■WEー入口と世界の出口

■演出:小池博史,出演:松島誠,今井尋也,福島梓ほか,美術:山上渡,音楽:下町兄弟,衣装:浜井弘治,映像:白尾一博
■EARTH+GALLERY,2023.8.1-11
■舞台は幅6mX奥14mの立方体で壁には落書(科白など)が描かれている。 客席は50名前後、その後方には数人が座れるのバーらしき一角がある。
4人の役者は歌ありダンスありで科白を喋り動き回る。 また天井から吊るされたカメラと映写機を持って互いに映し映される。 演奏担当が下手に座っているが小道具なども操作します。
台詞・歌唱・ダンス・映像・演奏の夫々は支離滅裂に見え聴こえるが、全体は調和しています。 とても練られている舞台ですね。 色調も無彩色系でまとまっている。 街の模型が片隅に置いてあり、それを映像化するとウクライナの戦場の街を俯瞰しているようにみえる。 後半は能楽の小鼓を持ち出し、謡や声明、オノマトペまで飛び出す。 このため組織を問題にしているようなストーリーは意味不明です。 しかし演出家が<組織>に気を使っていることも感じられる。
でも、これらを乗り越えて一つの完成された芸術作品をみているようです。 舞台感動がイマイチなのは役者身体が映像に負けてしまっているからでしょう。 生身と映像の役者のどちらを見るか? それは映像の役者を追ってしまう。 そのとき大事なものが発散してしまうように思える。
アフタートーク(小池博史・松島誠)を聴く。 「・・映像を前面に出した作品である」。 装置の動かし方や、特に鏡を巧く使っていました。 「・・音楽が貧弱にならないようにした」。 ジャンク音楽だが役者や映像にピタリと寄り添っていましたね。 舞台をまとめていた要でしょう。 役者たちも熱演です。 当プロジェクトがどのように進むのかこれからが楽しみです。
*小池博史ブリッジプロジェクトOdyssey作品