■SHIROH

作:中島かずき,演出:いのうえひでのり,出演:中川晃教,上川隆也,劇団☆新感線
品川プリンスシネマ,2013.10.19-31(2005.8.20収録)
ミュージカルとは驚きです。 歌唱がイマイチの役者でも流れに乗れば気にならない。 シローの熱唱は嫌味がなくて騒がしい舞台を上手くまとめていました。 天草四郎といえば「魔界転生」しか知りません。 歌で人を意のままにするとは正に歌界転生ですね。
ミュージカルは得るモノと捨てるモノがハッキリみえます。 松平信綱、柳生十兵衛、くノ一お蜜の存在感が際立っていたのは台詞が多いからです。 歌唱は言葉が全てではありませんから、相対的に台詞の力が強く浮き出てしまった。 しかも演技派に有利です。
そして「シランとラギ」の教団もそうでしたが、キリシタンはまるで新興宗教です。 アラブ世界を映したり聖戦と言ったりもはやゴッタ煮です。 キリシタンの中身の無い自由はそのまま物語の弱さに繋がっています。
しかしミュージカルである歌唱の力がこれら弱点を隠してくれます。 劇団の強さがあればこそ可能なことです。 そして舞台はロックのリズムにノッてごった煮的感動が出現するのです。
*ゲキXシネ作品