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■伊豆の踊子

■作:川端康成,演出:多田淳之介,映像監修:本広克行,出演:山﨑晧司,河村若菜,春日井一平ほか,劇団:SPAC ■静岡芸術劇場,2023.10.7-11.19 ■伊豆へ旅しよう! でも名所などを舞台の上で訪れるのですが。 原作は読んだ? いや覚えていない。 粗筋はなんとなく知っています。 会場に入ると長いテラスのような簡易舞台が造られている。 この背後の白壁に名所旧跡などの映像が映し出される。 そこに旧制高校の主人公と途中出会った旅芸人たちが伊豆を泊まり歩いてゆくストーリーです。 下田の港に辿り着いて、主人公と踊り子の甘くて酸っぱい、それは青春の苦みも残しながら幕が下りる。 舞台の主人公は心情を強く表さない。 このため徐々に旅芸人に意識が向いていきます。 彼らの旅慣れているチームワークの良さや家族愛がほんわかと伝わってくる。 差別も受けるが世間の表裏を使い分けながら遣り過ごしていく。 しかも主人公を無条件に受け入れてくれる。 心を閉じていた主人公は旅芸人の異界の心に触れて再生したはずです。 でも踊り子にとってはどうだったか? 旅芸人の力を再び思い出させてくれる舞台でした。 この作品は「連鎖劇」であり「観光演劇」でもある、と芸術監督が言ってましたね。 名所旧跡を訪れるほかに、温泉宿に泊まり一座の芝居や歌やダンスを楽しむこともできた。 社員旅行を思い出してしまいました。 *SPAC2023シーズン作品 *静岡県伊豆文学祭記念事業作品 *CoRich、 https://stage.corich.jp/stage/280529 *「ブログ検索🔍」に入れる語句は、多田淳之介 ・・ 検索結果は16舞台 .

■眠れる森の美女

■原振付:M・プティバ,音楽:P・I・チャイコフスキー,演出:熊川哲也,指揮:井田勝大,出演:日高世菜,山本雅他,小林美奈ほか,舞団:K-バレエ・トウキョウ,管弦楽:シアター・オーケストラ・トウキョウ ■東京文化会館・大ホール,2023.10.24-29 ■序曲が始まり、蛙猫熊羊の緞帳を見ているだけでドキドキしてくるわね。 そして幕が開いて、先ずは舞台美術に目が喜び、華やかな演奏が耳に響き、宮廷衣装に照明を纏ったダンサーのきりりとした動きに身体が驚く、男性ダンサーたちの長身にも。 思っていたより淡泊に仕上がっているの。 しかも無理無駄斑が無い。 新解釈と聞いていたが物語的感動は少ない。 でも満足度はマキシアムよ。 叙事詩的感動を演出は求めているようにみえる。 カンパニー25年の成果の一つだわ。 天皇の「名残惜しい」という感慨は同然。 舞台が醸し出す感動をそのまま受け止めたいわね。 *カンパニー設立25年記念シーズン作品 *CoRich、 https://stage.corich.jp/stage/277780 *「ブログ検索🔍」に入れる語句は、熊川哲也 ・・ 検索結果は14舞台 .

■能楽堂十月「菊の花」「檜垣」

*国立能楽堂十月特別企画公演の□2舞台を観る. □狂言・和泉流・菊の花■出演:野村萬,野村万之丞 □能・金剛流・檜垣(ひがき)■出演:金剛永謹,宝生欣哉,野村万蔵ほか ■国立能楽堂,2023.10.26 ■「菊の花」は、太郎冠者がこっそり京見物へ行ってしまうが土産の旅話で主人に勘弁してもらう「抜参り物」である。 盗んできたのが緒太の金剛(草履)だったのは頂けない。 しかしなぜ上臈(じょうろう、貴婦人)は太郎冠者を誘ったのだろうか? 「檜垣」の上演時間は二時間を越えている。 詞章を読む限りそこまで長くないのだが、観ていて理由が分かった。 それはシテの前後登場場面が長いからだ。 序の舞も長い。 でも気にならないのが能の良さである。 今日は脇正面の前席で観たが橋掛かりの姿をじっくり観るにはこの席はよくない。 シテ面は檜垣姥から小町老女に変わる。 この変差も老女末路の姿、つまり老と霊にしっかり同期していて面白い。 笛と小鼓は物語に沿っていたが大鼓は力が入り過ぎていた。 もう少し抑えれば舞台の完成度はより高まる。 地謡は巧かった。 NHKの収録が入ったらしい。 出演者たちが裃を付けていたのはそのためかな? *劇場、 https://www.ntj.jac.go.jp/schedule/nou/2023/10167.html?lan=j

