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■ル・パルク

■音楽:W・A・モーツァルト,演出:アンジュラン・プレルジョカージュ,指揮:ベンジャミン・シュワルツ,出演:アリス・ルナヴァン,マチュー・ガニオ他,演奏:パリ・オペラ座管弦楽団 ■TOHOシネマズ日本橋,2026.3.13-19(パリ・オペラ座ガルニエ宮,2021.3.9-11収録) ■この作品を初めて観たのは、2021年にNHKの配信でのことである。 ロココ時代の貴族を描いた舞台に、突然ゴーグルを付けた近未来的なダンサーが現れる。 その衝撃はいまでも鮮明に覚えている。 謎めいた不思議な世界観に強く惹かれながらも、作品の背景を深く調べることなく今日まで過ごしてきた。 今回、パリ・オペラ座 in シネマで上映があると知り、初めて作品の背景を調べてみた。 本作は、18世紀フランス貴族社会における男女の心の動き、理性から情動へと揺れ動く内面、を描いたものらしい。 ゴーグルを付けたダンサーたちは庭師の役割を担っており、日本でいえば人形浄瑠璃の遣い手のような存在とも言えるのかもしれない。 上映された映像は、振付家・劇場・出演者から判断して、5年前に観たものと同じであると分かった。 作品について知識を得てしまったためか、初見のときほどの強い感動はなかった。 しかしその分、プレルジョカージュ独特の振付や物語の構造を、より落ち着いて味わうことができた。 ドイツが理性、イタリアが情動を重んじる傾向があるなかで、理性と欲望の微妙な揺れを繊細に描く本作は、まさにフランスならではの作品と言えるだろう。 *パリ・オペラ座inシネマ、 https://tohotowa.co.jp/parisopera/movie/le_parc/ *「ブログ検索🔍」に入れる語句は、プレルジョカージュ ・・ 検索結果は4舞台 .

■ガラスの動物園 ■ノイマイヤー、ライフ・フォー・ダンス

*以下の□2作品を観る. □ガラスの動物園 ■原作:テネシー・ウィリアムズ,振付:ジョン・ノイマイヤー,指揮,ルチアーノ・ディ・マルティーノ,出演:アリーナ・コジョルカ,アレッサンドロ・フローラ,パトリシア・フリッツァ他,舞団:ハンブルグ・バレエ団,演奏:ハンブルク交響楽団 ■NHK・配信(ハンブルク国立歌劇場,2024.5.28-29収録) ■ノイマイアー80歳で振り付けた作品です。 彼は17歳に原作を芝居で観ている。 感動したことでしょう。 私が初めて観たのは演劇集団円の舞台でした。 やはり痛く感動したのを今でも覚えています。 これでテネシー・ウィリアムズにのめり込んだ時期があった。 でもバレエは初めてです。 はたして不安が的中しましたね。 複雑な心理描写をバレエに乗せるのは至難の業、特にこの作品はです。 でも見応えはある、さすがノイマイアー。 それよりも過去の演劇がバレエを邪魔してしまった。 観ていなければ違った感想を持ったはずです。 □ノイマイヤー,ライフ・フォー・ダンス ■出演:ジョン・ノイマイヤー,ヘザー・ユルゲンセン,ジャクリーヌ・チュイルー他 ■NHK・配信(ドイツ,2024作) ■ハンブルク・バレエ団を今年退任するノイマイヤーのドキュメンタリー映画です。 「人間に寄り添う現代振付家」と彼は言われている。 それは「踊り手の感情や内容や意図が形を決める」振付をするからです。 「形が内容を決める」クラッシク・バレエと逆ですね。 しかも「クラッシクもミニマルも表現舞踊も何でも扱う物語作家」でもある。 彼は言葉を続ける。 「舞台で命の息吹を感じたい」「劇場で感動するのは自分(の一部)と再会するから」「私は踊る人を見たいのではなく人間をみたい」。 ノイマイヤーの人間主義が現れていますね。 *NHK、 https://www.nhk.jp/p/premium/ts/MRQZZMYKMW/blog/bl/p1EGmp948z/bp/pVWann5pvP/ *「ブログ検索🔍」に入れる語句は、ジョン・ノイマイヤー ・・ 検索結果は4舞台 .

