■夢と錯乱

■作:ゲオルク・トラークル,訳:中村朝子,演出:宮城聰,出演:美加理
■東京芸術劇場・シアターイースト,2022.10.14-16
■寒々しいヨーロッパの自然を背に一人の青年が彷徨い歩く・・。 一人芝居の舞台は暗い。 人生の苦悩を象徴的な言葉で表現した朗読劇を観ているようでした。 
科白と役者に集中を傾けたが、深刻な詩的世界に飛び込むのは難しい。 青年役の美加理は特徴を出さずに、どちらかというと淡々と科白を喋っていくので詩の持つ狂気が伝わってこない。 どう観ればよいのか迷ってしまいました。
ゲオルク・トラークルは初めて聞く詩人です。 これは象徴派演劇とでもいうのでしょうか? 彼のように「生き死に関わること」をいつも心の片隅に持っていないと瞬時に対応できない。 現代人はつい大事なことを置き忘れてしまう。
演出家ノートにヨシ笈田の話が載っていましたね。 「言動分離」でも言葉と肉体のハーモニーは可能です。 言葉は肉体の一部だからです。 「言葉は身体の外のもの・・」。 演出家が以前言っていたことも覚えています。 状況ではどちらにも取れるのでは?
*東京芸術祭2022参加作品