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■2022年舞台ベスト10

■ 母  演出: 鄭義信,出演:みょんふぁ,演奏:李昌燮 ■ 蹠の剃刀  演出・出演:工藤丈輝,劇場:座高円寺 ■ さまよえるオランダ人  演出:M・V・シュテークマン,劇場:NNTT新国立劇場 ■ 岩船  出演:大槻文蔵ほか,劇場:東京国立能楽堂 ■ 流れる  演出:大塚健太郎,出演:劇団あはひ ■ 盲人書簡・少年倶楽部篇  演出:J・A・シーザー他,劇団:演劇実験室◉万有引力 ■ 天の敵  演出:前川知大,出演:劇団イキウメ ■ レオポルトシュタット  演出:小川絵梨子,劇場:NNTT新国立劇場 ■ シッラ  演出:彌勒忠史,演奏:ファビオ・ビオンディ&エウローパ・ガランテ ■ ベンガルの虎  演出:小林七緒,劇団:流山児★事務所 *並びは上演日順. 当ブログに書かれた作品から選出. 映画・映像は除く. *2022年舞台総鑑賞数は81回,チケット代は52万円(1チケット平均額6.4千円)だった. 映画・映像は除く. 歌劇が入るため平均チケット代は高くなる. *昨年のベスト10・・「 2021年舞台ベスト10 」.

■2022年舞台映像ベスト10

■ シンデレラ  演出:マシュー・ボーン,劇場:サドラーズ・ウェルズ劇場 ■ ボリス・ゴドゥノフ  演出:スティーブン・ワズワース,劇場:METメトロポリタン歌劇場 ■ エウリディーチェ  演出:メアリー・ジマーマン,劇場:METメトロポリタン歌劇場 ■ 桜姫東文章  出演:片岡仁左衛門,坂東玉三郎,劇場:歌舞伎座 ■ からたち日記由来  演出:鈴木忠志,劇団:SCOT ■ 貧乏物語  演出:栗山民也,劇団:こまつ座 ■ ハムレット  演出:ニール・アームフィールド,劇場:METメトロポリタン歌劇場 ■ プライマ・フェイシィ  演出:ジャステイン・マーティン,劇場:NTロイヤル・ナショナル・シアター ■ ザ・ウィンターズ・テイル/アンダーグラウンド  演出:早坂彩,劇団:フォスフォレッスセンス ■ メサイア  演出:ロバート・ウィルソン,劇場:ザルツブルク・モーツァルト劇場 *並びは上映日順。 当ブログに書かれたライブビューイング(映像)作品から選出。 *ライブビューイングとは舞台公演を撮影して配信(ライブ又は録画)・映画にしたもの。 当ブログではラベルが「映像」に該当。 *昨年のベスト10・・「 2021年ライブビューイング・ベスト10 」

■サド公爵夫人(第二幕)

■作:三島由紀夫,演出:鈴木忠志,出演:佐藤ジョンソンあき,齊藤真紀,鬼頭理沙ほか,劇団:SCOT ■吉祥寺シアター,2022.12.16-24 ■2019年に当劇場で観ています。 また、みてしまいました。 ある種の耽溺性に陥りそうですね。 前回は4人の関係が分からず上滑りをしてしまった科白が今回はビシビシと我が身体で受け止めることができました。 サン・フオン伯爵夫人の登場で緊張が高まり、サド公爵夫人ルネと母モントルイユ夫人のすれ違いで幕が降りる。 張り詰めた劇的状況が途切れない。 国際演劇評論家協会日本センター会長本橋哲也と演出家鈴木忠志のアフタトークを聞く。 「4人の俳優の弛まぬ集中力はどうして生まれるのか?」。 最初の質問に鈴木忠志の答えは戦後日本の歌謡曲から始まる。 でも話題が広がり聞き役も手に負えなくなってくる。 ヤクザ映画、ギリシャ演劇やヨーロッパ公演、そして「なぜ利賀に行ったのか?」の理由に集約されていく。 この舞台は演出家の戦後からの累積された成果だと改めて感じさせられます。 当上演チラシに菅孝行、渡辺保、大澤真幸の評論が数行だが掲載されている。 アフタトーク後に再度読み返すとナルホド!、的を得ていて合点しました。 *CoRich、 https://stage.corich.jp/stage/211493