■ドクター・アトミック ■オッペンハイマー

*下記の□2作品を観る. □ドクター・アトミック ■作曲:ジョン・アダムズ,指揮:アラン・ギルバート,演出:ベニー・ウールコック,出演:ジェラルド・フィンリー,サーシャ・クック,エリック・オーウェンズ他 ■東劇,2024.8.23-9.19(メトロポリタン歌劇場,2008.11.8収録) ■原爆をテーマにしたオペラが登場してもMET演目なら驚かない、でも2008年作と聞いて少しビックリ。 主人公は科学者オッペンハイマー。 原爆を開発したマンハッタン計画、それも1945年7月16日の核実験とその直前数日間を描いているの。 組織のリーダとして開発を推進する主人公は内包しているジレンマを宗教性や詩に求めている。 彼の妻キティもベッドと共に登場するが抽象的歌詞に溢れている。 インディアン?を登場させたのは緩衝としての効果を期待したのかしら? 演出家のインタビューで観客は「ファウスト」を意識するだろうと言っていたのも興味深い。 全体を流れる抽象的心理描写が重い題材を救ったのかもしれない。 「・・原爆実験に日本の指導者を招待して恐ろしさを知ってもらい降伏を促したらどうか?」。 科学者としての切羽詰まった意見も出る。 でも政府はポツダム宣言に間に合わせたい! そして最後は原子雲を背景に、日本語で「子どもたちに水を!」で幕が下りる。 ・・。 *METライブビューイング2008年作品 *MET、 https://www.shochiku.co.jp/met/program/s/2008-09/#program_02 *追記2024.11.04・・ 現代思想( 2024年10月号 )の「原子爆弾完成後の去就をめぐって」(佐藤文隆著)を読む。 ・・1943年12月アメリカに渡った物理学者ニールス・ボーアはロスアラモス研究所に自由な交流・討論を可能にする「コペンハーゲン精神」を持ち込む。 後の科学者共同体を視野に入れていた。 そしてマンハッタン計画へスターリンを招聘する考えを示す。 これにより戦後の核開発競争を防止できると信じていた・・。 これを読んで日本の指導者を原爆実験に招待する場面を思い出す。 □オッペンハイマー ■原作:カイ・バード他,監督:クリストファー・ノーラン,出演:キリアン・マーフィ,エミリー・ブラント,マッド・デイモン他 ■DVD,...

■モリコーネ、映画が恋した音楽家

■監督:ジュゼッペ・トルナトーレ,出演:エンニオ・モリコーネ,B・ベルトリッチ,C・イーストウッド,Q・タランティーノ他 ■配信,(イタリア,2021年作) ■面白いドキュメンタリー映画だった。 2時間強は長くない。 エンニオ自身のインタビューが8割を占めていた為もある。 本人の言葉は強い。 彼の思いが伝わってくる。 音楽院時代の1950年頃から2010年代前半迄を描いている。 映画監督のインタビューも多く入っている。 J・S・バッハ一辺倒からエンニオを受け入れたP・P・パゾリーニ監督、現場でエンニオの音楽を流しながら撮影したS・レオーネ監督等々のウラ話は映画好きにはたまらない。 映画音楽というジャンルを高めた彼の功績は大きい。 同時に映画を支配しようとする戦略も感じる、たとえ言葉にしなくても。 エンニオが受け持った映画は50本近く観ている。 衝撃(感動)を受けた3本は「アルジェの戦い」(G・ポンテコルヴォ)、「ソドムの市」(P・P・パゾリーニ)、「1900年」(B・ベルトリッチ)。 すべて観後に音楽担当を知った。 映画音楽は美術や照明と同じ位置づけと考えている、エンニオとは意見が違うが。 映画音楽とは何か? 彼は映画の大事なものを壊しもした(と思う)。 *映画com、 https://eiga.com/movie/96331/

■ジャンポール・ゴルチエのファッション狂騒劇

■監督:ヤン・レノレ,出演:ジャン=ポール・ゴルチエ,マドンナ,カトリーヌ・ドヌーブ他 ■配信,(フランス,2018年作) ■1年前の2023年6月に東急シアターオーブで上演されたランウェイ・ミュージカル「ファッション・フリーク・ショー」の作成過程を撮影したドキュメンタリー映画です。 残念ながらこの舞台は観ていません。 ゴルチエのゴッツイ感じのファッションに興味が湧かなかった為もあります。 「ファッション・フリーク・ショー」はゴルチエの半生を描いている。 舞台ではゴルチエ役の俳優が子供から大人に成るまで何人も登場する(らしい)。 当ドキュメンタリーの進行役はゴルチエ自身が担当している。 構造は劇中劇と言ってもよい。 これが映画を面白くしている。 「ランウェイ・ミュージカル」とはファッション・ショーの間に歌や踊りを挿入する舞台を言います。 彼のコレクションは舞台によく似合うと思う。 これに彼の激動?の半生を被せるので結構盛り上がるはずです。 でも初日が終わったスタッフの感想は納得できなかった。 彼の半生を描く場面群が断片化され物語の繋がりが弱まってしまったのでしょう、想像ですが。 今となっては<フリーク>が演じられた舞台を観ることができない。 でも完璧主義者ゴルチエの姿を拝見できたのは嬉しい。 *映画com、 https://eiga.com/movie/99194/

