは芝居が過ぎる。 母と子の対話で腑に落ちない場面が幾つかあった。
・孤児院の火災原因は大工エングストランの煙草ではないのか?  エングストランの態度と科白の裏側はそう言っていた。 牧師のマンデルスの態度も平凡すぎる。
・・などなど。
隙のない舞台だ。 科白の空間(構造)と時間は淀んでいない。 役者もしっかりしている。 <大人>の演劇と言ってよい。 感動もそれに従った。 内に込めたオトナの感動が湧き起こってきた。
それより亡霊が今も立ち現れているのを思い出させてくれたことだろう。 しかもそれが生物学や医学に深くかかわっているのが面白い。
*CoRichサイト、https://stage.corich.jp/stage/105255
*「このブログを検索」に入れる語句は、 毛利三彌

2020年2月26日水曜日

■CORPO SURREAL コーポ・シューレアル

■演出:ジェスパー.ベダーソン,音楽:マルコフ,カジワラトシオ,人形師:スベンド.クルステンセン,振付&ダンス:東野祥子,歌手:イザベラ.レイフドッティア,美術:ジョアン.コルクジャー
■スパイラルホール,2020.2.23-24
■ダンサー東野祥子、人形師クリステンセン、歌手レイフドッテイアの3人が登場するコラボ作品。 人形はマリオネットではなくパペット、それも等身大で精巧に作られているの。 ダンスと人形は衣装や動きに暗さがある。 でも歌手が現れた途端すべてが変わった!
歌手の衣装・歌詞・歌唱そして身体の全てがダンスと人形を吹き飛ばしてしまったの。 何と言ったらいいかしら・・。 うーん、フリークスとは違うがデヴィッド・リンチの世界からやってきた感じね。 でも爽やかさがあるから、もう、歌を聴いただけで最高な気分よ。 ダンサーと人形は歌手の黒子になってしまった。
ところで人形は精巧に作られていると面白さが抜けてしまうのでは? 人形に新しい魂を舞台上で吹き込みたい。 今回は既に入っている魂をそのまま人形遣いが操るだけなの。 感動の質が違ってくるわね。
*劇場サイト、https://www.spiral.co.jp/topics/spiral-hall/corpo-surreal
*「このブログを検索」に入れる語句は、 東野祥子

2020年2月25日火曜日

■宣告

■作:加賀乙彦,演出:菅沢晃,出演:後藤博文,青木克美ほか,劇団:東京ノーヴイ.レパートリーシアター
■東京ノーヴイ.レパートリーシアター劇場,2020.2.20-23
■薄暗い刑務所内が舞台です。 役者達は声を抑えて話し合う為か素人のようにみえる。 死刑宣告を受けた主人公楠本の執行直前の日々を描いていきます。
いつ来るか分からないから、死を忘れて私たちは生きていけるのでしょう。 分かってしまえば毎日覚悟し続けなければならない。 舞台では宣告を受けて6年も経ってしまった。 この年数を聞いて身体がこわばります。
「死ぬのが怖いか?」。 医師は楠本に尋ねる。 宗教性を感じさせる質問です。 楠本は入信していて死刑前日も神父を招く。 チラシ文章「本当の恐怖は処刑される自分はそれ以外に生き方が無い事なんだ・・」も、献体の話も同じです。 生と死の断絶が大きいほど宗教を緩衝にして物語を進めることになる。
この作品は読んだことがある。 数十年前のことなので内容はともかく衝撃を受けたことを覚えています。 主人公が母の姿を追う終幕の場面はいまでも忘れない(うろ覚えですが)。 
観ようか観まいか迷いました。 当劇団はいつも驚きの舞台を見せてくれる。 期待したのですが「読んだら観るな、観たら読むな」でしたね。 悪くはなかったが、宗教をも超えた原作が強すぎる。
*第30回下北沢演劇祭参加作品
*劇場サイト、http://www.tokyo-novyi.com/custom1.html

