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■能楽堂八月「八尾」「楊貴妃」

*国立能楽堂八月企画公演の□2舞台を観る. □狂言・大蔵流・八尾■出演:大藏基誠,善竹隆平ほか □能・宝生流・楊貴妃■出演:金井雄資,大日方寛,善竹隆司ほか ■国立能楽堂,2023.8.26 ■「蝋燭の灯りによる、魂魄のゆくえ」が企画フレーズである。 狂言「八尾(やお)」は蝋燭にお似合いだ。 舞台は六道の辻。 閻魔大王はやってきた男を地獄へ落そうとする。 しかし彼が持っていた地蔵菩薩からの手紙で大王の態度が一変する・・。 早速調べたら閻魔大王は地蔵菩薩の化身と(一説には)ある!? 舞台では二人は幼友達らしい。 これは複雑な関係だ。 仏教救済システムは不思議なところがある。 「楊貴妃」は玄宗皇帝に仕える方士が楊貴妃の魂魄を探しにいく話である。 楊貴妃の居る常世の国とは何か? 仏教からは離れている。 科白には道教思想が感じられる。 このため独特な雰囲気がある。 蝋燭に似合う作品か迷うところだ。 舞台を明るくしても面白いだろう。 金春禅竹ファンタジー物語と言ってよい。 小書は「玉簾(たますだれ)」、シテ面は節木増(ふしきぞう)。  *劇場、 https://www.ntj.jac.go.jp/schedule/nou/2023/8136.html?lan=j *追記・・近頃は正面席を選んでいる。 しかし右壁からの空調機の風の流れがもろに当たる。 観劇中に流れを感じるのはよくない。 調整できるか劇場に聞いてみよう。

■ランボー詩集、「地獄の季節」から「イリュミナシオン」へ

■振付:勅使川原三郎,出演:佐東利穂子,アレクサンドル・リアブコ,ハビエル・アラ・サウコ,勅使川原三郎 ■東京芸術劇場,2023.8.11-13 ■「詩をダンスにすることではない・・」。 振付家が詩から受けた衝動を舞台化した作品のようです。 いつもの二人に、新たに二人が加わる。 その二人は佐東利穂子と同じ位置づけのようです。 つまり主旋律の勅使河原三郎と副旋律が3人の構造ですか? 舞台中央に本を立ててページが捲れている大きなオブジェが置かれている。 ダンサーがページとページの間に隠れたり現れたり動き回る。 パフォーマンス寄りの高い作品ですね。 音楽は多くの断片から成り凝っています。 オラトリオ系(?)が多いのは振付家のランボー解釈でしょうか? 照明も暗さを基調にしながらも同様に凝っている。 そして勅使川原に感情の沁みだした振付がときどき見受けられます。 床を足でたたく、横になり藻搔く、・・、詩から受けた影響がみえる(?)。 いつもはまとめている佐東の髪を乱したのも同等でしょうか? 精神面が強調されている舞台です。 でも観る側がランボーを意識し過ぎるのも良くない。 いろいろ考えながらみてしまうからです。 気軽に楽しめる舞台ではなかった。 *劇場、 https://www.geigeki.jp/performance/theater339/ *「ブログ検索🔍」に入れる語句は、勅使川原三郎 ・・ 検索結果は12舞台 .

■WEー入口と世界の出口

■演出:小池博史,出演:松島誠,今井尋也,福島梓ほか,美術:山上渡,音楽:下町兄弟,衣装:浜井弘治,映像:白尾一博 ■EARTH+GALLERY,2023.8.1-11 ■舞台は幅6mX奥14mの立方体で壁には落書(科白など)が描かれている。 客席は50名前後、その後方には数人が座れるのバーらしき一角がある。 4人の役者は歌ありダンスありで科白を喋り動き回る。 また天井から吊るされたカメラと映写機を持って互いに映し映される。 演奏担当が下手に座っているが小道具なども操作します。 台詞・歌唱・ダンス・映像・演奏の夫々は支離滅裂に見え聴こえるが、全体は調和しています。 とても練られている舞台ですね。 色調も無彩色系でまとまっている。 街の模型が片隅に置いてあり、それを映像化するとウクライナの戦場の街を俯瞰しているようにみえる。 後半は能楽の小鼓を持ち出し、謡や声明、オノマトペまで飛び出す。 このため組織を問題にしているようなストーリーは意味不明です。 しかし演出家が<組織>に気を使っていることも感じられる。 でも、これらを乗り越えて一つの完成された芸術作品をみているようです。 舞台感動がイマイチなのは役者身体が映像に負けてしまっているからでしょう。 生身と映像の役者のどちらを見るか? それは映像の役者を追ってしまう。 そのとき大事なものが発散してしまうように思える。 アフタートーク(小池博史・松島誠)を聴く。 「・・映像を前面に出した作品である」。 装置の動かし方や、特に鏡を巧く使っていました。 「・・音楽が貧弱にならないようにした」。 ジャンク音楽だが役者や映像にピタリと寄り添っていましたね。 舞台をまとめていた要でしょう。 役者たちも熱演です。 当プロジェクトがどのように進むのかこれからが楽しみです。 *小池博史ブリッジプロジェクトOdyssey作品 *主催者、 WE‐入口と世界の出口