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■シッラ Silla

■作曲:G・F・ヘンデル,演出:弥勒忠史,指揮:ファビオ・ビオンディ,演奏:エウローパ・ガランテ,出演:ソニア・プリナ,スンヘ・イム,ヴィヴィカ・ジュノー他 ■神奈川県立音楽堂,2022.10.29-30 ■ヘンデルは今年3本目、どれも印象が強かったからヘンデルイヤーと言ってよいわね。 青年ヘンデル28歳の作品のためか多彩な曲でバロックを揺さぶっている。 この劇場は狭い。 客席前に作られた楽団との間隔は2mしかない。 前席近くに座ったので楽譜が読めるくらいの近さなの。 ビオンディの指揮とバイオリン、エウローパ・ガランテの動きが手にとるようにわかる。 オペラも楽団は表に出るのが最高ね。 ところで舞台は、カウンターテナーがいないの。 神を除いて全員が女性で主役はコントラルト。 でも一番はレピド役でソプラノのヴィヴィカ・ジュノーだったかな? 彼女の唇の動きはまるで別の生き物のよう。 全身に震えがくるわね。 メテッラ役スンヘ・イムは二幕から調子がでてきた。 暴君シッラの目に余る性悪で物語は極端すぎて面白くない。 これで演出家は歌舞伎風に仕立て叙情から形ある叙事に読み直したのかな? これは成功したとおもう。 でも歌手が厚化粧で素顔が想像できない。 化粧だけは普通にして欲しい。 終幕の空中サーカスは予想外の驚きね。 楽しかったわよ。 *音楽堂室内オペラ・プロジェクト第5弾 *劇場、 https://www.kanagawa-ongakudo.com/d/silla2022

■能楽堂十月「野宮」「謀生種」「飛雲」

*国立能楽堂十月度特別講演の下記□3作品を観る。 □能・金剛流・野宮■出演:今井清隆,宝生欣哉,野村万蔵ほか □狂言・和泉流・謀生種(ぼうじょうのたね)■出演:野村萬,野村拳之助 □能・観世流・飛雲■出演:藤波重孝,原大,原陸ほか ■国立能楽堂,2022.10.29 ■地謡やワキのテンポに徐々に近づいていったが、「野宮」の前シテの動きや謡が始まりはとても遅かった。 しかも衣装は派手、面は孫次郎だ。 微妙にチグハグな感じがする。 六条御息所の一つの表現として理解できるが気に入らない。 後場になると違和感が一掃される。 衣装と面がぴたりとハマった。 葵の上との車争いを激しく回想した後に突如として序ノ舞を舞う。 この動静の転換が劇的である。 野宮の風景=御息所の心情を語り再び静から動への破ノ舞に入る。 「火宅の門を出でぬらん・・」。 後場で御息所らしい姿に戻った。 「飛雲」はまるで劇画をみているようだ。 末社来序や舞働などあまり見かけない場面もある。 山伏と鬼神との戦いが楽しい。 面は前シテが笑尉、後シテが顰(しかみ)。  「野宮」がチェンジアップ高めから入るスローボールなら「飛雲」は内角へ揺さぶる直球だろう(日本シリーズ第六戦を見ながら)。  *劇場、 https://www.ntj.jac.go.jp/schedule/nou/2022/10125.html?lan=j

■スカパン

■原作:モリエール「スカパンの悪巧み」,演出:串田和美,出演:大森博史,武居卓,小日向星一ほか ■神奈川芸術劇場・大スタジオ,2022.10.26-30 ■1994年7月にシアターコクーンで「上海バンスキン」を観て、いたく感動したが同年初演の「スカパン」は見逃してしまい結局は、今日になってしまった。 簡素な照明やスピーカそして引幕がとてもいい。 進行転換に使う幕の開閉も歯切れが良い。 下町芝居という感じだ。 それにしてもスカパン串田和美は声が嗄れて萎びたアルレッキーノに見えた。 串田・小日向の親子出演だったが世代交代が感じられる。 旅芸人一座がやって来てスローモーな動きをする幕開き、スカパンが仮面を被り転げ回る場面、暗い照明のなか若者4人が遊び回る様子、大団円での円舞光景、そしてスカパンが倒れる終幕、喜怒哀楽を昇華した演出家の形が表現されていた。 保守的な社会の姿に反抗する若者が元の鞘に収まる結末も、「先のことはくよくよしない」「何もやらないより良い」スカパンの行動で、観客にも元気を与えてくれる舞台だった。 *劇場、 https://www.kaat.jp/d/scapin2022 *「ブログ検索🔍」に入れる語句は、串田和美  ・・ 検索結果は7舞台 .