2020年2月24日月曜日

■瑠璃の舞台ー杉本博司オペラ座への挑戦ー  ■舞踏劇「鷹の井戸」

□瑠璃の舞台-杉本博司オペラ座への挑戦-
■出演:杉本博司,観世銕之丞,語り:高橋美鈴
■NHK,2020.2.15
■美術家杉本博司演出のパリ・オペラ座公演「鷹の井戸」の制作映像番組。 杉本は言う、「死生観をもう一度問いたい」「始原に戻りたい」と・・。 彼の作品(写真)には無機から有機が発生するその時の気配が感じられる。 始原の気配を強く意識してしまう。 ここに見応えがある。 さて、舞台の出来はどうだろう? 早速観ることにする(下記に感想)。
*NHKサイト、https://www4.nhk.or.jp/etv21c/x/2020-02-15/31/33811/2259677/
*NHKサイト、https://www.nhk.or.jp/docudocu/program/20/2259677/index.html
□舞踏劇「鷹の井戸」
■原作:W.B.イエイッ,構成.演出:杉本博司,振付:アレッシオ.シルベストリン,作曲:池田亮司,衣装:リック.オウエンス,出演:観世銕之,リュドミラ.パリエロ,ユーゴ.マルジャン,アレッシオ.カルボーネ,舞団:オペラ座バレエ団
■NHK,2020.2.20(パリオペラ座,2019.9.22収録)
■演出家が気にしていた瑠璃色の良し悪しはテレビではよくわからない。 生の舞台を観たいものだ。 老人の銀、若者の金そして井戸を守る鷹の赤、衣装の色と形が面白い。 離散した音玉が時々聴こえる電子音楽も作品に合っている。 長いヒゲは邪魔にならないかな?
腕や手を意識した振付でバレエから離れる。 コンテンポラリー系に近い。 飛天を描いた前半の群舞は照明の都合で見え難かったが後半はまあまあだ、が手首の動きは雑にみえ、指の動きは大劇場では意味をなさない。 若者と鷹のパ・ド・ドゥは申し分なし。 なんと終幕に能のシテが登場する。 老人の生まれ変わりらしい。 カーテンコールの拍手は弱かった。 観客が戸惑っている様子だ。 オペラ座のバレエ舞台に能を乗せたのは演出家のパワーだと思う。 天晴杉本博司!
*パリ・オペラ座350周年公演
*NHKサイト、https://www2.nhk.or.jp/hensei/program/p.cgi?area=001&date=2020-02-19&ch=31&eid=04822
*「このブログを検索」に入れる語句は、 杉本博司

2020年2月23日日曜日

■アクナーテン

■作:フィリップ.グラス,演出:フェリム.マクダーモット,指揮:カレン.カメンセック,出演:アンソニー.ロス.コスタンゾ,ジャナイ.ブリッジゥ,ディーセラ.ラルスドッティル他
■新宿ピカデリー,2020.2.21-27(MET,2019.11.23収録)
■ジャグリングを舞台に乗せるとは面白い。 大道芸人がボールやクラブを空中投受させ動きを繰り返す曲芸のことね。 フィリップ・グラスのミニマルとは相性が良いはず(?)。 彼の舞台に似合うのはスローモーション又は演奏にシンクロすること、つまりジャグリングは後者に該当するから。 もちろん作品はこの相反する両方の動きを取り込んでいるの。
そしてもう一つ、グラスの舞台では睡眠と覚醒がやってくることに注意が必要。 今回も2幕後半でウトウトしてしまった。 ヴァイオリン抜きヴィオラは独特の音色感がある。 この流れに乗ることができて他のパートは覚醒し続けたわよ。 ミニマル・オペラに感動するとはこの純粋へと突き進む覚醒の流れに乗れるかどうかだと思う。
話をジャグリングに戻すけど、ボールやクラブを眼で追うのが邪魔になる場面があった。 眼で追うことが誤りかもしれない。 視覚と聴覚を統合化しようとする脳味噌の苦労がみえるから。 それでも第3幕は何とも言えない心地よさを感じることができたわよ。 やはりスローな動きでなきゃだめかも。 
ところでA・R・コスタンゾが脱毛したら声(カウンターテナー)が良くなった話には笑っちゃった。 そして、やっとオペラ三部作すべてを観ることができて嬉しい。 一番は「浜辺のアインシュタイン」かな。
*METライブビューイング2019シーズン作品
*METサイト、https://www.shochiku.co.jp/met/program/2086/
*「このブログを検索」に入れる語句は、 フィリップ・グラス、 マクダーモット

2020年2月22日土曜日

■まほろばの景2020

■作.演出:柳沼昭徳,音楽:中川裕貴,出演:阪本麻紀,澤雅展,あべゆう,小菅紘史,小濱昭博,劇団:烏丸ストロークロック
■東京芸術劇場.シアターイースト,2020.2.16-23
■初めての劇団ですが、役者たちが白足袋を履いているのに先ず目が行ってしまいました。
・・主人公の青年は福祉関係の仕事をしている。 彼の担当している若者が行方不明になってしまった。 若者を探しに山へ入るが、そこでは彼の思い出?、いや過去なのか未来なのか区別のつかない場面が次々と現れてきます。 それは東北地方の故郷で神楽を踊ったこと、東日本大震災で家族が被災したこと、熊本地震ボランティアへ行ったこと、行方不明の若者の家族を訪ねたこと、友人と将来の仕事を話し合ったこと等々をです。 そして山で出会う人々は皆「懺悔懺悔六根清浄」と掛け念仏をしながら登っていく。 若者も唱和し登る・・。 このようなストーリーだったはずです。
民間伝承や山岳修行を思い出させてくれる為か身体に響くものがある。 すんだ餅や過去帳、山伏の話も懐かしさがある。 神楽を舞う場面もいいですね。 仕事上での、災害での、他者への対応で迷ってしまった若者が山へ登り六根清浄を目指す理由はジワッと分かる気がしました。 罪罰がはっきりしない場合が人生では多々ある。 意識や無意識にそれがジワッと残っていく。 これを祓おうとする意思が舞台に表れていた。 役者たちの動きや発声に安定感がみえたからです。 再創作公演の為でしょうか? 凝縮力がある。 白足袋を履いている成果もでている。 でも物語として曖昧な感想が残ってしまったのはしょうがない。
*劇場サイト、https://www.geigeki.jp/performance/theater233/

