投稿

8月, 2013の投稿を表示しています

■パリ・オペラ座ライブビューイング2013年ベスト作品■

■ パリ・オペラ座ライブビューイング2013年ベスト作品■ ・「 カルメン 」 *オペラ座はMETやロイヤル・バレエと比較すると古臭い感じがする。 20世紀を引きずっているの。 でもそこがオペラ座のいいところね。 *選出範囲は2012 ・13シーズンの、 ドン・キホーテ 、ホフマン物語 、ファルスタッフ 、マーラー交響曲第3番 、ヘンゼルとグレーテル 、ラ・シルフィード 、ジョコンダ と上記ベストの計8作品が対象。

■ジョコンダ

■ 指揮:D・オーレン,演出:P=L・ピッツィ,出演:V・ウルマーナ,M・アルヴァレス,L・ディンテイーノ,パリ・オペラ座 ■ みゆき座,2013.8.23-9.5 ■ 舞台は幾何学的で運河がなければローマにみえる。 階段が大きすぎるからよ。 前半は進行役バルナバが目立ちすぎて主人公達がバラバラだわ。 物語の構造からいくらでも面白くできるけど、肉付けがちょっと下手なのよ。 でも歌手たちの歌唱での対話は日常的な味が出ていてよかった。 「時の踊り」では観客は大喜び。 衣装を脱いだから。 でも舞台の流れを中断してしまった。 いっそのことダンサー全員が脱いじゃったほうがスッキリしたとおもうけど。 バラバラになった物語が4幕になってやっと一つにまとまった感じね。 素晴らしい終幕だった。 ジョコンダはバルナバが言った母の死のことが聞こえたのかしら? 「自殺」を含め時を意識する歌詞が多いけど、ポンキエッリはこれを背景色としたかったのかしら? しかしこの物語の人間関係を語るのに成熟時間は不要ね。 なぜならバルナバが勝手に決めてしまったからよ。

■前向き!タイモン

■ 作・演出・振付:矢内原美邦,出演:ミクニヤナイハラプロジェクト ■ こまばアゴラ劇場,2013.8.22-9.2 ■ ダンスというより演劇に近い。 想像していた内容の観後差は近年で最大だ。 俳優3人は早口の科白とそれに合わせた動作を終幕迄続け、いつもと違う矢内原世界を舞台に展開している。 早口で喋る台詞は身体動作と共鳴し一種の詩のように聞こえる。 しかし速さのある喋りと動きが一定のリズムで長く続くので途中飽きてしまった。 上演を1時間にすれば観客身体も共鳴しっぱなしにできる。 岸田國士戯曲賞受賞作らしいが戯曲を読めば演劇、読まないならダンスというところか。 結果、これはダンスである。 *劇場サイト、 http://www.komaba-agora.com/play/297

■ハニカム狂

■ 作:久聖一,演出:天野天街,出演:少年王者舘 ■スズナリ,2013.8.21-27 ■ これもリフレインですか。 「マームとジプシー」は意味を膨らませていくので物語が高揚していきます。 ここでは意味の変化を伴わない単なる繰り返しです。 特にこの作品は役者の疲れからくる微妙な違いを笑わせようとしています。 役者の疲れもリフレインの目的ですが、疲れから来る観客の精神的解放はありません。 物理的繰り返しだけですから。 これは「 田園に死す 」 でも言われているようにミニマルです。 これが「 レミング 」 で寺山修司の闇を出せなかった原因でしょう。 舞台での戦後の出来事や蝉の声そして方言にも懐かしさがあります。 それはしかしリズムある照明・音楽・美術に物質的なものへと還元されてしまいます。 そしてミニマル・ダンス舞台のような観後感が残るのです。 *劇団、 http://www.oujakan.jp/_images/honeycombo.jpg

■ユエニ

■ 演出:ムロツヨシ,出演:MURO式 ■シアタートラム,2013.8.24-9.1 ■ 「高校生3人で駄弁り」、「財布を持ってトイレ」、「明治維新三傑?会談」、そして「高校生3人の18年後」のコントが4題。 4幕は1幕の続きで中年になった3人の一人が病気になり死を意識している。 昔のように母の料理を二人の友達に食べてもらい母を喜ばしたい。 お涙頂戴で幕が降りる。 明治維新は別物語であるが、4題を関係付けられたら面白さが倍増したはずだ。 舞台は簡素で役者の動きは少ない。 性格や習慣への拘りの話が多い。 結婚・離婚などで氏が替わるネタの多さが気にかかる。 間の取り方や笑えるセリフは良い意味での単純さを持っている。 それは月並みの<死>と<母>で終わらせたのでもわかる。 観客は若い女性が多い。 テレビ番組の延長として楽しんでいるようだ。 役者3人の性格の違いも上手く出ていた。 ファンもいるのかな? ムロツヨシでカーテンコールが盛り上がった。 次回も暇があったら観に行ってもいいかな?の程度の舞台である。 これがMURO式の、というよりコントの戦略である。 *劇場サイト、 h ttp://setagaya-pt.jp/theater_info/2013/08/post_333.html