■階層

■作・演出:岡田利規,映像:山田晋平,キャスト:オーディションで選考された市民ほか ■東京芸術劇場・シアーターイースト,2022.10.19-25 ■観客15名は厳かに場内に入り客席に座る。 幕が上がると前回の客が映像を観みている姿が舞台にみえる!? 次は我々の番だ。 舞台に登ると奈落のような割れ目があり下を覗くとガラス板が立てられている。 そこに映像が映し出される。 2階から芝居を観ている感じです。 役者たちは例のフニャフニャ動きで科白を喋る。 そして奈落に落ちた理由や表舞台への嫉妬を語る。 ここは衣・食・眠が不要で永遠に生きられるらしい。 これは演劇論なのか? それとも社会の格差問題を語っているのか? 何とも言えません。 観客と映像役者との階差、それも観客から見難い物理位置など変わった構成に考えさせられました。 しかし演劇空間が立ち上がったかと言われると疑問符が残ります。 それよりも科白が意味深く聞こえました。 戯曲を読みたくなる作品です。 客同士を対面させるのは(舞台側の客は演技もできるし)楽しいですね。 この数日は池袋へ通っているが、  西口公園の「嵐が丘」で片桐はいりが歩きまわっているのをいつも目にします。 気合が入ってますね。 *東京芸術祭2022参加作品 *劇場、 https://tokyo-festival.jp/2022/program/kaiso

■FORMULA

■構成・演出・振付:森山未來,中野信子,エラ・ホチルド,出演:川合ロン,笹本龍史,東海林靖志ほか ■東京芸術劇場・プレイハウス,2022.10.15-23 ■さいしょに森山未來の挨拶があり、・・彼を含め6人でダンスが始まる。 力は入っているがゆっくりと手足を動かす。 おおらかな振付で気持ちがいい。 古い木材を持ってそれを各々が引き継いでいく。 途中に雑音のような科白が入る。 次第に感情表現が多くなり、家族内の、男女間の、諍いも振付に入ってくる。 そして一人の死に遭遇しながらも、生きている者は互いに寄り添う。 突然マイクが天井から降りてきて森山未來が科白を早口で喋る。 ダンサーはアフリカ民俗あるいはシャーマンが着るような派手な衣装になり踊り終わる・・。  このような流れでした。 脳科学を駆使した新しいダンスが観られるかもしれない。 チケットを購入した理由です。 しかしダンスは気に入ったが脳科学との関係はよく見えなかった。 考えていた舞台とは違っていたからです。 森山未來の科白がテーマを語っています。 「あなたは一人ではない。 互いに支え合っている。 そして他者との繋がりの豊かさが、人類がここまで生き延びてきた理由だ・・」と。 ロビーでは関連する作品、たとえば共感する脳波や心臓、脳内分泌、儀式や信仰そして祭などなどが展示されていた。 脳科学は緩やかに関係づけられている。 予期せぬ展開でしたが予期せぬ驚きもありました。 *CoRich、 https://stage.corich.jp/stage/174302 *「ブログ検索🔍」に入れる語句は、森山未來  ・・ 検索結果は5舞台 .

■レオポルトシュタット

■作:トム・ストッパード,翻訳:広田敦郎,演出:小川絵梨子,出演:浜中文一,音月桂,村川絵梨ほか ■新国立劇場・中劇場,2022.10.14-31 ■「メルツ家とヤコボヴィッツ家の家系図」はオペラパレスにも飾ってあった。 でも一気には覚えられない人数ね。 もう無視して中劇場へ向かったの。 それでも細かい所はともかく、主要な関係は追えたわよ。 時間軸は1899年、1924年、1938年そして1955年の4時代になっていたと思う。 主人公ヘルマンからみて両親、子供、孫の4世代に対応していたのかな? この骨格は強い。 歴史がユダヤ系家族を動かして激動の物語を紡ぎ出していく。 「家族写真には名前を必ず書いておくこと・・」。 この科白には頷くわね。 1955年、孫の世代が家系を遡り家族親戚の亡くなった場所が読み上げられる。 アウシュビッツの声が繰り返されるなか幕が降りる・・。 重厚なリズムが最後まで崩れなかった。 それは廻り舞台を巧く使った美術にも言える。 一気に観させてくれた。 子役が子・孫の関係を上手く繋いで物語を生き生きさせていたわよ。 でもヘルマンの計画、妻に不倫をさせてアーリア人の子供を産ませるのは狂逸だわ。 歴史に翻弄される家族の状況がより迫ってきたけどね。 終幕、違った理由で宗教と家族の柵からイギリスへ逃げた孫(名前は忘れた)の清々しさは未来への救いかもしれない。 *NNTTドラマ2022シーズン作品 *劇場、 https://www.nntt.jac.go.jp/enjoy/record/detail/37_024325.html