2020年2月19日水曜日

■リーマン・トリロジー

■作:ステファノ.マッシーニ,演出:サム.メンデス,出演:サイモン.ラッセル.ビール,アダム.ゴドリー,ベン.マイルズ
■シネ.リーブル池袋,2020.2.14-20(ピカデリー劇場,2019収録)
■19世紀中頃、ドイツからアメリカへ移住したリーマン兄弟の3代に渡る銀行・証券会社の経営を描いた舞台。 ヘンリー、エマニュエル、マイヤー3兄弟が活躍する1幕、息子フィリップの2幕、そして孫にあたるロバートの3幕で構成されている。
NYの街並みが移り変わっていく背景の前でガラス箱に入った3人の俳優が150年の会社経営を語るの。 もちろん一人数役よ。 ガラス室とピアノの生演奏が効果を出していたわね。
1幕が面白い。 19世紀後半のアメリカ金ピカ時代、つまり急進する資本主義が描かれ、その時代と経営の間に3兄弟の人生観や世界観がみえるからよ。 例えば彼らの求婚場面は楽しい。
でも後半に行くほど詰まらなくなっていく。 息子や孫は性格しか分からない。 演出家は「詩的な科白をリズムに乗せて・・」と話してしたけど上演3時間は長い。 後半は時間を縮めた(急いだ)為か科白は解説の羅列にしか聞こえなかった。 それでも企業物語としては巧くできていたわよ。 (舞台にはない)日露戦争の資金提供にリーマンが関係していたことも(調べて)知ることができた。
映画館にはいつも以上に観客が入っていた。 学生が多いのかしら? 経済系の講義で話題になったのかもね。
*NTLナショナル・シアター・ライヴ作品
*作品サイト、https://www.ntlive.jp/lehman
*「このブログを検索」に入れる語句は、 サム・メンデス

2020年2月17日月曜日

■野兎たち

■作:ブラッド.バーチ,翻訳:常田景子,演出:マーク.ローゼンブラット,西川信廣,出演:スーザン.もも子.ヒングリー,小田豊,七瀬なつみ,サイモン.ダーウェン,アイシャ.ベニソン,田中宏樹,永川友里
■新国立劇場.小劇場,2020.2.8-16
■中村家の娘サキコが結婚のため夫になるダンと彼の母リンダを連れて英国から一時帰国する。 しかしサキコの兄が行方不明になっていた・・。
「タイタニック」や「ダイ・ハード」、ゾンビ映画が機内で話題になったがスタッフに映画好きがいるようだ。 この流れからゾンビは「バイオハザード」に違いない。
両親は行方不明の兄を世間から隠そうとしている。 事件を知られたくない。 父の昔は実業家で兄には厳しかったらしい。 母も娘の結婚式については口うるさい。 両親に戦後日本の保守的な人生観がみえる。 しかも郷土史、古城、仏壇、鮨、和菓子、神社、盆栽などが舞台に上るから尚更だ。
両親の時代錯誤が気になる。 兄の失踪理由は家族、特に父との確執に疲れてしまったのだろう。 両親から精神的に捨てられた娘をみれば分かる。 彼女はピンピン元気だ。 兄の仕事の失敗は失踪の原因とは言えない。
チラシをみると「荒涼たる曠野で孤独を生きる野兎たち・・」とあるが孤独云々というより昔からの家族問題が主題のようだ。 日英共同制作と聞いている。 日本側スタッフはチラシの状況を作りたかったが英国側に押し切られたのかもしれない。 結果として明治時代の私小説気分が漂ってしまった。 現代の孤独がテーマならこのような両親は登場し辛いし風景も似合わない。
登場人物で唯一現代人を意識させたのはダンの母リンダだ。 彼女は一人悠々の生活をしていたがダンのチョッカイで舞台に引きづり出されてしまった。 彼女の結婚観を含め現代世界への対応は的確だ。 「タイタニック」を何度も観ているのも頷ける。 主人公ローズが親の決めた結婚から逃れる話だから。
そして終幕、両親と娘それに兄嫁が鍋を囲む風景で幕が下りるのはどういうことなのだろう? 両親は兄の代わりに娘を縛り付けて家族を演じ続けていくのだろうか?
ところで字幕が役者の近くに写し出されていたが見難かった。 役者から離した方が良い。 ついでに、動き回る細長いボックス映像も雑音のようにしか見えなかった。 舞台集中の妨げになった。
*可児市文化創造センター+リーズ.プレイハウス日英共同制作公演
*劇場サイト、https://www.kpac.or.jp/nousagitachi/
*「このブログを検索」に入れる語句は、 西川信廣

2020年2月12日水曜日

■リヤ王

■作:W.シェイクスピア,訳:坪内逍遥,演出:中込遊里,演奏:五十部裕明ほか,出演:葵,清水いつ鹿,宮川麻里子ほか,劇団:鮭スペアレ
■銕仙会能楽研修所,2020.2.11
■料理でいえば旨味が無い舞台です。 能を意識し過ぎたのかもしれない。 能作法も取り入れているが中途半端です。 ト書などを謡にするのは面白いが、例えば摺足や腰の上げ下げなど身体動作はぎこちない。 その動作が観客(私)身体に響かない。 役者身体が変わらないと能の相乗効果が表れないのかもしれません。
坪内逍遥のシェイクスピアは珍しい。 謡が面白かったのはこの為かもしれない。 この劇団は初めてですが戯曲に力を入れているようにみえました。 役者たちの動作や立ち振る舞いが坪内逍遥と能を上手く繋げることができなかった。 身体と科白の関係を試行錯誤している舞台にみえました。
*TPAMフリンジ参加作品
*TPAMサイト、https://www.tpam.or.jp/program/2020/?program=king-lear

