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■眠れる森の美女

■ 音楽:P・チャイコフスキ,振付:Y・グリゴローヴィチ,出演:S・ザハーロワ,D・ホールバーグ ■イオンシネマ 系,2013.11.27-30 ■ ちょっとガッカリね。 金襴豪華だけど中身がボヤケている感じ。 背景に金色を使いすぎて華やかな衣装が沈んでしまっているし、舞台が広くて締まりが無い、そして物語に引き込む力が弱い。 題名を知らないで観たらこれが眠れる森の美女?と疑問符がついてしまうわ。 オーロラ姫は眠っていたのではなく寝ていた感じだしね。 ホールバーグはヤンキー的で面白かった。 ザハーロワはもう少し気が利いてもよいはず。  技術的には申し分が無いけど。 ロイヤル・バレエ*1 が良すぎたのかしら? 「スパルタクス」の ような鋼鉄の舞台なら隠せたけど、大味な作品が続くと少し心配になるわね。 *1、 ロイヤル・バレエ「眠れる森の美女」(2013年) *ボリショイ・バレエinシネマ作品 *主催者サイト、 http://bolshoi-cinema.jp/

■NORAノーラ

■ 作:H・イプセン,演出・出演:tgSTANティージースタン ■ あうるすぽっと,2013.11.27-28 ■ 入場すると役者が観客と話をしていた。 この小道具の値段は幾らしたとか・・、喋りながらそのまま劇に入っていく。 出演者4名は始終舞台にいて演技する他の役者を見つめている。 舞台の脇で着替えたり水を飲んだりもする。 客席も同じ照明が広がる 。 役者の視線の多くは観客に向けられる。 しかし違和感が無い。 安心感が漂っているからである。 全体の成熟度が高い。 ノーラの二度のダンスも面白い効果が出ている。 音楽もいい。 冗長度を生かしたプロの舞台を観ているようだ。 カネが十分にあればカネを意識することが日常では極端に減る。 人間関係が上手くいっている時も同じである。 ランクとの関係がこれだ。 ヘルメルとノーラの行き違いは両者の甘えから来ているようにみえた。 男女間の寛容度が無さすぎる。 後半客席の照明が暗くなった。 流れがシビアである。 仕事で良い部下を持った感じだ。 ところで終幕だがノーラが人形を例えに出した場面で幕を降ろすべきである。 だらだら延ばす必要はない。  よりドライになりコクとキレが出たはずだ。  初めて観た劇団だが気に入った。  * 第2回現代イプセン演劇祭参加作品 *劇場サイト、 http://www.owlspot.jp/performance/131127.html

■モモノパノラマ

■ 作・演出:藤田貴大,出演:マームとジプシー ■ 神奈川芸術劇場・大スタジオ,2013.11.21-12.1 ■ モモとは猫の名、そして舞台は中高校時代?の家族と友達の話のようです。 大事件があるのでもなく最後に猫の死に様を描きます。 前作の「COCOON」の激しさとは正反対、というよりアウェーから戻って来た感じです。 ホームでの話は劇団の地の姿を見せてくれます。 役者の過去に戻る言い回しで青春時代の風景を舞台に現前させていきます。 材木を組み立てて動かしたり、縄跳び・馬跳び・馬乗りがリフレインの替りです。 身体リズムがいつもより緩やかです。 4面の客席を意識して極めて平均化した動をします。 これで声が聞きづらい場面が多々あります。 この為集中力が欠けてしまい、自身の過去を重ねあわせながら寄り道をしてしまいます。 兄弟喧嘩の違いや猫ではなく子供のころ飼っていた犬のシロのことなど々。 モモではなくシロノパノラマといったところです。 たわいのない話ですが独特の身体空間で透明感ある物語に変容させてくれます。 *劇場サイト、 http://www.kaat.jp/detail?id=32296#.UpKKINJxClo

■光のない。(プロローグ?)

■ 作:エレフリーデ・イェリネク,演出:小沢剛 ■ 東京芸術劇場・シアターイースト,2013.11.21-24 ■ 高校美術部の文化祭に行った感じです。 写真や絵画の上に文章が書かれて展示されています。 読み難くてどうしようもありませんね。 「表象」と「ハイデッカー」の文字が網膜に残りました。 どこからかゴリラ!が登場します。 近くで見ると迫力があります。 「くまモン」の人気の理由がこの時わかりました。 ゴリラは死んだ乳牛を床に並べて悲しみます。 これは狂牛病でしょうか? 背景では手製電子ピアノ?が音楽を奏でています。 次にスクリーン一杯に海岸の映像です。 ゴリラがフラダンスを踊っています。 映像が終わっても場内でゴリラが踊りを続けています。 そして積んである袋の上に登りもがき苦しみます。 袋には原発事故汚染水が入っているのでは? ゴリラは沈んでいきます。   ・・。 *劇場サイト、 http://www.geigeki.jp/performance/theater043/theater043_4/