■夢と錯乱

■作:ゲオルク・トラークル,訳:中村朝子,演出:宮城聰,出演:美加理 ■東京芸術劇場・シアターイースト,2022.10.14-16 ■寒々しいヨーロッパの自然を背に一人の青年が彷徨い歩く・・。 一人芝居の舞台は暗い。 人生の苦悩を象徴的な言葉で表現した朗読劇を観ているようでした。  科白と役者に集中を傾けたが、深刻な詩的世界に飛び込むのは難しい。 青年役の美加理は特徴を出さずに、どちらかというと淡々と科白を喋っていくので詩の持つ狂気が伝わってこない。 どう観ればよいのか迷ってしまいました。 ゲオルク・トラークルは初めて聞く詩人です。 これは象徴派演劇とでもいうのでしょうか? 彼のように「生き死に関わること」をいつも心の片隅に持っていないと瞬時に対応できない。 現代人はつい大事なことを置き忘れてしまう。 演出家ノートにヨシ笈田の話が載っていましたね。 「言動分離」でも言葉と肉体のハーモニーは可能です。 言葉は肉体の一部だからです。 「言葉は身体の外のもの・・」。 演出家が以前言っていたことも覚えています。 状況ではどちらにも取れるのでは? *東京芸術祭2022参加作品 *東京芸術祭、 https://tokyo-festival.jp/2022/program/yume

■ジュリオ・チェーザレ

■作曲:G・F・ヘンデル,指揮:リナルド・アレッサンドリーニ,演出:ロラン・ペリー,出演:マリアンネ・ベアーテ・キーランド,森谷真理,藤木大地ほか,管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団 ■新国立劇場・オペラパレス,2022.10.2-10 ■ズボン役とカウンターテナーが混ざり合う舞台は、もうひとつの宝塚版と言ってよいかしら? レチタティーヴォとアリアが延々と続くバロックオペラにたっぷり浸かる4時間だった。 激しいが軽やかで柔らかい演奏が心地よい。 舞台はエジプトの博物館らしい。 古代彫刻や絵画から歌手たちが抜け出して歌い出すという仕組みなの。 館職員には歌手は見えない。 面白い演出ね。 しかも彫刻などの展示物が只者ではない。 新国ならではの物量作戦を展開してくる。 目の驚きにはなるが時代遅れの感も避けられない。 でも先日の「浜辺のアインシュタイン」と同じく映像を使わなかったのは正解、それを使えば生身の身体が蒸発してしまうから。 幕が進むほどに安定が増して言ったかな? 歌手たちも適度な疲労と楽日で気合が入っていた。 カーテンコールでの指揮者の燥ぎようをみて大きな拍手を贈ってあげたわよ。 *NNTTオペラ2022シーズン作品 *劇場、 https://www.nntt.jac.go.jp/enjoy/record/detail/37_024145.html *2022.10 投稿者名を「白犬黒猫」から「しろいぬ」に変更しました.

■スカーレット・プリンセス

■原作:鶴屋南北「桜姫東文章」,台本・演出:シルヴィウ・プルカレーテ,出演:ルーマニア国立ラドゥ・スタンカ劇場カンパニー ■東京芸術劇場・プレイハウス,2022.10.8-11 ■原作に忠実な流れの為か歌舞伎を思い出しながら粗筋を追ってしまった。 しかも花道はあるし途中にすっぽんもある。 下座音楽に似せて上手に演奏台も作られている。 まさに歌舞伎だ。 結構ハチャメチャな舞台でオモシロイ。 やはり刀を持つと振り回したくなる。 チャンバラ場面を多くしたいのも分かる。 しかも桜姫は舞踏ダンサーのように白塗りの半裸体で動き回る。 芭蕉の俳句も登場する。 何でもアリだ。 しかしどこか調子がずれている。 舞台からリズムとテンポがみえてこないからだろう。 擬音はあるが演奏は少ない。 ルーマニア語の科白もリズミカルには聞こえない。 お家騒動を強調しすぎた為か主役三人の数奇な運命が薄められてしまった。 原作を知らないと三人に近づけないだろう。 美術や衣装、そして小道具、役者の動きもずれっぱなしで楽しい。 外見はオモシロイが内面がツマラナイといえる舞台だった。 日本語で作ったシェイクスピア舞台を英国の客席から観るとこうなるのではないかと考えながらみていた。 今日の客は年齢層が高い。 プルカレーテ仕様の歌舞伎は受け入れただろうか? *東京芸術祭2022参加作品 *劇場、 https://www.geigeki.jp/performance/theater320/   *「ブログ検索🔍」に入れる語句は、プルカレーテ  ・・ 検索結果は6舞台 . *2022.10 投稿者名を「茶熊赤狸」から「かなへび」に変更しました.