2020年2月10日月曜日

■その河をこえて、五月

■作:平田オリザ,金明和,演出:李炳焄,平田オリザ,出演:三田和代,小須田康人,佐藤誓,白星姫,李南熙,徐鉉喆ほか
■新国立劇場.情報センター,2020.2.9(新国立劇場.小劇場,2002.6収録)
■「2002年春、ソウル漢江の河原。 韓国語学校教師金文浩は、・・生徒たちと自分の家族を連れて花見に出かける・・」(チラシより)。
生徒たちの年齢・職業はいろいろだがソウルで生活している在韓日本人が多い。 河原の土手に満開になった大きな桜の木がみえる。 舞台は終幕まで花見が続き、役者の出入りで場面を転換してく方法は青年団定番の流れと同じである。
生徒の達者とは言えない韓国語が話を面白くさせる。 ベトナム戦争で家族が戦死したことや徴兵制度への対応は韓国を知る上では必須だが、親の介護や子供の学校の話はどの国も同じ問題を抱えているのが分かる。 そして話の至る所で堆積された20世紀日韓史がパッと顔を出す。
教師の弟夫婦がカナダへ移住しようとしているのだが母親には言っていない。 花見の席上で母に打ち明けるところが物語の山場である。 家族が移民をすることで国家とは?民族とは?を真剣に考えせざるをえない。 この点は練られていると思う。 
今から20年前の芝居だが、一口で言えば素直な舞台だ。 具体的な話題は広げすぎて表面的にも感じられる。 日韓共同も走りで、それに花見だからしょうがない。 この20年間で情報量が増えたこと、より深みのある日韓共催舞台を観て来た為もある。
唯一存在感ある人物は教師の母親(名前は忘れた)だ。 彼女の一挙一動に写実という意味ではない現実感があった。 保守的な彼女は次男夫婦のカナダ行を最後に許すのだが、それは国家や民族を越えて在る世界へ、生きる為そして生活の為の移民に納得したのかもしれない。 「浜辺の歌」を皆で歌い花見は終わる・・。
*2002年日韓国民交流年記念事業作品
*NNTTドラマ2001シーズン作品
*劇場サイト、https://www.nntt.jac.go.jp/enjoy/record/detail/37_004523.html
*「このブログを検索」に入れる語句は、 平田オリザ

2020年2月7日金曜日

■少女仮面

■作:唐十郎,演出・美術:杉原邦生,出演:若村麻由美,木崎ゆりあ,大西多摩恵ほか
■シアタートラム,2020.1.24-2.9
■観客層がばらけているのは演出家杉原邦生の賜物かな? 彼は時代劇も結構取り上げているからよ。 会場に入ると未完成な舞台が目に入る。 散らかっている道具類をかたずけながらの幕開きが面白いわね。 そこに壁が下りてきて喫茶「肉体」の店内になる・・。
舞台は春日野八千代の雪組時代と1960年代の匂いを強く繋げている。 それは満州とヒースの厳しい荒野にも広がり、離れ離れの時間と空間が一つになり立ち現れてくる。 作品のエキスを忠実に掴み表現されていたからだと思う。
そして唐十郎の濃くの有る科白が高揚するときには、あのメリー・ホプキンの歌が聴こえてくるの。 「思い出すは、あの日のこと・・」。 この芝居の総てが歌声に乗ってやって来る。
ところで腹話術師の見世物は能で言えば中入り狂言ね。 人形と肉体の不思議な関係が作品全体に滲みていく。 そして寒い国からの来訪者甘粕大尉がAMAKASUと大きく書いてある白マントで登場したのはさすが美術系演出家ね、いつもは軍服なのに。 昨年末の「少女都市からの呼び声」を遡り<少女>の故郷に遂に辿り着いた。
*「少女仮面」(金守珍演出,2015年)
*劇場サイト、https://setagaya-pt.jp/performances/shoujokamen20200102.html
*「このブログを検索」に入れる語句は、 唐十郎、 杉原邦生