■パリ・オペラ座、響き合う芸術の殿堂

■感想は、「 パリ・オペラ座、響き合う芸術の殿堂 」 *話題となる語句は、「R・ワーグナー」「S・ディアギレフ」。 

■諏訪敦、眼窩裏の火事

■感想は、「 諏訪敦、眼窩裏の火事 」 *話題になる語句は、「大野一雄」「川口隆夫」「DUOの會」。  

■凪げ、いきのこりら

■演出:岡本昌也,私道かぴ,出演:森脇康貴,日下七海,沢柳優大ほか,劇団: 安住の地 ■シアタートラム,2022.12.16-18 ■漫画から飛び出てきたような舞台です。 ダンスや歌も取り入れた役者達の科白や動きがそれを連想する。 キビキビした身体、そして声も通っている。 喋り方も吹き出し風です。 漫画演劇と言ってよい。 物語も漫画から抜け出してきた? 世界戦争後の未来を描いている。 地球上では土地も食料も少い。 難民となった多くの種が混ざり合っていく。 「あやまちはくりかえさない!」。 戦争への反省はみられる。 しかし再び戦いの世界に戻るのか? 激しい争いのすえ仲間の一組が卵を産む・・。 その卵に未来を託して戦士たちは自死をしてしまうストーリーのようです。 戦いに疲れてしまった? 残った者たちが凪の海辺で陽にあたりながら幕が降りる。 上演時間は110分。 表面は多彩ですが似たような場面が繰り返される。 飽きてしまいました。 この為せっかくの卵が付け足しのようになってしまった。 そして地面に開いた穴はなんでしょうか? 終幕の盛り上がりが散ってしまった。 残者が佇まう凪の静かさもデジャブな未来的光景ですが、ここは中々の場面でした。 90分にまとめればメリハリが出ると思います。 演出家は役者達の活きの良さを優先したようです。 *シアタートラム・ネクストジェネレーションvol.14 *安住の地第8回本公演 *劇場、 https://setagaya-pt.jp/performances/next14.html

■よく生きろ!

■演出:小田尚稔,出演:加賀田玲,こばやしかのん,小林駿ほか ■こまばアゴラ劇場,2022.12.9-18 ■場内でスタッフが「体調がすぐれない人は申し出でて・・」のアナウンを2回も繰り返すので不安が過る。 客数は25人前後です。 しかも不調とは無関係な20歳代の観客が多い。 ・・? はじめて観る演出家とその劇団です。 若者の貧困を描いている。 ホームレスになり池の魚や蛙を料理する男性、共同住宅で残飯を食べる人々、アルバイト先での些細なトラブル、そして売春をする女性、それを買う男。 幾つかの場面が粛々と描かれていく。 彼らは勝負もしていないのに敗戦者になってしまった? それを恨んでいる。 それは挑発的な態度・行動で示されます。 観客の目を見つめながら「たすけて!」と何度も叫ぶ。 「演劇界をぶっ壊したい!」。 同時に敗戦を受け入れようとしている。 「負けたっていいじゃないか!」「頑張るのをやめよう」。 この鬩ぎ合いに悩んでいるようです。 演出家の言う「エゴイズムと自己犠牲という矛盾した二つの生き方の緊張の中で   苦しみながら生きていく・・」に対応しているのでしょうか? 終幕、ホームレスの男性は蛙の毒にあたり、また売春の女を詰り過ぎて男は殺されてしまう。 途中、女性が池に突き落とされる事件が描かれるがこの結末がよく分からない。 小説を読んでいるような舞台でした。 モノローグが多く入るからです。 各シーケンスの繋がりが練られていないように感じました。 モノローグが原因かもしれない。 若者の貧困を激しく現前させてくれました。 激しすぎて「よく生きるには?」の手段として貧困を使ったようにもみえてしまった。 カーテンコールの拍手が疎らだったのは若者に救いが無かったからでしょう。 *劇場、 http://www.komaba-agora.com/play/12594