■東海道四谷怪談

■ 作:鶴屋南北,監修:木ノ下裕一,演出:杉原邦生,出演:木ノ下歌舞伎 ■ あうるすぽっと,2013.11.21-24 ■ 黒白縦縞の薄汚い傾斜舞台はとても観やすい。 江戸時代に現代を被せたような舞台である。 小道具は江戸、衣装は今風だが刀を差している。 喋りは江戸と現代が混ざり合っている。 ラップミュージックもある。 二組の夫婦が二つの焦点にいるようだ。 物語が周りの楕円曲線上に描かれていく。 一焦点にお岩と伊右衛門そしてお梅、もう一焦点にお袖と与茂七そして直助がいる。 二組とも三角関係だ。 お袖とお岩の澄んだ声に女の悲哀が込められていた。 一幕は二組夫婦の展開。 二幕はお岩の狂乱と死。 三幕はお袖と直助の死。 そして伊右衛門と与茂七のチャンバラで幕が降りる。 上演時間が6時間もあったがスピード感があるので長く感じさせない。 お岩の醜顔や怨霊も物語の一部として組み込まれ影が薄い。 四谷怪談も忠臣蔵も背景でうごめいているようだ。 ポストトークで木ノ下も「これは群集(像?)劇である・・」と言っていたが、なるほど。 群像劇はあとからズシンと感動が来るのだが、しかしこれが弱かった。 どの場面も現代との距離が意識に上ってしまったのが理由である。 群像劇は結果として舞台上で一つの時代を形作らなければ感動が来ない。 三幕では構成を変えて、役者を周囲に座らせ中で演技をする方法を取っていた。 長時間の為変化を取り入れたのだとおもう。 面白いが前幕迄のリズムを崩してしまったのは勿体無い。 通し上演の難しさだろう。 *F/Tフェスティバルトーキョー2013参加作品 *劇団サイト、 http://kinoshita-kabuki.org/works/yotsuyakaidan

■鼻

■ 音楽:D・ショスタコーヴィチ,指揮:P・スメルコフ,演出:W・ケントリッジ,出演:P・ジョット ■ 東劇,2013.11.16-22(MET,2013.10.26収録) ■ 面白さは予想以上だわ。 理由は二つあるの。 一つは、歌唱と科白が映像や美術道具とみごとに調和している。 二つ目として、官僚国家がリアルに描かれているから。 これはケントリッジの総合芸術力の成果ね。 ショスタコーヴィチをロシア風アヴァンギャルドで包み込むと官僚国家ソビエトが出現するから驚きね。 ジャズ風音楽も風刺劇に向いている。 八等官の主人公は庶民生活ではどのような位置づけなの? 服のボタンで国家機関のどの部署か分かるの? 警察官は教育費不足で賄賂を要求するの? ・・これは尋常ではない! 新聞社建物の構造、警察官のデモ排除用マントも凄い。 このような作品をMETで観ることができたのは嬉しいわ。 ほかではちょっと無理かもネ。 *METライブビューイング2013年作品 *主催者サイト、 http://www.shochiku.co.jp/met/program/s/2013-14/#program_02

■バレエ・リュス、ストラヴィンスキ・イブニング

■ 音楽:I・ストラヴィンスキー,指揮:K・カッセル,監督:D・ビントレー,出演:新国立劇場バレエ団 ■ 新国立劇場・オペラパレス,2013.11.13-17 ■ 三本立てです。 「火の鳥」は白い月、煌めく星々、澄み切った空気、でも登場した火の鳥は鶴か鷺のようです。 もっと火のような激しさがあるのかと想像していました。 淡白ですね。 物語を規則正しく消化したような舞台でした。 「アポロ」も澄み切った舞台です。 青を背景に階段のある黒い建物はとてもシュールです。 ギリシャ的?な白の衣装が映えます。 アポロと3人のミューズはマスゲームのような関係で踊ります。 首や手首など直角にする振付がとても面白い。  詞の面白い「結婚」の振付は農村らしい平凡さがあります。 音楽が素晴らしい。 ストラヴィンスキーのエンジンがやっと全開した。 戻りますが2作目では既にダンスと音楽が拮抗していました。 フォーキンもニジンスカも期待外れでした。 というより20世紀初頭のパリのバレエ界が酷すぎたのかもしれません。 ストラヴィンスキはさすがでした。 バランシンもよかった。 でもバレエ・リュスの雰囲気がどういうものか伝わってこなかった舞台でした。 *NNTTバレエ2013シーズン作品 *作品サイト、 http://www.atre.jp/13russes/