■終わりよければすべてよし

■作:W・シェイクスピア,翻訳:小田島雄志,演出:鵜山仁,出演:岡本健一,浦井健治,中嶋明子ほか ■新国立劇場・中劇場,2023.10.18-11.18 ■ただっぴろい中劇場が苦にならない。 周囲に雑草を植えただけなのに、です。 二つのベンチと大きな布がシーンを繋げていく。 なにも無い空間でも物語密度が保たれています。 そこに響く科白は静かさと伴にシェイクスピアが持つリズムを思い起こさせてくれる。 満ち足りるように物語に入っていけました、でも際どい処女の話で始まるのですが。 ヘレナの企みは支離滅裂にみえるが聡明叡智の極みです。 彼女の行動がタイトルを導いているのですね。 登場人物と俳優を分けて観る余裕がこの舞台にはある。 この余裕はどこからきているのか? フランス王が岡本健一とは、初めは分からなかった。 それだけ巧い。 ペーローレスがそんなに悪党なのか? 結局は悪党にさせられてしまった?ようにみえた。 ところでバートラムは異星人ですね。 浦井健治の発声や動きは他役者とは違う。 早口で忙しない。 シェイクスピア空間に裂け目を入れている。 演出でしょうか? カンパニーという言葉があったので実体を探したが見つからなかった。 当劇場のシェイクスピア歴史劇シリーズに携わったスタッフ・キャストをカンパニーと言っているらしい(?) 今回は歴史劇と違って身構えないでみることができました。 これが余裕の理由かもしれない。 *NNTTドラマ2023シーズン作品 *劇場、 https://www.nntt.jac.go.jp/play/shakespeare-dark-comedy/

■金夢島

■演出:アリアーヌ・ムヌーシュキン,出演:太陽劇団テアトル・デュ・ソレイユ ■東京芸術劇場・プレイハウス,2023.10.20-26 ■役者の多くは仮面をつけたような厚化粧で日本人を演じ始める。 昭和時代に戻ったような着物姿でぎこちなく動き回る。 人形のようにもみえる。 ここに異様な風景が出現します。 そして道具類はすべて手製で次から次へと持ち出してくる。 何が出るのか?ドキドキしますね。 粗筋があるようです。 死が近い老婆の夢の中で、・・日本の金夢島(佐渡島?)で演劇祭が始まろうとしている。 しかし祭りを支援する市長と島にカジノを建てようとする反市長派が対立してしまう・・。 老婆の夢で、島民に事件が起きつつ、祭りで芝居が演じられる。 この劇中劇中劇という複雑構造が何度も繰り返されるとは驚きです。 香港や中東・ブラジルなど世界中からやってきた劇団の芝居はハチャメチャだが意味深ですね。 全裸劇団も登場する。 特に政治的アジテーションは現実的です。 香港やウクライナ、イスラエルやハマスも話題に上げられ、後半は詩的な科白も加わっていく。 歌唱も入り感動的です。 祭りでは劇団ごとに舞台を作り替えていき、その間にカジノ騒動が割って入る。 まるで紙芝居のようです。 銭湯で湯に浸かったり、猿や鶴に変身し駱駝が歩きまわる。 自動車や船はもちろんヘリコプターまで飛び回る。 能舞台(風)もあり謡や日本舞踊などの異化効果は抜群です。 役者は30人くらいですか? 作品の隅々までに己の身体を出し切っているようにみえる。 彼らが動き回る舞台裏まで想像できます。 演劇の醍醐味を十二分に味わいました。 *東京芸術祭2023作品 *劇場、 http://www.geigeki.jp/performance/theater336/