■ラ・シルフィード

■ 指揮:E・フロリオ, 出演:M・ガニオ,O・デュポン,パリ・オペラ座 ■ みゆき座,2013.8.16-22 ■ 1世紀もオペラ座で上演がなかった、と書いてあったけど何故なのかしら? シンプルな流れで、妖精との三角関係や魔女の登場で面白い。 夏休みだから子供向けだと思っていたけど、子供から大人までうけるストーリだわ。 でもスコットランドがいけないのかしら? パリから近いし異国趣味がないからよ。 舞台は全員がスコットランドのキルトを着ていてまるで学生の制服みたい。 その着こなしは、いかにもスコットランドは嫌いだ!と言っているようだわ。 二幕のロマンテックチュチュの妖精たちはとてもよかったけどね。 ともかくすべてはスコットランドに原因があるとみたわ。 もっとスコットランドを楽しんで欲しいわ。 そうすればオペラ座の真の代表演目になれる。

■COCOON

■ 原作:今日マチ子、作・演出:藤田貴大、出演:マームとジプシー ■ 東京芸術劇場・シアターイースト、2013.8.5-18 ■ http://www.geigeki.jp/wp-content/uploads/2013/07/cocoon.pdf ■ 女子学生の戦時中の想像力がいきいきと描かれています。 20名近くも登場するので舞台は混み合っています。 これに映像と音楽が混乱を引き寄せてまるで戦場のようです。 リフレインと呼ばれる科白と身体の反復からくるリズム感はみえません。 身近に迫る死を確信することは滅多にありません。 数年前に手術をすることになり病棟から手術棟へベッドで移動する時、窓から差し込む太陽の光をみてひょっとしたらこれが最後か!? 舞台を観ながら思い出してしまいました。 迫る死の理由が「手術」と違い「戦争」の場合はどう自分を納得するのか? 納得できない。 「戦争」で死ぬのは真平御免です。 ではどうすればよいのか? 戦争の原因である「国家」「民族」「宗教」の正義に疑問符を投げ続けるしかありません。

■イル・トロヴァトーレ

■作曲:G・ヴェルディ, 指揮:M・アルミリアート,演出:D・マクヴィカ,出演:M・アルヴァレス,D・ホヴォロストフスキ,S・ラドヴァノフスキ,D・ザジック ■ 東劇,2013.8.14-16(MET,2011.4.30収録) ■ 最初から魔女の話。 だからすぐに物語に引き込まれてしまうの。 しかもリズムがあるしね。 回り舞台も効いていたのがいいわ。 ラドヴァノフスキとザジックも舞台効果を褒めていたし。 でも1,2幕は心の襞まで辿りつけない。 表面をウロウロしている感じね。 ヴェルディは物語の仕込みに時間を取られてしまったからよ。 歌手もそれを処理するのに精一杯なのね。 後半は挽回したわ。 歌詞に人生の凄みが出てきて、歌唱もジックリ聞けたから。 愛と死や母と子のね。 ホヴォロストフスキは一人浮き上がっていたようね。 片思いだからしょうがないけど、「寒い国から来た・・」ようだわ。 ヴェルディのリズムに乗れない人ね。 *METライブビューイング2010作品 *作品サイト、 http://www.shochiku.co.jp/met/program/s/2010-11/#program_11

■謎の球体X

■ 作・演出:田川啓介,出演:水素74% ■ こまばアゴラ劇場,2013.8.10-19 ■ 乳房やお尻の大きさを比較して子供が生みやすいか本能的に比較してしまう。 姉妹の姉がいつも男に捨てられる理由です。 雌は自分を守ってくれる雄を探し続けるのも同じでしょう。 本能を避ける時代です。 しかしこの舞台は本能をセリフに取り込んで本音として語る面白さがあります。 静かな演劇からズレています。 ナゼなら本能が滲み出ているからです。 セリフも高揚します。 青年団系の身体と科白に本能を感じさせる役者の存在感と言ったものが追加されます。 すべての役者ではありませんが。 存在感の完成度もイマイチです。 新青年団になれるか!? *劇場サイト、 http://www.komaba-agora.com/play/294