2020年2月5日水曜日

■メアリ・スチュアート

■作:フリードリヒ.シラー,台本:スティーブン.スペンダー,翻訳:安西徹雄,演出:森新太郎,出演:長谷川京子,シルビア.グラブ,三浦涼介,吉田栄作,鷲尾真知子,山崎一,藤木孝ほか
■世田谷パブリックシアター,2020.1.27-2.16
■映画を観てから劇場に行こうか? 迷いましたが観なかったのは正解です。 一瞬先がどうなるかドキドキの連続でした。
ハンナとメアリの暗い過去の話を、次にモーティマのイタリア旅行回想を聞いてぐぐっと舞台に引き込まれていきました。 カトリックを強く意識する幕開きですね。 キリスト教宗派の違いが構造をしっかりと支えている。 
そしてエリザベス女王の白化粧が冴えていました。 仮面にもみえる。 メアリの化粧や衣装と対比が際立っている。 外見は違うが二人とも業が深い、かつ我も強い。 両者の確執がこの芝居の見所ですが宿命も感じられます。
その女王を取り巻く3人の家来、レスター伯、法務方バーリー、事務方タルボットの性格や行動の違いも彼女らに劣らない。 契約・義務・権利の言葉の裏側に疑心や保身そして愛憎を塗りこんで物語が進められる。 誰もが敵か味方かを見定めたい。
メアリが神父メルヴィルに告解をする場面がクライマクスでしょう。 告解で身近に迫った死をメアリと観客の双方が受け入れ演劇のカタルシスを貰えるからです。 しかし3人の家来が女王から逃げていくのを呆然としたエリザベスをみながら、この舞台はメアリ以上の存在感がでていたことも確認しました。
歴史劇だけあって科白に硬さがみえるのはしょうがない。 台詞量が多いこともある。 告解も言葉の優位からくる感動が大きい。 その中で言葉を越えていたのがモーティマでしょう。 彼の身体は活きていました。
*劇場サイト、https://setagaya-pt.jp/performances/marystuart20200102.html
*「このブログを検索」に入れる語句は、 森新太郎
*2020.2.8追記・・
■二人の女王,メアリーとエリザベス
■原作:ジョン.ガイ,監督:ジョージー.ルーク,出演:シアーシャ.ローナン,マーゴット.ロビー
■(イギリス,2018年作品)
■芝居観後に観てしまいました、映画を、原作者は違いますが。 メアリとその周辺つまり、スコットランド帰還からジェームス6世誕生そしてスコットランド追放迄が詳しく語られる映画です。 でもエリザベスがメアリの背後にいつも居るのが分かる。 追放後ただちに二人が出会いそのまま終幕になります。
当時の風景、衣装や髪型、兵隊の様子などがわかりました。 エリザベスの白化粧と死刑台のメアリの赤衣装が印象的でした。 舞台はエリザベスとその周辺が騒がしかったが映画はその逆になっている。 競合していないのがいいですね。
*映画comサイト、https://eiga.com/movie/90285/

2020年2月3日月曜日

■少女と悪魔と水車小屋

■原作:グリム兄弟,作:オリヴィエ.ピィ,演出:宮城聰,出演:鈴木真理子,武石守正,大内米治,貴島豪,大道無門優也,永井健二,若宮洋市,劇団:SPAC
■静岡芸術劇場,2020.1.18-2.2
■舞台はシンプルな構成で白一色の紙(?)でできている。 白衣装の役者の動きや科白もこの趣向に沿っています。 それは人形のような動きと喋り方をする。 単純化しているのに物語の要は外していません。 英語字幕はもっと約している。 考え抜かれた詩的世界が表れていますね。
少女が悪魔に両手を斬られてしまう。 貧乏から抜け出すのに父が悪魔と契約を結んだ為です。 娘は放浪の末、王様と出会い彼の子供を産む。 しかし悪魔は娘(王妃)と王の間に入り再び混乱させてしまう。 王妃は森へ逃げ子供と静かな生活を送ることになる。 戦場から戻った王は事の始終を知り王妃を探しに出ます。 そして二人は目出度く再会し愛を確認する。 このようなストーリーです。
悪魔は黒尽くめの衣装で登場する。 その悪魔に娘が両手を斬られる残酷さがこの作品の一つの見所ですね。 「本当は恐ろしいグリム童話」は本当だった。 しかし舞台では娘の両手が森の生活で新しく生えてくる! 「奇跡だ!」、王は叫ぶ。 妃は「・・でも、春になると森じゅうで新しい芽が生えるのです」。 王は喜び答える、「(そうだ、この世界のすべてが)奇跡だったのだ。 そのことに驚き続けよう」と。
此の世に生まれてきたのは奇跡といってよい。 この宇宙に生まれる確率は殆ど0だったにもかかわらずです。 生きているだけで素晴らしい。 王様のように奇跡に驚き続けます。
*原作はグリム童話「手なしむすめ」
*SPAC2019シーズン作品
*劇場サイト、https://spac.or.jp/au2019-sp2020/grimm_2019
*「このブログを検索」に入れる語句は、 宮城聰