■越境する紅テント、唐十郎の大冒険

■司会:松嶋菜々子,語り:濱田丘 ■NHK・配信,2024.5.27(NHK,2021.2.11作成) ■唐十郎が逝ってしまった。 この追悼映像はドキュメンター形式で3章(司会者は分岐点と言っている)で成り立っている。 1967年8月に花園神社で紅テント初公演。 これが第一の分岐点。 小林薫、大久保鷹、麿赤児、不破万作、根津甚八へのインタビューが続く。 舞台美術の篠原勝之が「唐の手書き台本を劇団員が読み始めると唐本人が感動して泣いていた」「その手書き台本は米粒のような文字で書き損じもなく結末まで一気に書いてあった」。 ・・!! 第二の分岐点は1970年代の戒厳令下での韓国公演から始まる。 記者の菱木一義、作家の村松友視のインタビューが入る。 金芝河と日韓反骨演劇人同盟を設立し「二都物語」をソウルで公演。 続いてバングラディシュ、レバノンのパレスチナ難民キャンプで「風の又三郎」などを公演。  そして中村勘三郎への影響が第三の分岐点。 中村勘三郎は19歳の時から紅テント公演を観ていた。 「紅テントは歌舞伎の原点である」。 平成中村座は紅テントを参考にしたはずです。 唐十郎の言葉と役者身体がシンクロしたとき異次元世界が舞台に出現する。 この<言葉>と<身体>が核融合する唐体験は観客の心に宝として残り続けていきます。 *NHKアナザーストーリーズ運命の分岐点作品 *ステージナタリーwebsite、 唐十郎の大冒険 *「ブログ検索🔍」に入れる語句は、唐十郎 ・・ 検索結果は15ブログ .

■シン・ゴジラ ■シン・ウルトラマン ■シン・仮面ライダー

□シン・ゴジラ■監督:庵野秀明,出演:長谷川博己,竹野内豊,石原さとみ他 □シン・ウルトラマン■監督:樋口真嗣,出演:斎藤工,長澤まさみ,有岡大貴ほか □シン・仮面ライダー■監督:庵野秀明,出演:池松壮亮,波辺美波,柄本佑ほか ■「シン・仮面ライダー、ヒーローアクション挑戦の舞台裏」をテレビで観る。 監督庵野秀明の役者への演技指導をみて興味が沸いたので映画館へ行くことにした。 監督の相手になる柄本佑、森山未來は舞台でも関心を持ってみていたこともある。 <シン>とは何か? これも気になったのでゴジラとウルトラマンを事前に観ることにした。 「シン・エヴァンゲリオン」はアニメのため外した。 ゴジラそしてウルトラマンも動く原発だ。 まさに原発事故での日本政府の対応を漫画にして描いている。 しかも暴れるから自衛隊そして米軍がそれに加わる。 「怪獣は日本だけにしか出現しない!」。 広島・長崎・福島そして東京へ・・。 時代を越えた政治メッセージだ。 仮面ライダーを観る。 昆虫サイボーグの楽しさがある。 作者と監督のコラボが実っている。 そして他者への不信、家族の絆、世界への愛などがストーリーの原動力になっている。 しかし終幕のアクションシーンはいただけない。 熟考過ぎて無意味な取っ組み合いに気化してしまった。 等身大の役者の科白・動作は怪獣やアニメヒーローとは違い監督の苦労がみえる。 ところで<シン>とはなにか? テレビ放送時代の頃の愛や絆は単純実直に処理していたように覚えている。 しかし今は愛も政治も文科省推薦のような描き方になっている。 <シン>は心と読ませたいようだ。 久しぶりにこの種の映画を続けて観たので疲れてしまった。 *映画com、 https://eiga.com/movie/81507/ *映画com、 https://eiga.com/movie/91634/ *映画com、 https://eiga.com/movie/94843/