■スパルタクス

■ 音楽:A・ハチャトリアン,振付:Y・グリゴローヴィチ,出演:M・ロブーヒン,A・ニクリナ,S・ザハーロフ,V・ラントラートフ ■イオンシネマ 系,2013.11.13-17 ■ ソビエトを引き継いでいるような舞台だわね。 ハチャトリアンとグリゴローヴィチが結合して鋼鉄の舞台が出現するの。 重量級だけど切れ味は素晴らしい。 サーカスを見ているような場面もあったけど、豪快な振付に脳味噌がピクピクしちゃったわ。 大きな石垣の背景と広い舞台がダンサーの肉体を解放していた。 そして夕焼けのような赤茶けた照明と夜明け前の薄青色の照明。 この二つの色でローマの闘いと愛に深みを与えていた。 でも身体が物語を紡ぎだすのは難しいようね。 ダンサーの表情も硬すぎるし大味で緊張感が続かない。 もうすこし感情表現を導入すれば緊張が最後まで保てたかもしれないわ。 ボリショイバレエ団のフラグシップ作品だと納得。 *ボリショイ・バレエinシネマ作品 *主催者サイト、 http://bolshoi-cinema.jp/

■夜会VOL.17

■ 出演:中島みゆき ■テアトル 新宿,2013.11.9- ■ BGMが鳴り続けているようで実際に歌っているようにはみえない。 CDを聞きながら別に撮った映像を見ているようだ。 音響は相当に手を入れている感じである。 舞台の臭いがしない。 これだけの演技をするのに、中島みゆきは大きなマイクを手から離さない。 コンサートとしての「歌旅」「歌姫」とは雲泥の差である。 「夜会」は舞台で一度も観ていない。 実際の舞台はもっと良かったのではないかと思う。 この内容で舞台が上演されたとは少し信じ難い。 近頃は舞台を撮った映像を上演することが多くなった。 映像化する目的・方法はいろいろあってもよいが、編集度合は事前に公開して欲しいくらいだ。 舞台との差異が知りたいこともある。

■もう風も吹かない

■ 作・演出:平田オリザ,出演:青年団 ■ 吉祥寺シアタ,2013.11.7-18 ■ セリフが脳味噌にピッタリくっついてしまった感じのする舞台だったわ。 役者の雑談から離れられないということね。 これと似ているのは小津安二郎の映画よ。 違うところは小津は波長が長いこと。 小津リズムね。 この舞台は波長が短い。 この波長が上演時間120分を規則正しく脈打っていた。 途中10分程もたつく場面があって飽きが来たけど持ち直したようね。 20人くらいの役者の多くが椅子に座り時々出入りするくらいの静的な舞台も波長と同期していた。 どうも近未来の話のようだけど・・。 人を助けるとは? 海外協力隊員の内輪話を聞いていていろいろ考えさせられたわ。 それよりも上演時間全体や舞台全体をまるごと意識させる演劇的感動とは何か?を考えてしまう舞台だった。 *劇場サイト、 http://www.musashino-culture.or.jp/k_theatre/eventinfo/2013/07/post-18.html

■クリプトグラム

■ 作:デイヴィド・マメット,演出:小川絵梨子 ■シアタートラム,2013.11.6-24 ■ 均整のとれた階段のある白い応接間が印象的です。 10歳前くらいの子供が終幕まで台詞を喋る芝居は殆ど見たことがありません。 両親が登場しますが父親ではないことが直ぐわかります。 息子が父の帰りを待っているからです。 疑問を次々と質問する息子に男と母も翻弄されます。 愛しているとか約束という言葉が子供に向けられます。 子供への言葉は大人と同じことを実感します。 日本の親は余程でないと子供に使わない言葉です。 男の喋り方は何かオドオドしています。 最初は子供に合わせているのかとみていましたが、そうではなさそうです。 何か隠しています。 男は自身の紹介を短く喋りましたが全体像はみえません。 一度だけ女に愛していると言ったようにもみえます。 男として。 男は子供の父を殺してしまったのではないか? 疑問のまま終わってしまいました。 チラシには粗筋もありません。 「作者が仕掛けた「暗号」とは・・」と書いてありますが、これは何か? 今もって暗号を含め他のことすべてが解読できていません。 *劇場、 http://setagaya-pt.jp/theater_info/2013/11/post_342.html