2020年1月26日日曜日

■サイレンス

■原作:川端康成,作曲.台本.指揮:アレクサンドル.デスプラ,美術.照明:エリック.ソワイエ,衣装:ピエルパオロ.ピッチョーリ,台本.演出.ソルレイ,出演:ジュディット.ファー,ロマン.ボクレー,ロラン.ストケール,演奏:アンサンブル.ルシリン
■神奈川県立音楽堂,2020.1.25
■白い床に箱が数個置いてある極めてシンプルな舞台、その後ろに10人ほどの楽団員が一列に座っている。 川端康成の短編「無言」が原作よ。 作家大宮明房の娘富子がソプラノ、大宮の弟子三田がバリトン、語りの男が加わり3人で演じられていく。
静かに進行するストーリーはサスペンス性が感じられる。 音楽や歌唱がそれを印象的に強める。 原作を五感に響かせたような舞台に、忘れていた川端康成が形を変えて戻ってきたようだわ。 オペラ的演劇といえるわね。
背景の映像ではトンネルを通過する場面は良かった。 でも人間を映し出すのは強すぎて舞台の雰囲気を壊してしまった。 科白(ここでは歌唱)で十分に分かる。 それと「母の読める」場面を語りの男が台詞で押し通したのはしょうがないのかな? できれば歌唱で聴きたかった。
舞台が面白かったのでアフタトークを聞くことにする。 出席はデスプラ、ソルレイ、司会、通訳。 (括弧内は私の感想)。
デスプラ:昔は柔道や合気道、茶道をやっていた。(スゲッ!) 楽団衣装は雅楽を取り入れた。 (ほぅ!) 川端は映画も作っている、例えば「狂つた一頁」。 (この作品名が出るとはさすがデスプラ!) 武満徹がドビッシーを取り入れたように今回の作曲も意識してそうした。 (やっぱ、ドビッシーね) ロダン作品の「手」を見つめている川端の姿を覚えている。 (大宮の指の動き・・)
ソルレイ:三田は三島由紀夫ではないのか? (そう思った!?) ベッドは観客から背を向けさせた。 (これは良かった、しかも頭髪だけが)
司会:言葉は意味を持っているが一つ一つの音の集合である。 (ソシュールなど言語学との関連をトークで触れなかったのは残念!) (司会者は川端康成の熱烈ファンに見えたが途中で鎌倉文学館館長だと知る) 鎌倉にはトンネルも火葬場もある。 (鎌倉が溢れ出ていて、スゴッ!)
以上。 アーフタトークも楽しかったわよ。
*音楽堂開館65周年記念作品
*川端康成生誕120周年記念作品
*劇場サイト、https://www.kanagawa-ongakudo.com/detail?id=36015

2020年1月21日火曜日

■バレエの王子になる! 世界最高峰、ロシア・バレエ学校の青春

■制作:NHK,語り:原田美枝子
■NHK,2019.9.7
■昨年に録画したのを観たのですが納得のドキュメンタリー番組でした。 ワガノア・バレエ・アカデミー男子生徒の数名にフォーカスをあて、練習風景や寮生活を映しながら国家試験、就職試験、卒業公演に迫っていく。
校長は元ボリショイバレエ団ソリスト、ニコライ・ツィスカリーゼ。 「気品あるオーラと堂々とした表現で観客には光輝く泡しかみせてはいけない」。 校長の言葉ですがその通りですね。 すべての舞台芸術に言える。 劇場に光輝く泡を観に行くのです。
ダンサーの国家試験があるとは流石ロシアです。 プロを育成するシステムが出来ている。 12の試験プログラムを熟さなければならない。
そして就職試験へ・・、幾つかのバレエ団のオーディションを受けます。 学校の成績は略関係ない。 生徒の一人は国立モスクワ音楽劇場を落ちてしまった。 即戦力も求められます。 校長は言う、「パリオペラ座、ボリショイ、マリンスキーの3つだけ! これ以外のバレエ団への就職は裏街道の人生だ!」。 厳しい。 多くの生徒はマリンスキーを目指します。
卒業公演はマリンスキー劇場で4日間かけて行う。 成績上位のダンサーが主役を務めるのはどこも同じですね。 そして目出度く卒業です。
学校生徒は10歳から18歳の全400名弱。 卒業までに半分以上は脱落するそうです。 この2月末に東京で「世界名門バレエ学校の饗宴」が開催されます。 ニコライ・ツィスカリーゼ校長も来日してクラスを公開するらしい。 楽しみですね。
*NHKサイト、https://www.nhk.or.jp/docudocu/program/2443/2625258/index.html

2020年1月20日月曜日

■シネマトダンスー3つの小品  ■Farben

■彩の国さいたま芸術劇場.大ホール,2020.1.17-19
□シネマトダンス-3つの小品
■演出:金森穣,衣装:堂本教子,映像:遠藤龍,出演:Noism1,井関佐和子,山田勇気,金森穣
■小品の3つは「クロノスカイロス1」「夏の名残のバラ」「FratresⅡ」。 どれも舞台にカメラを載せてリアルタイムで背景に映写する方法を取る。
「クロノスカイロス」はアスリートたち?が走り回り立ち止まり踊る、スピード感のある舞台だ。 タイトルからみて時間と時刻を表現しているらしい。 音楽がバッハだったがダンスに合っていない。 無機質な音楽を使っても面白いとおもうが。 リアルタイムでダンサーの走り回る姿をデジタル時計と共に背景に映し出していた。
「夏の名残のバラ」はカメラマン山田勇気がダンサー井関佐和子について回りデュオとして踊る場面もある。 踊る時はカメラを床に置く。 カメラ動作が密着していて新鮮だった。 この作品は井関が地下の化粧室にいる場面から映し始める。 「中国人の不思議な役人」「マッチ売りの話」のポスターや古びた胴体だけのマネキンも写し出され寺山修司の世界に入り込んだような映像に感激してしまった。 タイトルの歌詞もなかなか良い。
「Fratres」は金森穣のソロだが背景にもう一人のダンサーの影が写り同じ動作をする。 激しい動きもあるが僧が修行をしているようだ。 影が彼の分身にもみえて哲学的宗教的な雰囲気が感じられる。
「映像の力を借りるのではなく、映像の力と拮抗すること」(金森譲)。 観ている時は舞台の流れに身を任せるが彼の映像はとても凝っているのが分かる。 後者2作品は映像と舞台はまさに拮抗をしていて切り離せない。
□Farben
■演出:森優貴,衣装:堂本教子,出演:Noisum1,井関佐和子
■森優貴は「NHKバレエの饗宴2017」に登場している。 暗さのある舞台、動きのある振付になっている。 12名のダンサーは群になり体を捻じれさせ苦しみ悶えているようにみえる。 彼の舞台は文学舞踊劇と言われているがナルホド面白い名称だ。 衣装はモノトーンで上白下黒、小道具の机も黒、そこに花瓶の花束や鉢植えの木葉などを置く。 しかし花や木をみると戸惑ってしまう。 ダンスが瞬断され意味を追ってしまうからだ。 鞄から旅も意識する。 ストーリーも感じられるが身体とオブジェの関係が断片的でよくみえない。 タイトルも捻っている。 いろいろ詰め込んでいる背景が時々顔を出すような舞台だった。
*劇場サイト、https://www.saf.or.jp/arthall/stages/detail/7012

