投稿

8月, 2022の投稿を表示しています

■高円寺阿波おどり

■出演:舞蝶連,朱雀連,弁慶連,華純連,遊夏連,吹鼓連,美踊連,のびゆく連,飛鳥連,灯連,しのぶ連,花菱連(登場順) ■座高円寺1,2022.8.27-28 ■いつもの劇場で久しぶりの阿波踊りを観る。 両側に客席を設けた演舞場で全12連が一連づつ8分前後で踊っていく。 子供が多い連、男女の比率や鳴り物の構成もそれぞれで多彩だ。 大太鼓を10台も繰り出す連もある。 素人らしい振付の連も見うけられた。 劇場内で踊るので制約がある。 やはり人数の多さが決め手だ。 粗密の動きは考えたい。 特に密で踊る場面が必須である。 でないと締まりがでない。 楽しい90分だった。 *劇場、 https://za-koenji.jp/detail/index.php?id=2744

■ザ・ウィンターズテイル/アンダーグラウンド

■演出:早坂彩,脚本:山科有於良,出演:岡崎さつき,葵,丸山港都,劇団:フォスフォレッスセンス ■演劇三昧・配信,(こまばアゴラ劇場,2020.11.29収録) ■変わった作品です。 「冬物語」の王妃ハーマイオニが不在だった16年間を舞台にしているからです。 彼女は地下室でポーリーナとずっと住んでいた。 そこへ彫刻師がやってきて彼女の像を何体も彫るという話です。 ハーマイオニが王妃とは別人の態度をとるので反シェイクスピア系の作品かな?と観ていたが、途中から王妃らしくなっていく。 離れていた「冬物語」が再び近づいて来る面白さが有ります。 彫刻師の尽力が大きい。 その彫刻師は「冬物語」大好き人間らしい。 さいごに、彼が昔みた甘いハーマイオニを彫刻にする、まるで観音菩薩を彫るように。 そして彼女を「冬物語」に復帰させようと寄り添う。 そのように感じさせます。 *CoRich、 https://stage.corich.jp/stage/110468

■無畏

■作・演出:古川健,演出:日澤雄介,出演:林竜三,渡邊りょう,浅井伸治ほか,劇団:チョコレートケーキ ■東京芸術劇場・シアターウエスト,2022.8.24-27 ■主人公は陸軍大将松井石根。 彼は「日支提携・アジア保全を進めたが南京事件の責任を問われ極東軍事裁判で死刑・・」・・。 舞台は上海事件の1937年頃から死刑執行の1948年迄を回想形式で時代が語られる。 タイトルは彼の辞世の句から採ったらしい。 松井役林竜三が熱演でした。 彼の思想であるアジア主義が蒋介石に見放され、また部下にも反映されない苦悩が描かれる。 特に南京での部下の不法・略奪行為に彼は心を痛ませる。 脇道に逸れるが、私の伯父が昭南島で英軍捕虜になった時の話を思い出しました。 伯父は兵士から弁当を貰ったことがあり、その中にはビスケット等々と紙に包まれた煙草が2本入っていたことを興味深く話してくれた。 煙草の入った弁当が兵士に配られていたことに愛煙家の伯父は衝撃を受けたようです。 伯父は既に亡くなっています。 舞台でも兵站(へいたん、ロジスティクス)が話題になります。 日本軍兵士の食料は現地調達になっている。 これが最悪の結果を招く。 調達は軍では徴発だが、混乱してくると徴発は略奪へ強姦へそして殺人へと向かうからです。 「戦争の素人は戦略を語り、玄人は兵站を語る」。 日本軍はアジアで非道に振舞ってきたのがわかる。 なぜなら兵站、特に兵士の食料、を軽んじていたから。 南京事件も同列です。 兵站を論ずる芝居ではないのですが、主人公松井石根の思想が戦場の物欲に飲み込まれてしまった。 悔恨で振り返っても生々しい核心に辿り着くのは大変です。 *劇場、 https://www.geigeki.jp/performance/theater307/t307-2/ *「ブログ検索🔍」に入れる語句は、日澤雄介  ・・検索結果は10舞台.