■浜辺のアインシュタイン

■音楽:フィリップ・グラス,演出:平原慎太郎,指揮:キハラ良尚,出演:松雪泰子,田中要次,中村祥子ほか,演奏:辻彩奈,中野翔太,高橋ドレミ他,合唱:東京混声合唱団 ■神奈川県民ホール,2022.10.8-9 ■平原慎太郎が彼本来の振付で演出しようと決めたのね。 P・グラスの音楽を「有機的な繰り返しと変化の機微」として捉え、「永遠の輪廻のようでありアジアの思想にも通じる観念でもある」と彼は解釈したからよ。 宝塚大階段を使いながらも照明は控えめに、そして美術と衣装は地味にしたのはこの演出家らしい舞台だわ。 台車や鏡を持ち歩き、ゴワゴワしたビニールを広げ、古臭いモノを使って身体を蘇らせる・・。 映像を使わなかったのが良い結果をもたらした。 圧巻はACT3かな。 音楽とダンスが一致して無我の境地に入れた。 ビジュアル的・彫刻的だったR・ウィルソンを比較すると今日はその対極の舞台だった。 より過去へ向かったダンスは多くの賛否が出るはず。 合唱団はもっと目立ってもよいかもね。 *開館50周年記念オペラ *劇場、 https://www.kanagawa-kenminhall.com/d/50th-opera1 *「ブログ検索🔍」に入れる語句は、平原慎太郎  ・・検索結果は 8舞台 .

■住所まちがい

■原作:ルイージ・ルナーリ,台本・演出:白井晃,出演:仲村トオル,田中哲司,渡辺いっけい,朝海ひかる ■世田谷パブリックシアター,2022.9.26-10.9 ■「コメデア・デラルテ」と聞くと当劇場で上演した「二人の主人を一度に持つと」を思い出します。 でも今日はその系統と違い、身体性より科白優位が目立つ舞台でした。 しかも原作の宗教性をそのままにして背景を現代日本に書き換えた面白い台本になっている。 死を身近に感じた時の行動はどの時代どの宗教でも変わらない。 ここに舞台の面白さがあります。 そのうえ密閉された部屋から逃げられないSFの楽しさも発揮されていた。 重たい主題を軽いノリで演ずる役者たちも熱演でした。 演出家はこの劇場の新監督になったのですね。 就任一作目として適度な刺激が有り一般受けの良い理想的な作品でした。 三軒茶屋へ行く楽しみが続きますね。 有名演出家が引き続き担当することに安心感があります。 でも若い演出家もどんどん出て来てほしい。 *劇場、 https://setagaya-pt.jp/performances/20220910three-on-the-seesaw.html *2022.10 投稿者名を「黄虎青狐」から「かえる」に変更しました.

■能楽堂十月「鎧腹巻」「雨月」

*国立能楽堂十月定例公演の下記□2作品を観る。 □狂言・和泉流・鎧腹巻■出演:野村萬斎,野村万作,石田幸雄 □能・観世流・雨月■出演:武田宗和,武田宗典,森常好ほか ■国立能楽堂,2022.10.5 ■「鎧腹巻」は、主人から「鎧」を買ってきてくれ! 頼まれた太郎冠者はしかし鎧の知識がない。 結局は詐欺師から別物を買わされてしまい・・。  万作萬斎の親子舞台は久しぶりである。 「雨月」は西行法師が住吉神社参詣の途中に宿を借りるところから始まる。 宿の主が歌の下句を詠み、これに上の句を付けたら宿を貸すと言う。 西行は見事に上句を詠む。 そして住吉明神が現れ和歌の徳を讃えて舞を舞う。 その歌は、 「月は漏れ雨はたまれと思ふには、賤が伏屋を葺きぞわづらふ」 (撰集抄) 老夫婦が家の中で並んでいる姿、そして住吉明神の憑いた宮人が舞ったあとに醒めて退いていく姿、この二つ場面がとてもよかった。 前シテの面は朝倉尉、後シテが小尉、ツレは姥。 *劇場、 https://www.ntj.jac.go.jp/schedule/nou/2022/10122.html?lan=j