2020年1月18日土曜日

■コンチェルト  ■エニグマ・ヴァリエーション  ■ライモンダ第3幕

■TOHOシネマズ日本橋,2020.1.17-23(コヴェント.ガーデン,2019.11.5収録)
□コンチェルト
■振付:ケネス.マクミラン,音楽:ドミトリー.ショスタコーヴィッチ,ピアノ:ケイト.シップウェイ,出演:アナ=ローズ.オサリヴァン他
■ソビエトを感じさせるショスタコーヴィッチの音楽にストーリーのないマクミランの振付が何故かロシア小説の風景や軍隊などを思い出させてくれる。 抽象バレエだがどこかモダン・バレエを感じる。 20世紀中頃の振付の混沌が表れているようね。 隠れたドラマチックのためミニマルの陶酔感はやってこない。
□エニグマ・ヴァリエーション
■振付:フレデリック.アシュトン,音楽:エドワード.エルガー,出演:クリストファー.サウンダース他
■作曲家エルガーが仕事の吉報を待つという変わったストーリーで、ビクトリア朝後期の彼の家族と友人たちが当時の生活衣装で登場するの。 激しい動きより静かな振付の方が当時の日常生活を持ってきてくれる。 イギリス人なら古き時代を思い出しながら観たはずよ。
□ライモンダ第3章
■振付:ルドルフ.ヌレエフ,音楽:アレクサンドル.グラズノフ,指揮:パーヴェル.ソロキン,出演:ナタリア.オシポワ,ワディム.ムンタギロフ他
■ハンガリー民族舞踊とロシア・バレエが混在している面白い舞台だわ。 中途半端にみえたのは、いきなり第3幕のライモンダ・パ・ドゥ・トゥに入っていく流れだから? 振付に丸みを感じたのは民族衣装が原因かな? これがダンサーの動きを均一にさせた。 ナタリア・オシポワもどこにいるのか分からないような舞台だった。
細かいことは兎も角、違いが目立つ3作品を一度に観ることができて楽しかったわよ。
*ROHロイヤルオペラハウス シネマシーズン2019
*映画comサイト、https://eiga.com/movie/91700/

2020年1月15日水曜日

■雉はじめて鳴く

■作:横山拓也,演出:眞鍋卓嗣,出演:若井なおみ,深堀啓太朗,保亜美ほか
■俳優座,2020.1.10-19
■高等学校を舞台にした社会性のある小説や芝居は面白い。 誰もが通過してきた所だから思い出しながら観てしまった。 登場人物の性格や繋がりを上手く取り入れた科白の面白さで引き込まれてしまう。 思わずゥフッゥフッと笑いが漏れてしまう箇所も多くある。
女性教師マユと男子生徒ケンの関係を謎にしている舞台だ。 それは師弟関係、恋人関係、カウンセラー&クライアント関係等々あるが・・。 ケンは悩んでいるらしい。 それが家族崩壊だと分かってくる。 
それにしても高校教師は大変な仕事だと今更ながら思ってしまった。 学校組織の外に問題の原因がある場合に教師はどのように行動し解決していくのか?
その前に<問題は個人で抱えるな!>はどの組織でも言える。 教師マユは男子生徒との関係をどの時点で個人から切り離し組織へ渡せばよかったのか? 舞台を観ながら考えてしまった。 スクールカウンセラーも答えられない。 しかもこの作品は結末が<芝居的>だ。 教師マユは「自分が責任をとる!」と叫ぶ。 たとえ部下が一人で問題を抱えてしまっても管理者が責任を取るのが組織の存在理由でもある。 校長はそう動こうとしているようで少し安心した。 会社組織のことも考えながら観てしまった。 サッカー部マジージャーが教師へ問う最後の言動は立派、そして教師マユは行動に問題もあるが直向きな人間愛がケンに伝わったのがこの芝居のオチだろう。 それは母性愛の様なものかもしれない。
ということでプログラムを買うことにした。 この芝居もそうだが、ドロドロした人間関係が広がっている生徒の後ろへ片足どころか両足を教師は突っ込むしかない。 「教員の皆様、日々ご苦労様です」と作家も書いている。 タイトルの「雉はじめて鳴く」はケンの母への反抗を指していると見たが、教師との関係が新しい段階に入った意味もあるようだ。 終幕の車椅子の女とそれを引く男が誰だったのかは書いてなかった。
*劇団俳優座第340回公演
*CoRichサイト、https://stage.corich.jp/stage/104053
*「このブログを検索」に入れる語句は、 横山拓也、 眞鍋卓嗣