■へそで、嗅ぐ

■演出:山口茜,ドラマトゥルク:ウォルフィー佐野,出演:福角幸子,高杉征司,芦谷康介ほか,劇団:トリコ・A ■こまばアゴラ劇場,2022.8.20-23 ■「へそは胎児の口だった・・」。 此の世に生まれる迄はとても大事だったが今では不用になってしまった。 臍はもはや無用の長物なのか? 舞台がお寺とは意味深ですね。 此岸と彼岸の境界のためいろいろな人が集まる。 はたして作務の永山や隣に住む女和江など境界にいるような人が登場します。 そこへ住職の次女一家が寺を引き継ぐことになる。 次女の仕事は仲人業らしい。 俄然物語が騒がしくなる。 寺に居候する和江や永山を結婚させようとする。 結婚は無用を有用にすることです。 「結婚は幸福になることではない!」「結婚は妥協だ!」。 次女の言葉にもそれが表れている。 彼女の夫も結婚観は保守現実的ですね。 もう一人、境界人に加えるのは寺の住人である長女です。 彼女は先天性脳性マヒらしい。 役者として自然体で舞台に馴染んでいました。 結局、次女とその夫はこの寺を出ていくことになる。 寺の住人達は無用から別れさせようとする次女の偽善を見破っていたようです。 この芝居を観る直前に偶々「現代優生学の脅威」という本を読んだが、舞台をみながら思い出してしまいました。 本の感想は Twitter に投稿済。  *劇場、 http://www.komaba-agora.com/play/12719 *「ブログ検索🔍」に入れる語句は、山口茜  ・・検索結果は3舞台.

■knob

■作・演出:夏井孝裕,出演:米田敬,佐藤晃子,木村圭吾ほか,劇団:reset-N ■演劇三昧・配信,(SPECE EDGE,2016.7.1収録) ■白い壁際に小さなスペースを空けただけの舞台。 近くまで観客が迫っている。 役者7名が交互に登場する、ほぼ対話が主の科白劇です。 切羽詰まった人間関係を話し合っているようにみえる。 自殺や殺人場面もある。 抽象的ですが科白のイメージは想像できます。 水分を抜き取った干物(ヒモノ)にしたような言葉に聴こえる。 でも背骨はしっかりしていました。 息抜感が無い。 日常のようにみえるが、次元が違う創造の戯曲世界とでも言うのでしょうか? 受賞作品だけあって科白の匙加減がいい塩梅でした。 緊張感が濁っていたのは映像のせいかもしれない。 *第四回(1998年)劇作家協会新人戯曲賞受賞作品 *CoRich、 https://stage.corich.jp/stage/74610

■帰還不能点

■脚本:古川健,演出:日澤雄介,出演:岡田篤,今里真,東谷英人ほか,劇団チョコレートケーキ ■東京芸術劇場・シアターイースト,2022.8.17-9.4 ■舞台は1950年頃? 政府機関で働いていた同輩が飲み屋に集まり戦時を振り返る話です。 その組織名は総力戦研究所。 彼らは戦争シミュレーションを仕事にしていたらしい。 その成果は1941年8月に首相官邸で発表された・・。 彼らは飲み屋で模擬実験を再現する。 政府・軍のトップ、たとえば近衛文麿・松岡洋右・東條英機の役に彼らはなり切る。 しかも場面ごとに役が入替る。 次々と劇中劇が展開していく面白い構造です。 研究所は戦争必敗の結論を提出していたのだが・・。 なぜ戦争を止められなかったのか? 「日露戦争でも・・、しかし勝った・・!」。 東條の言葉です。 途中で「帰還不能点」が何かわかりました。 それは南部仏印進駐の是非です。 政府が進めてきた近視眼的な外交政策が軍部の保身、つまり石油・ゴムの資源獲得、を許してしまった。 この進駐で米国は対日石油全面禁輸に踏み切り、そのまま日本は真珠湾攻撃へと突き進む・・。 20世紀史としての興味が尽きません。 現代でも形を変えて繰り返していることを認識させてくれる。 飲み屋の女将の夫が研究員だったこと、ナビゲータとしての彼女の立ち位置がよかった。 でも終幕の私的場面は付け足しの感じがしないでもない。 幕の下ろし方が難しい作品です。 *劇場、 https://www.geigeki.jp/performance/theater307/t307-3/