■グッバイ・ゴダール

■監督:ミシェル・アザナビシウス,出演:ルイ・ガレル,ステイシー・マーティン,ベレニス・ベジョ他 ■アマゾン・配信(フランス,2017年作) ■雑誌「リュミエール」に蓮實重彦と武満徹が涙を流しながら抱き合っている記事を思い出してしまったの。 二人はA・タルコフスキーを観て涙が止まらなかった・・。 タルコフスキーで私は涙を流したことはない。 でもJ=L・ゴダールは何度もある。 1980年代の「パッション」以降、彼の作品の幾つかは涙が止まらない。 特に1990年代に入ってから、たとえば「愛の世紀」「新ドイツ零年」などなど。 喜怒哀楽とは別の涙ね。 映画的・音楽的リズムや演劇的・劇的とも違う。 ゴダールは新しい映画芸術の涙=感動を私に与えてくれた。 「グッバイ・ゴダール」はアンナ・ヴィアゼムスキーの自伝的小説を映画化したものらしい。 彼女はR・ブレッソンの「バルタザールどこへ行く」に、ゴダールでは「中国女」から「万事快調」まで出演している。 素人の感じがいつも離れなかった。 ブレッソンの影響が続いたのかしら? それはゴダールの当時の方針にも合っていたのかも。 今回の作品は夫婦からみたゴダールの裏側が見えて楽しかったわよ。 そして本当に最後になってしまった・・、グッバイ ゴダール! *映画com、 https://eiga.com/movie/88998/

■ロックン・ロール・サーカス  ■チャーリー・イズ・マイ・ダーリン

*ザ・ローリング・ストーンズ主演の□2作品を観る。 □ロックン・ロール・サーカス ■監督:マイケル・リンゼイ=ホッグ,出演:ザ・ローリング・ストーンズ,ジョン・レノン,ザ・フー,エリック・クラプトン,オノ・ヨーコ他 ■Bunkamura・ルシネマ,2022.8.5-(イギリス,1968.12収録) ■サーカス小屋でのライブイベントらしい。 途中、空中ブランコが数分映し出される。 でもサーカスとの融合はみえない。 観客にカラフルな同じマントを着させたのも頂けない。 背景は最低だ。 前半はザ・フーやジョン・レノン、オノ・ヨーコが登場する。 レノンやヨーコは癖のある歌唱を披露する。 ヨーコはパフォーマンス系丸出しだ。 後半はストーンズが登場し数曲歌う。 「ジャンピン・ジャック・フラッシュ」「悪魔を憐れむ歌」の2本が最高だ。 最期にミックを囲んで「地の塩」を歌う。 労働者階級を意識した終幕にみえる。 □チャーリー・イズ・マイ・ダーリン ■監督:ピーター・ホワイトヘッド,出演:ザ・ローリング・ストーンズ ■Bunkamura・ルシネマ,2022.8.5-(イギリス,1965作成) ■1965年アイルランド・ツアーを撮ったドキュメンタリー作品である。 当時のストーンズメンバーそれぞれが新鮮だ。 色あせていない。 この時期は絶頂期だったこともある。 アイルランドの風景や人々との交流をふんだんに取り込んで作品としても上出来である。 *ザ・ローリング・ストーンズ結成60年記念&チャーリー・ワッツ追悼公開作品 *映画com、 https://eiga.com/movie/96784/

■名付けようのない踊り

■脚本・監督:犬童一心,出演:田中泯,石原淋,大友良英ほか ■アップリンク吉祥寺,2022.3-3.31(日本,2021年作) ■田中泯の生い立ちから現在までを編集したドキュメンタリーである。 戦後の頃はアニメで表現している。 当時の記憶に現れる自身を<私の子供>と彼は名付けている。 しかも彼の朗読は素直で優しい。 牙が抜けてしまった。 この監督の作品は初めて見るが童話作家の出身か? ゴツゴツした濃紺の古コートを着て登場する彼の舞台を何度も見たことがある。 そのコートは彼の父が警察官巡査時代に着ていた形見であったこと。 そして「名付けようのない踊り」がロジェ・カイヨウの言葉からとったらしい。 田中泯のダンスにある<遊び>と<聖なるもの>の関係を知ったこと。 この二箇所が記憶に響き残った。 公演等の映像では福島県浪江町?で一匹の蜘蛛を前にした場踊りが気に入る。 蜘蛛と一体化していた。 また「 形の冒険 」や写真集「 田原桂一 」、松岡正剛とのコラボ「 村のドン・キホーテ 」は当ブログに投稿されている。 近況では「 HOKUSAI 北斎 」に出演していた。 いろいろと中途半端で雑多な感じがする映画だった。 でも、それは多様多彩に囲まれた「場踊り」と同期しているからだろう。 *映画com、 https://eiga.com/movie/95713/ *「ブログ検索🔍」に入れる語句は、田中泯  ・・検索結果は5作品