2020年1月13日月曜日

■鶴かもしれない2020

■作・演出・美術・出演:小沢道成,音楽:岡田太郎,舞台監督:竹井祐樹,照明:南香織,衣装:藤谷香子,ヘアメイク:笹川ともか
■下北沢駅前劇場,2020.1.9-13
■タイトル末尾の年号は再演の印らしい。 近頃よく見かけますね。 演出家も検討を重ねてきたのでしょう。 良くまとまっている舞台でした。
一人舞台の女主人公である相手はラジカセ?から喋り続ける男です。 途中で役が入替り男が演じ女がラジカセになり、話が佳境に入ると一人二役にもなる。 しかもラジカセの声も二役でト書を兼ねている。 そのト書も二つに分かれ状況説明と物語「鶴の恩返し」を朗読していく。 これらが綿密に組み立てられていてスキがありません。
「鶴の恩返し」を聞きながら、現代の男女の出会いと生活を重ね合わせていくストーリーです。 二人の生活風景は貧しい。
(男が)安易にカネを求める惰性。 (女が)肉体を削ってカネを得る限界。 この惰性と限界が結び合って起こる現代の悲劇を描いている。 でも女は男にそこまで恩返しをしなければいけないのか? <恩返し>の相手を広げることが現代では必要なのでしょう、・・女はそうしたが初めの一歩で別の道を選択しましたね。
途中、衣装を散らかしダンスに近い激しい動きや照明が舞台を豊かにしていました。 ところでラジカセから聞こえる男の喋り方が無垢なのは演出でしょうか? <恩返し>つまり約束や愛がボヤケてしまった一因にみえます。
*TPAMフリンジ参加作品
*CoRichサイト、https://stage.corich.jp/stage/104143

2020年1月7日火曜日

■廓文章 吉田屋

■出演:片岡仁左衛門,坂東玉三郎,坂東巳之助,大谷桂三,澤村由次郎,片岡秀太郎,片岡我當
■東劇,2020.1.3-(歌舞伎座,2009.4収録)
■伊左衛門の振付や発声が微妙で複雑さを持っている。 上方歌舞伎独特の動きや台詞の為でしょうか? 太夫の語りが多いのでそれはマイムのようにみえる。 科白も分からない箇所が結構ありました。 でも観ればみるほど味が出てくる作品のようです。
片岡仁左衛門のインタビューが入っていました。 上方歌舞伎の維持活動、東京公演での難しさ等々の話から作品周辺の状況も分かります。
文字の入った紫衣装が映えていた伊左衛門でしたが、後で調べたら「夕霧からの恋文を繋ぎ合わせた紙衣」だったとは複雑な驚きです。 彼の貧しさ如何わしさ切なさが見えるようで見えない。 複雑な驚きは未だ沢山ありそうですね。 太鼓持豊作が二人の仲に入り舞台を活性化させていたのも面白い。 次回は違う役者で観てみたいですね。
*シネマ歌舞伎第35弾
*シネマ歌舞伎サイト、https://www.shochiku.co.jp/cinemakabuki/lineup/43/
*「このブログを検索」に入れる語句は、 片岡仁左衛門、 坂東玉三郎

2020年1月6日月曜日

■2019年ライブビューイング・ベスト10

ワルキューレ
  演出:キース.ウォーナー,歌団:ROHロイヤルオペラハウス
マーニー
  演出:マイケル.メイヤー,歌団:METメトロポリタン歌劇場
アドリアーナ・ルクヴルール
  演出:デイヴィッド.マクヴィカー,歌団:METメトロポリタン歌劇場
リア王
  演出:ジョナサン.マンビー,劇団:NTナショナルシアター
英国万歳
  演出:ジョナサン.マンビー,劇団:NTナショナルシアター
ピーター・グライムズ
  演出:ウィリー.デッカー,歌団:NNTT新国立劇場
タウリスのイフィゲニア
  演出:スチィーヴン.ワズワース,歌団:METメトロポリタン歌劇場
みんな我が子
  演出:ジェレミー.ヘレン,劇団:NTナショナルシアター
イヴの総て
  演出:イヴォ.ヴァン.ホーヴェ,劇団:NTナショナルシアター
くるみ割り人形
  演出:熊川哲也,舞団:K-BALLET COMPANY

*並びは上演日順。 当ブログに書かれたライブビューイング(舞台を撮影して映画で上映)から選出。 ライブ以外の録画も含む。
*選出した劇団等に偏りがあるのは全ビューイング鑑賞数が少ない為。 2019年はBOL(ボリショイバレエ),シネマ歌舞伎,ゲキXシネ,宝塚,上記のK-BALLET,MET,NT,ROHなど約10プログラムが対象。