■寺山修司展「ノック」

■感想は、「 寺山修司展「ノック」 」

■WALTZ

■ 演出:鈴木ユキオ,出演:金魚 ■シアタートラム,2013.8.8-10 ■ 幕開きから集中力のある動きで素晴らしい。 ほか3人のダンサーもユキオの動きと一体感があった。 しかし途中眠くなってしまった! これで観後感が書けない。 チラシにワルツの面白い話が書いてあったが、残念。 *CoRich、 https://stage.corich.jp/stage/48015

■ヘンゼルとグレーテル

■ 指揮:C・P・フロール,演出:M・クレマン,出演:J・シュメッケンベッヒャ,I・ヴィスマイヤ,D・シンドラム ■ みゆき座,2013.8.2-15(2013年収録) ■ 今年初めてのガルニエ宮での公演。 さすが締りがあるわ。 バスティーユはガランドウだからね。 一幕は歌手が歌い、子供が演技をする二人一役。 というより現実と夢世界の分離のようね。 演出家はドールハウスと言っていたけど、舞台を幾つかにわけているの。 でも効果を出しているとは言えない。 面白くない。 二幕以降は夢の世界のため一つになりオペラ気分に戻ったの。 歌詞は子供向きだけど澄み切っていて素敵ね。 幕開きは生活の苦しさ貧しさでとても暗いし、終幕はキリスト教メッセージが歌われるからとても宗教的。 ガルニエの観客は子供が少なかったけどドイツ語だから? クリスマスから外れているから? でもどうしてオペラ座の作品はこんなにも子供の出演が多いのかしら? *パリ・オペラ座ライブビューイング2012作品 *映画comサイト、 http://eiga.com/movie/78122/

■堀のなかのジュリアス・シーザー

■ 監督:パオロ&ヴィットリオ・タヴィアーニ兄弟 ■ 役者が刑務所で「ジュリアス・シーザー」の劇中劇を演じているのかとおもって観ていたが、どうも本物の囚人のようだ。 しかも刑務所内での練習は上手い。 舞台場面もあるが76分だからダイジェスト版である。 むしろ記録映画に近い。 囚人が「ガリア戦記」を読んでいる場面があった。 この本はイタリア(フランス?)の高校では必読書だと聞いたことがある。 彼らのシェイクスピアから離れたシーザー感というのが日本人として想像できない。 キリストは未だいない時代である。 ベルリン映画祭グランプリの作品だが、本物の囚人を役者にしたことで受賞できたのだろう。 裏のゴタゴタを一切見せないでここまで仕上げたのが理由だとおもう。 しかし総てが中途半端な作品である。 記録映画に徹した方が一層面白かったはずだ。 *作品サイト、 http://rojintoumi.asia/heinonakano-c/

■歓喜の歌

■ 作・演出:赤堀雅秋,出演:劇団姦し ■ 下北沢.スズナリ,2013.7.31-8.5 ■ 暑い太陽の下、バスを待っています。 なんと幕開きからゴドーです! しかも遠くを見つめる眼差しを持ってです。 演出家得意の素晴らしいポーズです。 海を見つめる所にもあります。 これで芝居の半分は終わったでしょう。 バスを待っている場面で幕が降りることでわかります。 しかしこの「劇団姦し」は名前のとおり姦しいのです。 何も起きないのが分かっていながら舞台を続けたい。 祭りは終わったのにもです。 これで歓喜は来るのでしょうか? 次回第三回公演は作・演出も劇団内で創作したのを観たいですね。 でないと歓喜は訪れません。 *CoRichサイト、 https://stage.corich.jp/stage/46192

■空のハモニカ

■ 作:長田育恵,演出:扇田拓也,出演:てがみ座 ■ 座高円寺,2013.8.1-4 ■ 金子みすゞの生活が舞台だ。 18歳と24歳頃の二人のみすゞが登場する。 ここに娘の戦後時代が被さる。 時間と空間を前後に又は同時に舞台に作り出しながら、最後みすゞの服毒自殺で終わる。 方言と海の匂いで舞台は当に下関である。 みすゞの詩を知らない人が観たら面白いだろうか? 多分面白い。 昭和初期の夫婦親戚関係や時代風景が上手く描写されているからである。 では詩を知っている人ならどうだろう? 知らない人と同じ程度だとおもう。 それはみすゞの詩と日常生活が有機的に繋がっていないからである。 「・・これは金子みすゞではなくて金子テルの物語です・・」と作家が言っている通りである。 結果として文学座がいつも上演しているような平凡な芝居になってしまった。 この芝居を観たことで将来みすゞの詩を口ずさむ時に何かが変わるのか? 下関の海を思い出すかもしれない。 夏目漱石の小説の映画・舞台化を絶対観ない人は結構いる。 ここまで真剣になるような芝居ではない。 *劇場サイト、 http://za-koenji.jp/detail/index.php?id=872