■ザ・ビートルズGetBack、ルーフトップ・コンサート

■監督:ピーター・ジャクソン,出演:ジョン・レノン,ポール・マッカートニー,ジョージ・ハリスン,リンゴ・スター他 ■TOHOシネマズ日比谷,2022.2.25-(アメリカ,2022年作) ■「ザ・ビートルズGetBack」(約6時間)の中からロンドンのアップル社サビル・ロウ本社屋上での「ルーフトップ・コンサート」を抜き出して1時間に再編集した作品と聞いている。 1956年からのビートルズの歩みをざっとお浚いし、1969年1月30日に行われた40分の屋上コンサートを映し出す。 8曲前後を歌ったかな? 「ゲット・バック」、「ドント・レット・ミー・ダウン」「アイヴ・ガッタ・フィーリング」「ワン・アフター・909」「ディグ・ア・ポニー」・・。 途中に2度3度と同じ曲を歌っている。 このコンサート録音からアルバム「レット・イット・ビー」を作成したようだ。 それにしても酷い映像編集だ。 騒音のため警察が止めに入る場面を何回も映し出す。 ここは一度で十分だろう。 周辺群衆へのインタビューもつまらない質問が多い。 コンサートの雰囲気が萎んでしまった。 警察に解散させられた後、当ビル地下スタジオに場所を移し残曲を録音するのだがこれも中途半端だ、クレジットタイトルも入り強く言えないが。 編集方針を変えてもう一本作ったらどうだろうか?  *映画com、 https://eiga.com/movie/96546/

■The New Gospel 新福音書

■監督:ミラ・ロウ,出演:イヴァン・サニェ,パパ・ラティア・フェイ,サミュエル・ジェイコブス他 ■vimeo・配信,2021.11.13-28 ■東京芸術祭4本目の配信を観る。 舞台を撮影した映像ではなく映画として作られていました。 ・・アフリカからイタリアへやってきた移民労働者の政治活動をドキュメントした内容のようです(?) イエス・キリストを主人公とした映画の作成過程を映しているようにもみえる? 役者イエスは活動家らしい? この映画はパゾリーニ監督「奇跡の丘」に似ている? なんと本物の「奇跡の丘」の断片まで挿入してある! イタリア市民と移民たちに取り囲まれながら、最後の晩餐、ペテロの裏切り、そしてイエスの磔へと進んでいく・・。 複雑な構造を持っています。 これらが溶け合い一つの流れになっていく。 現代の移民とイエスの時代が重なって立ち現れてくる。 革命家イエスはいつの時代にも我々の隣にいる。 久しぶりに骨のある映画に出会いました。 *東京芸術祭2021参加作品 *芸術祭、 https://tokyo-festival.jp/2021/program/newgospel/

■アリアーヌ・ムヌーシュキン、太陽劇団の冒険  ■Me,My Mouth and I

□アリアーヌ・ムヌーシュキン,太陽劇団の冒険 ■監督:カトリーヌ・ヴィルプー,出演:アリアーヌ・ムヌーシュキン他 ■東京芸術劇場・プレイハウス,2021.10.6-10(フランス,2009年作) ■「金夢島」の公演は中止になってしまった。 残念です。 代替に映像4作品が上映された。 この中で「堤防の上の鼓手」は2001年9月に新国立劇場で上演、これを記念して演劇博物館で企画展「太陽劇団とオリエント」を開催したのを覚えています。 もう一度(映像だが)見たかったがスケジュールは満杯でした。 今回はドキュメンタ-「太陽劇団の冒険」のみを選択しました。 しかし劇団もムヌーシュキンもよく知らない。 この映画は団員が撮った記録映像を彼女が観ながらコメントする内容になっている。 劇中劇と同じ映画中映画の構造です。 彼女はアジアや映画にも接近し、演劇で世界を変えようとしている。 劇団員の平等で自主的な行動も深みが有る。 特異な劇団にみえます。 再びの来日を期待したいですね。 *東京芸術祭2021参加作品 *劇場、 https://www.geigeki.jp/performance/theater281/ □Me,My Mouth and I ■監督:ソフィー・ロビンソン,出演:ジェス・トム他 ■vimeo・配信,2021.10.1-11(2018年作) ■東京芸術祭に絡めたドキュメンタリー映画をもう1本みる。 これは配信です。 出演のジェス・トムはチック症のひとつトゥレット症候群を持っている。 彼女がサミュエル・ベケットの不条理劇「わたしじゃない」を上演するまでの経緯を撮った映画です。 舞台を創るためにベケット専門家、同症を持人々、脳性マヒの演劇人、視力障害の議員、ヒップホップアーティストなどと会い上演内容を詰めていく。 そして本番をむかえる。 チック症は演劇との相性が良い。 それは制御できない身体としての言葉が舞台を激しく変容させるからです。 チック症を演技する映画作品は時々みますが、演技しない演劇は初めてです。 意識に従わない身体を取り込んだ舞台は興味が尽きません。 *東京芸術祭2021参加作品 *東京芸術祭、 https://tokyo-festival.jp/2021/program/me/

