■レオポルトシュタット

■作:トム・ストッパード,翻訳:広田敦郎,演出:小川絵梨子,出演:浜中文一,音月桂,村川絵梨ほか
■新国立劇場・中劇場,2022.10.14-31
■「メルツ家とヤコボヴィッツ家の家系図」はオペラパレスにも飾ってあった。 でも一気には覚えられない人数ね。 もう無視して中劇場へ向かったの。 それでも細かい所はともかく、主要な関係は追えたわよ。
時間軸は1899年、1924年、1938年そして1955年の4時代になっていたと思う。 主人公ヘルマンからみて両親、子供、孫の4世代に対応していたのかな? この骨格は強い。 歴史がユダヤ系家族を動かして激動の物語を紡ぎ出していく。 「家族写真には名前を必ず書いておくこと・・」。 この科白には頷くわね。 1955年、孫の世代が家系を遡り家族親戚の亡くなった場所が読み上げられる。 アウシュビッツの声が繰り返されるなか幕が降りる・・。
重厚なリズムが最後まで崩れなかった。 それは廻り舞台を巧く使った美術にも言える。 一気に観させてくれた。 子役が子・孫の関係を上手く繋いで物語を生き生きさせていたわよ。
でもヘルマンの計画、妻に不倫をさせてアーリア人の子供を産ませるのは狂逸だわ。 歴史に翻弄される家族の状況がより迫ってきたけどね。 終幕、違った理由で宗教と家族の柵からイギリスへ逃げた孫(名前は忘れた)の清々しさは未来への救いかもしれない。
*NNTTドラマ2022シーズン作品