■ガラスの動物園

■作:テネシー・ウィリアムズ,演出:イヴォ・ヴァン・ホーヴェ,出演:イザベル・ユペール,ジェスティーヌ・バシュレ,シリル・ゲイユ他 ■新国立劇場・中劇場,2022.9.28-10.2 ■劇場は満席です。 イザベル・ユペールのバリューですか? J=L・ゴダール追悼で先週みた「勝手に逃げろ」にも登場していましたね。 40年前の映画だが当時と比較しても今日のユペールは衰えのない演技をしていた。 さすがです。 それにしても中劇場は合わない。 小劇場向けの作品でしょう。 間口があるので(特に)姉ローラの動きが強くみえる。 活動的なローラです。 彼女が毛布にくるまっている時は全く存在感が無い。 極端すぎる。 長男トムも微妙な関係から逃げている。 オコナーは中庸の演技で巧い。 主役は母アマンダでしょう。 娘を案ずる場面が圧倒的ですね。  この作品は何回も観ています。 4人の微妙な描き方で舞台は大きく変わる。 関係性を密に表現する日本の劇団の舞台が私は好きなのですが・・。 外国の劇団は骨はあるが荒っぽい。 それでも結婚に辿りつけない男女のすれ違いはいつみても涙を誘います。 *NNTT演劇2022シーズン作品 *海外招聘公演(フランス国立オデオン劇場) *劇場、 https://www.nntt.jac.go.jp/enjoy/record/detail/37_024182.html

■プティ・コレクション

*下記の□3作品を観る。 □プティ・セレモニー/小さな儀式 ■振付:メディ・ワレルスキー,音楽:ヴィヴァルディ他,出演:小林美奈,成田紗弥,堀内將平ほか,舞団:Kバレエ □プティ・バロッコ/小さな真珠 ■振付:渡辺レイ,音楽:C・エイヴィンソン他,出演:飯島望未,山田夏生,石橋奨也ほか,舞団:Kバレエ □プティ・メゾン/小さな家 ■振付:森優貴,音楽:S・ラマニノフ,出演:辻久美子,世利万葉,日高世菜ほか,舞団:Kバレエ ■神奈川芸術劇場,2022.9.30-10.1 ■ローラン・プティに関連した公演か? いや、違った。 チラシをみると「プティ」は本来の意味に従う。 それも「いとうつくし」と訳すらしい。 なんとなく分かった(?) 「小さな儀式」のダンサーたちは正装で踊る。 ピナ・バウシュを思い出させる音楽・振付がところどころにみえる。 しかし動きはより激しく硬い感じだ。 優雅というか、落ち着きはある。 ジャグリングや白い箱など小道具も多く取り入れている。 でも、よくわからない舞台だ、解説を読んでも。 演出家の思考過程が複雑に現れている作品だった。 「小さな真珠」はダンスを創る楽しさが伝わってきた。 音楽も複雑な絡み合いを奏でていて面白い。 女性ダンサーの衣装はサルートらしいが舞台に似合っていた。 ダンスを観る楽しさがあった。 後味の切れも良かった。 「小さな家」は「小さな儀式」が描いた(狭い)社会をより広げた作品だ。 それは白と黒、天使と悪魔などの対立項で構造を明確化している。 ラフマニノフのピアノに合わせるのでダンサーのテンポは速い。 しかし衣装がゆるゆるで身体がよくみえない。 床に敷き詰められた紙屑が多すぎて動きにも雑音が入る。 現代社会の一面を表現しているが修飾過多にみえる。 もっとスッキリさせても意図は伝わったとおもう。 「小さな儀式」も「小さな家」もヨーロッパの匂いを強く感じさせてくれた。 でも「小さな真珠」は違う。 「ダンスは20世紀に出尽くしている」「新しいものをつくり出すより共感できるものを探りたい」。 「プティ」とは何か? 渡辺レイのインタビューにその答えがあるようだ。 *劇場、 https://www.bunkamura.co.jp/orchard/lineup/22_opto_petit/ *「ブログ検索🔍」に入