■能楽堂十二月「内沙汰」「竹雪」

*国立能楽堂十二月普及公演の□2作品を観る。 □狂言・和泉流・内沙汰(うちさた)■出演:佐藤友彦,井上松次郎 □能・宝生流・竹雪(たけのゆき)■出演:武田孝史,大坪海音,水上優ほか ■国立能楽堂,2022.12.10 ■「内沙汰」は主人公が関わる揉め事を裁判所に提訴しようとする。 そこで妻から裁判の練習を勧められる・・、しかし裁判官を演じた妻にコテンコテンに負かされて夫婦仲に亀裂が入ってしまう。 劇中劇の面白さがある。 「竹雪」のプレトーク「家族再生の物語」(小田幸子解説)を聞く。 ・・「金春禅竹の資料から推測して1450年頃の作品だろう」「幽玄能が確立した時期の為その対極にある当作品のような人情物には禅竹も警戒していたはず」「それでも継母にいじめられる子供と実母の再会は人気があった」「現代にも通じる母子の姿がある」「実母は継母を、姉は父を批判し最後に父が詫びる」「当時の家族観が垣間見える」などなど・・。 息子の死を告げられ現場に向かう実母と姉、笠を被り白の道行姿の二人が橋掛かりを歩く姿に圧倒される。 物語がぎゅっと凝縮されているからだ。 面は母が「曲見(しゃくみ)」姉は「小面」。 演者が遠い世界から全人生を背負ってやってくる姿を見事に捉える「橋掛り」は凄い。 先日の「弱法師」もそうだった。 この姿に会うため能楽堂に通うのだ。 *劇場、 https://www.ntj.jac.go.jp/schedule/nou/2022/12112.html?lan=j

■失われた線を求めて

■演出:勅使川原三郎,出演:勅使川原三郎,佐東利穂子 ■NHK,2022.12.4放送(両国シアターΧ,2022.10収録) ■4章構成のようです。 序章は背景に絵画を映し出し二人は踊りだす。 でもPCの調整をしながら観るので気が入らない。 絵画は見た記憶がある? 荻窪スタジオ「カラス アパラタス」のギャラリーかもしれない。 勅使川原三郎が描いたドローイングらしい。 象徴主義的な感じがしますね。 2章で佳境が訪れます。 交代でソロが続く。 二人の持ち味を十分に活かしきっています。 バロック系弦楽器もいいですね。 前章の激しさから一転、3章は東南アジア風打楽器が聴こえてスローな振付になる。 そして終章は再び絵画が映し出され、しかも初めての意味ある振付になる。 絵画とダンスの関係はよく分からなかったが、久しぶりの二人の舞台は満足度満点でした。 *劇場、 http://www.theaterx.jp/22/221007-221009t.php

■能楽堂十二月「素袍落」「逆矛」

*国立能楽堂十二月定例公演の□2作品を観る。 □狂言・大蔵流・素袍落(すおうおとし)■出演:善竹彌五郎,大藏彌太郎,大藏吉次郎 □能・観世流・逆矛(さかほこ)■出演:梅若紀彰,宮本健吾,馬野正基ほか ■国立能楽堂,2022.12.7 ■「素袍落」で太郎冠者は伯父から門出の酒を振る舞ってもらう。 その深酔いの演技が奥深い。 5杯は飲んだろう。 腰も目も据ってしまった。 年季の入った伯父のおおらかさもなかなかだ。 「岩船」を観てから脇能の面白さを知った。 「逆矛」も期待を裏切らない。 7人も登場する。 後場は天女のリズミカルな舞、次に瀧祭明神の力強い舞。 その対比が素晴らしい。 両者の面は小面と天神、前シテの老人は子牛尉(こうしじょう)。 小書「替衣装」「白頭」が付いているから衣装も申し分ない。 とてもリッチな舞台だった。 贅沢な時を過ごした気分だ。 ところでワキの科白に力が入りすぎて棒読みに感じられた。 脇能では時々見受けられる。 今日は外国からの団体客数十人が来ていた。 先日は女子高生の団体をみた。 劇場もウイズコロナの段階に入ったようだ。 *劇場、 https://www.ntj.jac.go.jp/schedule/nou/2022/12111.html?lan=j