■ロックン・ロール・サーカス  ■チャーリー・イズ・マイ・ダーリン

*ザ・ローリング・ストーンズ主演の□2作品を観る。 □ロックン・ロール・サーカス ■監督:マイケル・リンゼイ=ホッグ,出演:ザ・ローリング・ストーンズ,ジョン・レノン,ザ・フー,エリック・クラプトン,オノ・ヨーコ他 ■Bunkamura・ルシネマ,2022.8.5-(イギリス,1968.12収録) ■サーカス小屋でのライブイベントらしい。 途中、空中ブランコが数分映し出される。 でもサーカスとの融合はみえない。 観客にカラフルな同じマントを着させたのも頂けない。 背景は最低だ。 前半はザ・フーやジョン・レノン、オノ・ヨーコが登場する。 レノンやヨーコは癖のある歌唱を披露する。 ヨーコはパフォーマンス系丸出しだ。 後半はストーンズが登場し数曲歌う。 「ジャンピン・ジャック・フラッシュ」「悪魔を憐れむ歌」の2本が最高だ。 最期にミックを囲んで「地の塩」を歌う。 労働者階級を意識した終幕にみえる。 □チャーリー・イズ・マイ・ダーリン ■監督:ピーター・ホワイトヘッド,出演:ザ・ローリング・ストーンズ ■Bunkamura・ルシネマ,2022.8.5-(イギリス,1965作成) ■1965年アイルランド・ツアーを撮ったドキュメンタリー作品である。 当時のストーンズメンバーそれぞれが新鮮だ。 色あせていない。 この時期は絶頂期だったこともある。 アイルランドの風景や人々との交流をふんだんに取り込んで作品としても上出来である。 *ザ・ローリング・ストーンズ結成60年記念&チャーリー・ワッツ追悼公開作品 *映画com、 https://eiga.com/movie/96784/

■プライマ・フェイシィ Prima Facie

■作:スージー・ミラー,演出:ジャスティン・マーティン,音楽:レベッカ・ルーシー・テイラー,主演:ジョディ・カマー ■TOHOシネマズ日本橋,2022.8.5-(ハロルド・ピンター劇場,2022年収録) ■「最後の決闘裁判」(リドリー・スコット監督)を偶々4月に観ていた。 ジョディ・カマーは覚えています。 マッド・デイモンとアダム・ドライバの激しい決闘場面に隠れてしまったが。 今回の事件は決闘まで行かない。 裁判まで、しかもカマーの一人舞台です。 職業弁護士から性的暴行被害者に変わっていく彼女の熱演で2時間は一気通貫です。 暴行か否か!? 親しい友人でも性行為はしたくない! 主人公テッサは無理やり行為へ向かう相手に抵抗するが・・。 早速、弁護士事務所の同僚を訴えるが裁判では負けてしまう。 被告の立証が困難!? 制度に無意識的な男性優位が見え隠れしている為です。 「男性客は考えてくれ・・」とインタビューで言っている。 性行為での同意とは何か? お互い幸せな気分になることが前提条件でしょう。 拒否があるのに強制するのは暴行にあたる。 夫婦間でも同じです。 気持ちよく楽しみたいものです。   *NTLナショナル・シアター・ライヴ作品 *映画com、 https://eiga.com/movie/97501/