■ワーグナーの夢、メトロポリタン・オペラの挑戦

■監督:スーザン・フロムスキー,出演:ロベール・ルパージュ,デボラ・ヴォイド,ハンター・モリス他 ■MIRAIL・配信,2021.9.3-27(アメリカ,2012年作) ■ワーグナーのドキュメンタリーを続けてもう1本みることにしたの。 それは2010年にMETで上演されたロベール・ルパージュ演出の「指輪」制作過程を撮ったドキュメンタリー作品。 副題は「ニーベルングの指輪の舞台裏」。 もちろん当ブログに感想は載せているわよ。 当時のMETは動員数が減少していた。 しかも数十年にわたり舞台は変化してこなかった。 ワーグナーも1876年のバイロイト初演を認めていない。 ここで歌劇場の発展とワーグナーの夢を叶えるためルパージュが登場したということね。 今回は数十枚の板を串刺にしてグルグル回転する床が大きな話題かな。 重量は40トンもある。 ルパージュは北欧神話「エッダ」と地殻変動を繰り返すアイスランドをイメージしてこの舞台を作ったらしい。 でも本番までの道のりは大変、見ていてそう思った。 METマネジャーのピーター・ゲブルは「守りに入ったら(失敗したら)、国外に去る」とまで言っている。 「ラインの黄金」初日は(危険なので歌手の替りに)スタントマンがヴァルハラへ神々として入城するところが機械の故障でできない。 「ワルキューレ」ではブリュンヒルデが転んでしまう。 「ジークフリート」から指揮者が都合で交代、しかも本番4日前に主役も交代。 「神々の黄昏」は機械も正常稼働し問題なく幕が下りる。 (過去のことだけど)公演が無事に終わりホッとしたわよ。  この作品は映画館で観たが制作過程をみると生舞台でもう一度観たくなってしまった。 *METライブビューイング、 https://www.shochiku.co.jp/met/news/3690/ *「ブログ検索」に入れる語句は、 ルパージュ

■さまよえるオランダ人  ■ワーグナー信仰、バイロイトから世界へ

□さまよえるオランダ人 ■作曲:R・ワーグナー,演出:ドミートリ・チェルニャコフ,指揮:オクサーナ・リーニフ,出演:ジョン・ルンドグレン,アスミク・グリゴリアン他,管弦楽:バイロイト祝祭管弦楽団・合唱団 ■NHK・配信,2021.9.12-17(バイロイト祝祭劇場,2021.7.25収録) ■・・海も船もみえない無機質で小綺麗な街の、それは酒場であり広場でオランダ人船長は彷徨い続ける・・。 バイロイト得意の新解釈にはいつも戸惑ってしまう。 首吊りの光景は序幕からまさかの驚きね。 「・・母を死に追いやった男と社会に、復讐を果たす為に帰還した」と説明があった。 縊死した女は船長の母かも。 二幕の集会場で彼は銃を抜いて街の人を撃ってしまう。 そして三幕、街中に火の手が上がるなか(ゼンダの母)マリーはオランダ人を撃ち殺して幕が下がる。 ・・! 「さまよえるオランダ人」の伝説を皆が信じ込んでいる、特にゼンダはね。 ゼンダの恋人エリックもゼンダがオランダ人と去る夢をみる。 未来はすべて決められているの。 この舞台はマリーだけがまともな夢を見ていたということかしら? 4人の会食場面でもそれが分かった。 うーん、でも混乱する。 カーテンコールではゼンダへの拍手が大きかった。 次がエリックかな。 拍手の量と質で評価が分かるの。 船長は少し拍手が弱かった。 演出家が登場した時はブーイングが混じっていたわね。 演出の評価は分かれるとおもう。 ワーグナーの時空は突破できたけど着地は大きく揺れていたからよ。 現代社会に繋がる問題を感じさせたのは面白かったけど。 それでも、ワーグナーは転んでもワーグナー、を証明した舞台だった。 *NHK、 https://www.nhk.jp/p/premium/ts/MRQZZMYKMW/episode/te/YZQ9KM4JQ5/ □ワーグナー信仰,バイロイトから世界へ ■NHK・配信,2021.9.13-17(ドイツ,2021作成) ■世界のワーグナーファンを訪ね歩く旅なの。 先ずはヴェネツィアへ。 彼はこの地で客死している。 次にバイロイトへ。 ここで曾孫カタリーナ・ワーグナーが登場。 そして米国ニューアークへ。 ここから音楽評論家(名前は忘れた?)がナビゲーターになる。 スターウォーズもロード・オブ・ザ・リングもマトリックス...