■セールスマンの死

■ 作:アーサ・ミラ,演出:中島諒 人,出演:鳥の劇場 ■ 新国立劇場・小劇場,2013.11.9-10 ■ この作品はいつも同じ観後感を持ってしまう。 「幸せは同じ顔をしているが、不幸はみな違う顔をしている」。 逆である。 「幸せは違う顔をしているが、不幸はみな同じ顔をしている」。  職業の不幸は人を同じ顔にしてしまう 。 母と子は喪服姿である。 ビフは少年時代、大学時代と現在の3人が登場する。 喪服を基準に時間の流れを舞台に可視化できていて面白い。 時々観客に扮した変なオバサンが二人でてきて漫才をする。 唯一の笑いでホットさせてくれる。 鳥の劇場は初めて観た。 特に兄は身体から湧き出る喋り方をする。 日中韓の複数言語の使用もそうだが鈴木忠志の影響がある劇団にみえた。 しかしこの作品は強い。 ビフはそのまま日本の社会に当てはめることができる。 そして資本主義の浸透力は舞台上のあらゆる小細工を無意味にしてしまう。 *主催者サイト、 http://www.beseto.jp/20th/program/tottori_prog01.html

■ザ・スーツ

■ 作:キャン・センバ,演出:ピータ・ブルック ■ パルコ劇場,2013.11.6-17 ■ まるで能舞台のようだわ、といってもブルック流のね。 ギターやアコオデオン・トランペットは囃子方。 音楽の比重が高いのも似ているの。 スーツとのダンスもシテの舞のよう。 衣服に意味をこめるのも能の話によくある。 妻の不倫を夫が許さない。 許して忘れろと友達から言われた夫は妻の元に急ぐが時すでに遅し。 妻は自死してしまう。 時代はアパルトヘイト時代のヨハネスブルクで俳優はすべて黒人。 洗練された明るい日常的衣装がとても似合っている。 まさにグローバル演劇だわ。 世界共通の話題である人種差別と愛する人の不倫をシンプルな舞台にして提供しているからよ。 そして国や人種を越えた抽象性のある感動を持っているの。 ブルック流世界の素晴らしさね。 しかも観客への目配りが多くて役者たちと親しみの有る対話をしているみたい。 パーティ場面ではなんと数人の観客を舞台に招待したの。 この劇場は舞台と観客の距離が近いこともあるから俳優との一体感はいつも以上だった。 *作品サイト、 http://www.parco-play.com/web/play/suit/

■髑髏城の七人-アカドクロ-

■ 作:中島かずき,演出:いのうえひでのり,出演:古田新太,水野美紀,劇団☆新感線 ■ 新宿バルト9,2013.11.5-8(2004.9.18収録) ■ 前半は物語の説明だけで終わってしまいました。 背景はチャンバラだけです。 後半に物語や人物の全容がみえてやっと面白くなります。 台詞に切れがあるのはチャンバラとの相乗効果もあるでしょう。 息切れするので言葉が短くなるからです。 天魔王と捨之介は織田信長残党で瓜二つという設定。 もちろん一人二役、しかも無界屋蘭兵衛は森蘭丸、牢人狸穴二郎衛門が家康とは嬉しい驚きです。 秀吉の関東攻めの合間にイギリス海軍に大阪を攻撃してもらうという天魔王の計画も楽しすぎます。 しかしストーリーで活かされるのは家康だけです。 天魔王の仮面や蘭丸のネックレスが信長の骨と聞いてゾクゾクしましたが何もおこりません。 後半、雑多で決まり通りの流れとチャンバラに終始します。 リズムある勢いの面白さはいつもながら素晴らしい。 そして生き残った捨之介はひょっとしたら天魔王なのでは? ダース・ベーダーは死んでしまったのか? ・・わからないまま幕が降りてしまいました。 *ゲキXシネ作品 *作品、 http://www.geki-cine.jp/akadokuro/