■かぐや姫

■演出:金森穣,音楽:C・ドビュッシー,出演:足立真理亜,秋元康臣,木村和夫ほか,舞団:東京バレエ団 ■東京文化会館・大ホール,2023.10.20-22 ■世界初演ということで、いざ上野へ。 ・・舞台は簡素です。 衣装もです。 でも近未来的なスタイルでかっこいい。 コンテンポラリを取り入れた振付が冴えている。 特に群舞はミニマムな心地よさがある。 アジア的仏教的な手の動きは素晴らしい。 摺足も使用していて鋭い走りをする。 ダンサーたちの登場や退場、マントを脱ぐ動作、黒衣の存在、すべてが計算し尽されていますね。 主な役者には数人の群舞を付け身体拡張をしているのが面白い。 そして背には冷めた月が輝いている。 音楽はドビュッシーです。 ここに月の世界が出現します。 かぐや姫は、なぜやって来たのか、そして帰って行ったのか? 凡そは知っていたが物語は淡々としている。 たぶん原因はドビュッシーにあるのかもしれない。 音楽が物語と観客の間に入り間接的な接触になってしまった。 姫と道児との恋愛もあったが脇道です。 でもドビュシー以外は考えられません。 アフタートークを聞く。 出席は金森穣と司会者(名前は忘れた)。 ・・「日本から世界へ発信するためにかぐや姫を選んだ」「グランドバレエの再定義をしたい」「かぐや姫とは誰か?」。 誰でしょう? 「ノイズムではなく東京バレエ団のメソッドを優先した」「当初は紙芝居的だったが日本昔話から離れてより抽象化させた」。 これで物語が冷たくなったのかも? 「昔は月光の存在が大きかった」。 現代人にとっては羨ましい。 「これからも東京バレエ団で再演したい」。 などなど。 日本昔話の抽象化や月光の世界に馴染むことは必要ですね。 「かぐや姫はなぜやって来たのか、そして帰って行ったのか?」。 観客がそれぞれの答えを見つけ出せたらより面白くなります。 *舞団、 https://www.nbs.or.jp/stages/2023/kaguya/ *「ブログ検索🔍」に入れる語句は、金森穣 ・・ 検索結果は34舞台 .

■ジュリオ・チェーザレ

■作曲:G・F・ヘンデル,指揮:鈴木優人,演出:佐藤美晴,出演:ティム・ミード,森麻季,マリアンヌ・ベアーテ・キーラント他,管弦楽:バッハ・コレギウム・ジャパン ■神奈川県立音楽堂,2023.10.14 ■オペラはセミ・ステージ形式が矢張り最高! 演奏者や器楽が観客に見えると親近感が増すからよ。 古楽器を使うこの作品は特にね。 音源と器が目で結び付けられるのが楽しい。 歌唱も演奏も余裕がみえた。 たぶん全国公演最終日だから? しかも、こんなにも繊細な作品とは知らなかった。 これは再発見ね。 字幕も鍛えられている。 文字数は多いが脳にしっかり届いている。 自然描写や人間の悲しみ・苦しみが歌唱に乗せて伝わってくる。 指揮者と演奏者の親密さがこれを可能していたと思う。 大劇場では味わえない。 チェザーレの細やかな心情は歌手ティム・ミードにも負っているようにみえる。 衣装も立派。 クレオパトラは3・4回着替えたかしら? 歌手森麻季はヘアも似合っていて期待されるクレオパトラ像を演じ喝采を受けていた。 舞台には楽団を取り囲んだ道ができていて歌手の動きや演技も言うことなし。 サービス満点だったわよ。 *音楽堂室内オペラ・プロジェクト第6弾 *劇場、 https://www.kanagawa-ongakudo.com/d/cesare2023

