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1月, 2023の投稿を表示しています

■それぞれのふたり、萩原朔美と榎本了壱

 ■感想は、「 それぞれのふたり、萩原朔美と榎本了壱 」 *話題となる語句は、「天井桟敷」「高丘親王航海記」「笠井叡」「寺山修司」。

■能楽堂一月「皸」「船橋」

*国立能楽堂一月普及公演の次の□2舞台を観る. □狂言・大蔵流・皸(あかがり)■出演:善竹十郎,善竹大二郎 □能・喜多流・船橋■出演:塩津哲生,佐々木多門,福王和幸ほか ■国立能楽堂,2023.1.14 ■皸は今はアカギレと読む。 皸の太郎冠者が川を渡ることになったが水は見たくもない。 川には橋が架かっていないらしい。 次の「船橋」も水と橋の話だ。 プレトーク「力動風鬼から砕動風鬼へ、世阿弥による「船橋」改作の意図」(大谷節子解説)を聞く。 猿楽談義、万葉集の男歌と女歌、役優婆塞(えんのうばそく)と山伏などを話題にする。 でも男がなぜ成仏できないのか腑に落ちない。 それにしても良い舞台だった。 詞章に意味的な深みは有るが、崩れないユッタリとしたリズムが心地よい。 シテ・ワキ・地謡の連携に淀みがない。 さすが世阿弥!と言って良いのか? しかし鬼であるが人でもある砕動風鬼は両者を同時に表現しなければいけない。 鬼が弱いように思えた。 「古びた松が風に靡いているように・・」と語った世阿弥がこれを観たら何と言うだろうか? 後シテの面は「筋怪士(すじあやかし)」。 *劇場、 https://www.ntj.jac.go.jp/schedule/nou/2022/11009.html?lan=j *追記・・日経1月24日夕刊に「船橋」の批評が載る. 評論家村上湛だが内容に頷いてしまった.

■レオポルトシュタット

■作:トム・ストッパード,演出:パトリック・マーバー,出演:エイダン・マクアードル,フェイ・キャステロー,セバスチャン・アルメスト他 ■シネリーブル池袋,2023.1.6-(ロンドン・ウェストエンド,2022収録) ■小川絵梨子演出「 レオポルトシュタット 」と比較したい。 ということで池袋へ出向いたの。 でも殆ど同じ舞台にみえてしまった。 演出家パトリック・マーバがインタビュで答えていたように「時代を旅する群像劇・・」だから。 群像劇は主人公が弱い、しかもこの作品は時代が強すぎる。 主人公は変えられるが時代は変えられない。 同じになる理由よ。 違う箇所は宗教と政治の語彙がより迫っていたところかしら? ユダヤとカトリック、各政党やその主義主張がヨーロッパでは継続している。 それが役者の言葉に現れていたのかもね。 *NTLナショナル・シアター・ライブ2023シーズン作品 *映画com、 https://eiga.com/movie/96681/

■ペットボトル迷宮 ■ビニール傘小町

*K-BALLET・Opto第2弾「プラスチック」の以下□2作品を観る. ■KAAT神奈川芸術劇場・ホール,2023.1.8-9 □ペットボトル迷宮 ■企画:高野泰寿,振付:アレッシオ・シルヴェストリン,出演:ジュリアン・マッケイ,飯島望未,日高世菜ほか  ■環境汚染としてのプラスチックをバレエに取り入れた作品らしい。 「果敢な挑戦の実現を誇りに思う・・」。 熊川哲也の挨拶だ。 舞台にはペットボトルで作られた立壁が数台動き回っている。 その間をぬってダンサーたちは動き回る。 途中から腕や足、背中や頭にもペットボトルを付けて踊る。 直截的でダンサーは意識してしまうだろう。 しかもバレエ形式から逃げられない。 初めと終わりにバッハを使ったが、その時のダンサーはとても良かった。 特に終幕は伸びやかな振付が曲と同期していた。 カーテンコールでポップ調に急変したがダンサーたちは戸惑っているようにみえた。 ペットボトルを身体に付けるのは成功したとは思えない。 挑戦は継続だ。    □ビニール傘小町 ■原案:三島由紀夫「卒塔婆小町」,太田省吾「小町風伝」,企画:高野泰寿,振付:渡辺レイ,出演:白石あゆ美,石橋奨也,山本雅也ほか ■プラスチックを間接的な傘や衣装に変換しているので違和感がない。 ドラマチック・バレエと言える。 楽しく観ることができた。 題名や衣装、美術や照明から三島由紀夫や太田省吾より、唐十郎や劇団第七病棟を思い出してしまった。 深草少尉と群舞の動きが良い、それに音響が鋭かった。 「卒塔婆小町」は扱いやすい。 今日の舞台をもっと練り込めば面白くなるはずだ。 *K-BALLET Opto第2弾作品 *劇場、 https://www.kaat.jp/d/plastic

■能楽堂一月「竹生島」「昆布柿」

 *国立能楽堂一月定例公演の□2作品を観る。 □能・宝生流・竹生島■出演:東川光夫,東川尚史,舘田善博ほか □狂言・和泉流・昆布柿■出演:野村万禄,吉住講,小笠原由祠 ■国立能楽堂,2023.1.7 ■ホールに鏡餅がどおんと置いてある。 ひびが入っているが、割るのは大変だろう。 舞台上に注連縄がずらっと張ってある。 囃子も地謡も今日は肩衣を付けている。 しかし客席の着物姿が普段より少ない。 今日は満席と表示されていた。 いつもの客層とは違うのかもしれない。 醍醐天皇の臣下が「竹生島」、今の琵琶湖に参詣する話である。 そこに弁才天が姿を現し優美な天女ノ舞を、次に龍神が出現し力強い舞働を舞う。 「昆布柿」は淡路と丹波の百姓が年貢を納めに上京する話でリズミカルな作品である。 どちらも新春にふさわしい。 *劇場、 https://www.ntj.jac.go.jp/schedule/nou/2022/11008.html?lan=j

■習作・チェーホフのかもめ

■原作:A・チェーホフ,構成・演出:三村聡,出演:寺内亜矢子,奥田龍平,村山恵美,三村聡,劇団:バングラ ■観劇三昧・配信(スタジオ空洞,2021.2収録) ■習作とあるように練習過程を描いたような作品です。 登場人物はニイナ、コスチャ、アルカジナ、トリゴリンの4人、トリゴリン役三村聡は他の人物やト書きの語り、演出としての目も担当する。 いろいろ省いているがシッカリしています。 役者たちに勢いがあるからでしょう。 「言葉!言葉!言葉!」「書かなくちゃ!」。 科白が叫んでいる。 みな急いでいるようにみえる。 トリミング効果がでている、しかも増幅の言葉はモノトーンです。 「スキだ、フラレた、イッショに、・・」。 チェーホフの増減にはいろいろある、 たとえば視線を意識させる、ダンスを取り入れる等々。 「かもめ」は変化に強い。 習作から言葉の意味を深く想像させたりトリミング後の増幅など新しいチェーホフの見方が提示されていた。 とても面白く観ることができました。 *バングラ、 https://bhangra.amebaownd.com/posts/13063810