■夜明けの寄り鯨

■作:横山拓也,演出:大澤遊,出演:小島聖,池岡亮介,小久保寿人ほか ■新国立劇場・小劇場,2022.12.1-18 ■斜めに吊るした大鏡が舞台床に描いた海を写している。 波や鯨は浮世絵風です。 舞台美術が気に入りました。 物語もどこか浮世絵風です。 巷ではよくある。 寄り鯨の意味がわかりました。 ところで捕鯨是非の議論が活発にされるが食文化のある日本では深まらない。 是は仏教の見方に行き着くような気がします。 非は感情的な話でよく分からなかった。 元を辿ればキリスト教的な背景があるのかもしれない。 ゲイの話もある。 ある環境下での若者の同性愛は一時的に見られます。 それは自然に卒業していく。 また想像豊かな緻密な絵を描く男子もよくいる。 詳細なロボットや鉄道線路、都市を描きそして地図を描く・・・。 面白い地図を描きゲイ疑惑のクラスメイト、ヤマモトヒロシが旅先で失踪してしまう。 たぶん周囲の保守的な煩い女性たちから逃げたかっただけでしょう。 ヤマモトヒロシに深い理由はありません。 真剣な顔をしていたが、本人はそう言っている(ようにみえた)。 喜怒哀楽の感動、人知を超えた衝撃、ある種の不思議さ、等々も無い。 よくある若者のすれ違いです。 浮世絵演劇と言ってもよい。 *NNTTドラマ2022シーズン作品 *劇場、 https://www.nntt.jac.go.jp/play/beaching-at-dawn/

■能楽堂十一月「太子手鉾」「弱法師」

*国立能楽堂十一月企画公演の下記□2作品を観る。 □狂言・和泉流・太子手鉾(たいしのてぼこ)■出演:野村又三郎,野村信朗 □復曲能・世阿弥自筆本による・弱法師■出演:大槻文蔵,大槻裕一,福王茂十郎ほか ■国立能楽堂,2022.11.30 ■「太子手鉾」は聖徳太子が使った鉾を物部守屋に掛けて漏り屋(雨漏り屋根)の意味に使った冗談話。 「弱法師」は四天王寺の住職、その従僧と能力、高安通俊そして俊徳丸の妻も登場して賑やかな舞台である。 幕が開き、妻の肩に手をのせて橋掛かりを歩く俊徳丸は演劇的な姿にみえた。 舞踏的な「蝉丸」と比較をしてしまった。 今日の舞台は現実的な演出である。 そのぶん劇的さが無い。 聖徳太子建立の由来、俊徳丸の舞、<みえてくる>西の海の風景、雑踏のなかで転んでしまう姿。 これらは淡々と舞そして語られる。 緻密に組み立てられた構造から物語がリズム良く流れ出てくる充実感は十二分にあった。 黒長髪で「弱法師」の面を付けた俊徳丸は何とも言えない若者の表情が漂う。 ツレは「小面」。 本日は満席、その6割は女性客だ、いつもは4割くらいだが。 着物姿も30人はいただろう、いつもは5人くらいだが。 ところで地謡前の通俊野村萬斎は目が据わっていないようにみえたが。 *劇場、 https://www.ntj.jac.go.jp/schedule/nou/2022/12110.html?lan=j

■ベンガルの虎

■作:唐十郎,演出:小林七緒,出演:伊藤俊彦,井村タカオ,成田浬,山丸莉奈ほか,劇団:流山児★事務所 ■スズナリ,2022.11.23-28 ■小林七緒演出「少女都市からの呼び声」が面白かったので早速劇場に駆けつけたの。 しかもコロナ感染拡大で昨年中止になった作品でもある。 はたして期待を裏切らない舞台だった。 旧日本軍の遺骨を収集をする生き残った者たちが此岸と彼岸の境界を飛び越えて日本と南方を行き来する壮絶な軌跡。 「ビルマの竪琴」「からゆきさん」などを絡ませながら物語を膨らませていく。 混乱の戦後社会を現前させ、同時に肉体と言葉を融合して劇的な舞台を作り上げていた。 唐十郎が世界へ飛び出した頃の勢いが失われていない。 楽しかったわよ。   *CoRich、 https://stage.corich.jp/stage/195325 *「ブログ検索🔍」に入れる語句は、小林七緒 ・・ 検索結果は2舞台 .