■失われた歴史を探して

■作:金義卿,脚色・演出:金守珍,趙博,出演:趙博,大久保鷹,水嶋カンナ他,劇団:新宿梁山泊 ■スズナリ,2023.10.12-15 ■関東大震災朝鮮人虐殺事件を扱った舞台です。 東京下町で工場を営んでいる田中一家と朝鮮人従業員がこの事件に巻き込まれていく・・。  家族や従業員と事件の両方を描くには粗すぎる展開です。 息子俊行と従業員キムの娘スンギの恋愛も忙しい。 特に、軍国主義に染まっていた息子の心情を追うことができない。 つまり事件を説明し過ぎた。 それは既に100年が経ち公文書記録も多く残っているのに、松野官房長官が「記録が見当たらない」と発言したり、小池都知事は追悼文を中止するなど、政府・行政が誠実に向き合って来なかったからです。 この状況を崩すため、現代女子の歴史探訪を劇中劇にして「失われた歴史を探して」いくのを止めてはいけない! こう言っている舞台にみえる。 幕間での趙博の裏話に一息つけました。 *新宿梁山泊第75回公演 *CoRich、 https://stage.corich.jp/stage/277828 *「ブログ検索🔍」に入れる語句は、金守珍 ・・ 検索結果は13舞台 .

■修道女アンジェリカ ■子どもと魔法

□修道女アンジェリカ■作曲:G・プッチーニ,指揮:沼尻竜典,演出:粟國淳,出演:キアーラ・イゾットン,齊藤純子,塩崎めぐみ他,管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団 □子どもと魔法■作曲:M・ラヴェル,指揮:沼尻竜典,演出:粟國淳,出演:クロエ・ブリオ,斎藤順子,田中大揮ほか,児童合唱:世田谷ジュニア合唱団 ■新国立劇場・オペラパレス,2023.10.1-9 ■「修道女アンジェリカ」は物語が生煮え、タイトルロールのキアーラ・イゾットンのソプラノは旨煮えだったけど。 修道院生活が凡庸なためアンジェリカや叔母の過去が省かれてしまった。 彼女の自殺未遂、そして子どもと再会しても急いで幕が下りる。 1時間をどこに配分するのか? 難しいわね。 「子どもと魔法」は絵本を展開したような楽しい舞台だった。 小道具・大道具の出来栄えに目がいってしまう。 ダンスも映える。 子どもが残酷な(ようにみえる)のは当たり前。 虫や花をいじめ、犬や猫をからかい、道具を壊す。 彼らが子どもを諭すのは分かるが最後は母に向かうしかない。 拍子抜けな物語だった。 前回のダブルビル「フィレンツェの悲劇」と「ジャンニ・スキッキ」の喜劇と悲劇は互いを引き立てていた。 今回は母子を結びつけようとしたのね。 前者が子供を後者は母を直接登場させなかったのは面白い。 でも母子へ向かっていくベクトルが細かった。 それは(母子の)周囲に気を使い過ぎたせいかも。 ところで今日は満席でホワイエも賑わいが戻ったし、新シーズンが無事に進んでいくのを祈りましょう。 *NNTTオペラ2023シーズン作品 *劇場、 https://www.nntt.jac.go.jp/enjoy/record/detail/37_026404.html *「ブログ検索🔍」に入れる語句は、粟國淳 ・・ 検索結果は3舞台 .