■アメリカン・ユートピア

■監督:スパイク・リー,出演:デヴィツド・バーン,ジャクリーン・アセヴェド他 ■吉祥寺オデオン,2021.7.30-(ブロードウェイ・ハドソン劇場?,2020年収録・編集) ■デビッド・バーンと聞いて映画館へ急ぎました。 「ストップ・メイキング・センス」以来でしょう。 簾で囲まれたシンプルな舞台は出入りが自由でなんでもできる。 その中で裸足の演奏者が縦横に動き踊り回る。 バーン自身も喋り歌いまくる。 脳の話から始まり、選挙投票や人種問題など話題も活動的です。 プロテストソングも入り全21曲です。 そこに響き渡るリズムは中南米系が入っていますか? 最高です。 日本では珍しい、社会性を含んだ人生を俯瞰するような歌詞ですね。 しかも人称が単数形ではない。 私たちとあなたたち、彼らと彼女ら、多くが複数形です。 その複数形の人々を一つに繋げようとする。 舞台から降りて演奏しながら観客席を回るエンディングは素晴らしい。 最高でした。 *映画com、 https://eiga.com/movie/94691/

■ジャニス・ジョプリン  ■ジャニス、リトル・ガール・ブルー

□ジャニス・ジョプリン ■監督:デビィット・ホーン,演出:ランディ・ジョンソン,出演:メアリー・ブリジット・デイビス他 ■東劇,2021.7.2-(アメリカ,2018年収録) ■心の底から唸り叫ぶジャニスの声がテキサス荒野に響き渡るようだわ。 「私は、白人女ブルース・・」。 彼女が自身の立ち位置を話していたけど、日本で言えば北方演歌かしら? テキサスは東北へ、綿花畑は寒村風景へ、汗ばむニューオーリンズは吹雪く港町へ、目指すシスコは東京かもね。 コンサートをここまで再現した舞台は珍しい。 バンド構成や衣装・・、それよりジャニス役メアリー・ブリジット・デイビスの熱演が素晴らしい。 でも実際のジャニスのコンサートは映像でも観たことが無い。 彼女が影響を受けたベッシー・スミス、エタ・ジェイムス、アレサ・フランクリンも登場して彩を添える。 胸に響く舞台だったわよ。 *松竹ブロードウェイシネマ作品 *松竹ブロードウェイシネマ、 https://broadwaycinema.jp/_ct/17460199 □ジャニス,リトル・ガール・ブルー ■監督:エイミー・バーグ,出演:サム・アンドリュー,ピーター・アルビン,デイブ・ゲッツ他 ■(アメリカ,2015年作) ■上記「ジャニス・ジョプリン」の後に観たのは正解ね。 先だと舞台を本物のジャニスと比較してしまったからよ。 このドキュメンタリーをみて舞台でのアドリブの多くがジャニス本人の言葉だと知ったの。 彼女の家族、両親や妹弟のこと、シスコでのビッグ・ブラザー参加、モンタレーフェスティバル、コズミック・バンド結成、ウッドストック、高校同窓会での無視・・。 死の前は薬を断ち切っていたようだけど、だめだったようね。 この2本でジャニスがずっと身近になった。 *映画com、 https://eiga.com/movie/84828/

■ダークマスターVR

■原作:狩撫麻礼,演出:タニノクロウ,出演:FOペレイラ宏一朗,金子清文,日高ボブ美,庭劇団ペニノ ■東京芸術劇場.シアターイースト,2020.10.9-18 ■ゴーグルを付けて観る作品が多くなった。 (ゴーグルを付け映像内の主人公となった私が)下町の洋食屋に入る場面から始まる・・。 ・・(私は)食堂主人にコロッケ定食を注文したらしい。 主人は調理した料理をカウンターに置くと私は(内なる身体の手が伸びて)勝手に食べ始める。 突飛だが、彼は私に店を継いで欲しいと言い出す。 私は了解したらしい。 主人はレシピをそっと教えるため私の耳に小さな通信用スピーカを挿入する。 この方法をスタッフは議論したと思う。 私の声をどうするか?幾つかの案があるからだ。 以後、私は食堂主人からの声を心の声として聞くことになる。 つまり私の身体は食堂主人に乗っ取られたともいえる。 私は食堂店員として客に料理を造り続ける・・。 店は繁盛したらしく気が付くと目の前には札束が置いてある。 酔いにかまけて私はデリヘルを呼び女と束の間を楽しむ・・。 そこで映像が終わる。 いやー、楽しいが居心地の悪い夢を見ていたようだ。 特に食堂主人が顔を近づけてくる場面、デリヘル嬢が顔を近づけてくる場面は思わずのけ反ってしまった。 原作に忠実だけあって昭和時代の雰囲気が漂っていた。 (私が)調理している場面では料理の匂いまで感じてしまったほどだ。 ゲームではよくあるが、ヴァーチャル内の私の位置づけをどこに据えるかで多様に展開できる。 特に私の内なる声と外への声をどうするかが見せ所だろう。 *東京芸術祭2020芸劇オータムセレクション *庭劇団ペニノ創立20周年 *劇場サイト、 https://www.geigeki.jp/performance/theater249/