■エフゲニー・オネーギン

■原作:A・プーシキン,作曲:P・チャイコフスキー, 指揮:V・ゲルギエフ,演出:D・ワーナ,出演:A・ネトレプコ,M・クヴィエチェン,P・ペチャワ,O・ヴォルコヴァ ■ 新宿ピカデリ,2013.11.2-8(MET,2013.10.5収録) ■ 草色で統一された舞台はA・ワイエスの絵を思い出させてくれる。 豊かな米国農村のようでMETはやっぱり欧州とは違うわね 。 ワーグナーは言葉=歌唱と音楽が別々に迫ってくるけど、チャイコフスキは言葉が音楽に乗って届く感じね。 どちらも歌唱の意味を噛みしめるだけの経験豊かな中身を持っているわ。 P・ゲルブ が「チェーホフを観ているようだ」と言っていたけどある意味当たり。 1幕のネトレプコの純真さは化粧や衣装で誤魔化していたけど素敵よ。 3幕もロシア語だから余裕なの。 彼女は歌唱はお見事だけど言葉が浅いのよ。 でも舞台の面白さは科白がリアルなことにあるようね。 だからチャイコフスキーってこんなにも面白い! 当時の慣習が舞台の隅々に漂っているし、グレーミング公爵の短い登場にも重みがある。 そして高等遊民オネーギンの楽しみや悩みが歌唱の中にしっかり表現されていた。 指揮者が学生の頃に原作を暗記させられたと話していたけど、ロシア文学オペラ恐るべし! *METライブビューイング2013 年作品 *主催者サイト、 http://www.shochiku.co.jp/met/program/s/2013-14/#program_01

■ひかり-NOT HERE

■ 出演:櫻井郁也 ■PLAN-B,2013.11.1-2 ■ 肩を軸にして腕を動かす。 細部に行く途中で腕を展開する。 そのまま体全体に向かう。 基本はおおらかな振付にみえます。 カーボーイのズボンとインディアンのシャツ?。 西部劇を思い出す衣装です。 振付も乾燥的と言ってよいかもしれません。 舞踏が原点のようです。 二度ほどのピアノ場面に振付が明るくなりました。 動きは素晴らしいです。 しかし盛り上がる場面はもう少しメリハリを付けてもよいのではないでしょうか? 顔の表情はオドロオドロしく盛り上がっていましたね。 櫻井郁也の名は聞いていたのですが観る機会がなかった。 今日が初めてです。 近頃は舞踏もご無沙汰していました。 久しぶりの充実した舞台で心が洗われました。 *チラシ、 http://stage.corich.jp/img_stage/l/stage38926_1.jpg?1383461630

■甘露

■ 作・出:西尾佳織,劇団:鳥公園 ■ 三鷹芸術文化センタ,2013.10.25-11.2 ■ 広い空間をつまみ食いしているような舞台である。 奥まで行ってインスタントラーメンにお湯を入れたり、高い窓からデートをしたりだ。 声が響くので聞き耳をたてる必要もあった。 デート以外では劇場の使い方が成功しているとはいえない。 父娘や会社の同僚、同窓会の話があるので昔友達など人間関係はある程度わかる。 しかし興味のわかないストーリーである。 女教師の初めてのデート場面が記憶に残るくらいか。 内と外の関係に興味があるらしい。  肉体に関しての話題、特に口腔から肛門までの食事・排泄や臭いの話、国の内から外への亡命の話などある。 そして数万年後の人類の話が二度もでてくる。 種の生成滅亡も長い期間ではありうることを言いたいらしい。 チラシを読んだら「・・・感情より原初的な人間の性質を知りたい。 長いスパンを考えたい。 ・・」。 しかし恋愛や仕事、結婚のことで手一杯な感じである。 知りたいことや考えたいことが舞台とは関係のないところで演じられていたようである。 *CoRichサイト、 https://stage.corich.jp/stage/46448

■SHIROH

■ 作:中島かずき,演出:いのうえひでのり,出演: 中川晃教,上川隆也,劇団☆新感線 ■ 品川プリンスシネマ,2013.10.19-31(2005.8.20収録) ■ ミュージカルとは驚きです。 歌唱がイマイチの役者でも流れに乗れば気にならない。 シローの熱唱は嫌味がなくて騒がしい舞台を上手くまとめていました。 天草四郎といえば「魔界転生」しか知りません。 歌で人を意のままにするとは正に歌界転生ですね。 ミュージカルは得るモノと捨てるモノがハッキリみえます。 松平信綱、柳生十兵衛、くノ一お蜜の存在感が際立っていたのは台詞が多いからです。 歌唱は言葉が全てではありませんから、相対的に台詞の力が強く浮き出てしまった。 しかも演技派に有利です。 そして「シランとラギ」 の教団もそうでしたが、キリシタンはまるで新興宗教です。 アラブ世界を映したり聖戦と言ったりもはやゴッタ煮です。 キリシタンの中身の無い自由はそのまま物語の弱さに繋がっています。 しかしミュージカルである歌唱の力がこれら弱点を隠してくれます。 劇団の強さがあればこそ可能なことです。 そして舞台はロックのリズムにノッてごった煮的感動が出現するのです。 *ゲキXシネ作品 *作品、 http://www.geki-cine.jp/shiroh/