■ハムレットマシーン2023

■作:ハイナー・ミュラー,演出:岡本章,出演:岡本章,櫻間金記,劇団:鍊肉工房 ■上野ストアハウス,2023.10.4-9 ■何も無い舞台だ、が客席近くにディスプレイが床に寝かせてある。 水が流れている映像?・・泡がゆっくり動いている。 暗いなか岡本章が蠢き科白を発する。 「・・ハッ、ハッ、ハムレットダッタ!」。 独特な発声が劇的さを呼び込む。 そして能面姿の櫻間金記がウェディングドレスに着替えてオフィーリアに・・。 弦で空間を切り裂く音、鼓の響き。 緊張感漂う舞台だ。 コラージュ作品だが台詞がビシビシと伝わってくる。 社会主義時代東欧の動乱も記憶に浮かぶ。 演出家の挨拶文に・・ 1.言葉を再構成し朗唱にして身体に語らせた。 2.美術で無の時間、音楽で即興を重視し舞台を異化し続けた。 3。夢幻能を取り込んで成仏できない死者の声・姿を出現させた。 などなど。 この3点は巧く融合できていたと思う。 しかも背景をシンプルにしたので効果が高められていた。 先日観た「 アカイツキ 」と客層は同じだが男女比が逆転している。 今日は男性が7割か? ・・。 久しぶりに上野駅を散策する。 夏休みに田舎へ帰っていた時代を思い出してしまった。 *劇場、 https://storehouse.ne.jp/line_up.html *「ブログ検索🔍」に入れる語句は、岡本章 ・・ 検索結果は5舞台 .

■能楽堂十月「呂蓮」「呉服」

*国立能楽堂十月定例公演の□2舞台を観る. □狂言・和泉流・呂蓮■出演:佐藤友彦,鹿島俊裕,今枝郁雄 □能・宝生流・呉服(作物出)■出演:東川光夫,小倉健太郎,則久英志ほか ■国立能楽堂,2023.10.4 ■「呂蓮(ろれん)」は<この世>と<あの世>はどちらが大事か?を問う。 人はこれで悩む時がある。 出家を決意した夫だが、妻が登場した途端に悩み事を引っ込めてしまった。 凡人にとって<この世>は強すぎる。 機織りは5世紀頃に呉国から日本に伝わったらしい。 そのときに渡来した縫工女(きぬぬいめ)の呉服織(くれはどり)と漢服織(あやはどり)の二人を主人公にした作品が「呉服(くれは)」である。 この作品はデュオの効果が出ている。 二人が登場し橋掛かりで向き合ってじっとしている場面はなかなかの感動モノだ。 二人の立ち位置が想像できる。 そして中ノ舞も面白い、ちょっと固さはあったが。 面はシテが泣増(なきぞう)ツレが小面(こおもて)。 登場した時はどちらがシテか分からなかった。 物語が進むにつれて面の違いに納得、それは泣増には遠い故郷への複雑な思いが表れているから、かもしれない。 十月に入り謡も囃子も裃を外して登場、公演もダブルビルに戻ったので集中力を落とさず観ることができた。 *劇場、 https://www.ntj.jac.go.jp/schedule/nou/2023/10158.html?lan=j

■能楽堂九月「芭蕉」「文蔵」「望月」

*国立能楽堂九月公演の□3舞台を観る. □能・観世流・芭蕉■出演:観世恭秀,宝生常三,茂山七五三ほか □狂言・大蔵流・文蔵■出演:茂山千五郎,茂山茂 □能・宝生流・望月■出演:武田孝史,野月聡,福王茂十郎ほか ■国立能楽堂,2023.9.30 ■僧が法華経薬草喩品(やくそうゆぼん)を読誦し、「芭蕉」の精と共に草木成仏・女人成仏を論じ諸法実相へ導かれていく。 作者金春禅竹の思想が窺える。 これはSDGsやLGBTQなどの現代にも繋がりそうだ。 興味を持って観たが舞台はしかし応えてくれない。 シテの声が細く動きも鈍い。 これは演出なのか? 儚い芭蕉葉らしく描いたのか? おおらかな自然崇拝の世界へ浸かることができなかった。 期待を持ち過ぎたかな。 「文蔵」は1180年石橋山での源平合戦が語られる。 武将たちの衣服や装飾品から姿・形がありありとみえてくる。 当時の美術品を観賞しているようだ。 美術館とのコラボでも似合う。 「望月」は武士の敵討ちのためか歯切れが良い。 小方花若の鞨鼓(かっこ)、友房の獅子舞など芸尽くしが続く。 役者たちの途中の退場も巧い。 気持ちよい観後感だ。 *開場40周年記念公演 *劇場、 https://www.ntj.jac.go.jp/schedule/nou/2023/9-403.html?lan=j