■シェルカウイ 踊りで世界を救う、41日の闘い

■監督:清水真紀子,出演:シディ.ラルビ.シェルカウイ,ディミトリ.ジュルド,ファビアン.トーメ,ジョニー.ロイド,パトリック.ウィリアムズ,パク.ウージュ,吉井盛悟ほか,ナレーション:森山未來 ■(日本,2016年) ■アントワープ出身シェルカウイが演出した「FRACTOS Ⅴ」の作成過程をドキュメンタリーにしている。 毛色の違うダンサー5人と演奏家3人が登場する。 シェルカウイ自身もダンサーの一人として踊る。 「情報が人を操作する世界」を描く。 情報が蔓延する世界は真実や事実から遠く離れてしまった。 言語学者チョムスキーが出処らしい。 シリア難民やベルギー連続テロなどを舞台に乗せて混乱していく様子をストーリーにしているようだ。 西洋と東洋の融合も考えている。 フラメンコ舞踊ファビアンと和太鼓吉井の練習風景が長々と続く。 フラメンコと太鼓の組み合わせは面白いが、二人の動きがどうしても合わない。 結局は大人の都合(?)で折り合いが着く。 シェルカウイは言う。 「・・過去を壊すこと手放すこと、そうすれば新たな生命が生まれる」。 「アートは既存システムを壊すためにある」。 スローモション風の振付だった「PULTO」を思い出してしまった。 この振付がシェルカウイのものだと分かる。 今回もダンサーたちがゆっくりと動き重なり探り合っていく親密な振付になっている。 本番舞台は数分しか映らなかったので何とも言えないが。 独特な身体動作に現代テーマを絡ませる彼の作品は当分目が離せない。 *SPICE、 https://spice.eplus.jp/articles/52773

■瑠璃の舞台ー杉本博司オペラ座への挑戦ー  ■舞踏劇「鷹の井戸」

□瑠璃の舞台-杉本博司オペラ座への挑戦- ■出演:杉本博司,観世銕之丞,語り:高橋美鈴 ■NHK,2020.2.15 ■美術家杉本博司演出のパリ・オペラ座公演「鷹の井戸」の制作映像番組。 杉本は言う、「死生観をもう一度問いたい」「始原に戻りたい」と・・。 彼の作品(写真)には無機から有機が発生するその時の気配が感じられる。 始原の気配を強く意識してしまう。 ここに見応えがある。 さて、舞台の出来はどうだろう? 早速観ることにする(下記に感想)。 *NHKサイト、 https://www.nhk.or.jp/docudocu/program/20/2259677/index.html □舞踏劇「鷹の井戸」 ■原作:W.B.イエイッ,構成.演出:杉本博司,振付:アレッシオ.シルベストリン,作曲:池田亮司,衣装:リック.オウエンス,出演:観世銕之,リュドミラ.パリエロ,ユーゴ.マルジャン,アレッシオ.カルボーネ,舞団:オペラ座バレエ団 ■NHK,2020.2.20(パリオペラ座,2019.9.22収録) ■演出家が気にしていた瑠璃色の良し悪しはテレビではよくわからない。 生の舞台を観たいものだ。 老人の銀、若者の金そして井戸を守る鷹の赤、衣装の色と形が面白い。 離散した音玉が時々聴こえる電子音楽も作品に合っている。 長いヒゲは邪魔にならないかな? 腕や手を意識した振付でバレエから離れる。 コンテンポラリー系に近い。 飛天を描いた前半の群舞は照明の都合で見え難かったが後半はまあまあだ、が手首の動きは雑にみえ、指の動きは大劇場では意味をなさない。 若者と鷹のパ・ド・ドゥは申し分なし。 なんと終幕に能のシテが登場する。 老人の生まれ変わりらしい。 カーテンコールの拍手は弱かった。 観客が戸惑っている様子だ。 オペラ座のバレエ舞台に能を乗せたのは演出家のパワーだと思う。 天晴杉本博司! *パリ・オペラ座350周年公演 *NHKサイト、 https://www2.nhk.or.jp/hensei/program/p.cgi?area=001&date=2020-02-19&ch=31&eid=04822