2011年12月28日水曜日

■ゆめみたい

■演出:中野成樹,出演:フランケンズ
■アルテリオ小劇場,2011.12.23-27
■場内に入ると舞台真ん中で仕切られていて、上手は下手の舞台が見えないあるいはその逆になっています。 ということで空いている上手前席を取りました。 上手は白、下手は青系で統一されている。 これは昼と夜に分けたのだと思いました。
でも仕切りの使い方には規則がないようです。 室内と室外、鏡のような使い方、同時セリフ発声などもありましたが少しガッカリりです。 下手の演技は役者の声を聞いて想像するなどの変わった観方ができない。
チラシに「ハムレットを90分で上演」とあります。 途中までダイジェスト版を観ているようです。 しかし少しずつ過去に観たハムレットが混ざり合ってくる。 これで舞台が想像で膨らんできます。
つまり観客が持っている過去のハムレットの累積を利用した舞台です。 終幕に近い五幕の墓地あたりからはリズムに乗れました。 観終わったあとはいつものハムレットのようでした。 全体のシンプルさが観客の想像力を刺激したのが良かったのでしょう。
*劇場サイト、http://kac-cinema.jp/archive_kako/

2011年12月26日月曜日

■2011年舞台ベスト10

  演出:岩井秀人,劇団:ハイバイ
  演出:金守珍,出演:新宿梁山泊
  演出:市村直孝,劇団:BOTTOM-9
  演出:宮城聰,出演:SPAC
  演出:柴幸男,劇団:ままごと
  演出:森新太郎,出演:橋爪功,石倉三郎ほか
  演出:野口和彦,劇団:青蛾館
  演出:多田淳之介,出演:宇井晴雄,伊東沙保ほか
  演出:平田オリザ,劇団:青年団
  演出:河原雅彦,劇団:シス.カンパニー他
  演出:千葉雅子,劇団:猫のホテル
  演出:鈴木忠志,劇団:SCOT
  出:小池博史,劇団:パパ・タマラフマ

*並びは上演日順。 選出範囲はこのブログに書かれた作品から。 映像は除く。 今年は+3作品がオマケ。

2011年12月23日金曜日

■エレクトラ-オレステスを待ちつつ-

■原作:エウリピデス他,演出:鈴木忠志,出演:SCOT
■吉祥寺シアタ,2011.12.9-25
■「お前はこの胸からお乳をすって大きくなったんだ・・」。 子が母親を殺すストーリーに多くの観客は戸惑ってしまうはずだわ。 母との決別がテーマの一つかもしれないけれど、これでは悲劇としてのカタルシスがやって来ないからよ。
車椅子に乗ったコロスの円と直線の幾何学的な動きはまるで鋼鉄の硬さと強さがある。 しかも打楽器がこれに追い打ちをかける。
激しい近未来の世界を観ているようだわ。 この芝居はコーヒーでいうならブルーマウンテンのブラックを飲んだ後味に似ている。 結果として甘みも苦味も無く精神は高揚するけど静寂が訪れるような感じね。
*劇団サイト、http://www.scot-suzukicompany.com/works/05/

2011年12月22日木曜日

■三人姉妹

■原作:A・チェーホフ,演出:小池博史,出演:パパ・タマラフマラ
■北沢タウンホール,2011.12.20-22
■「1900年初頭と2004年を重ねた1960年代の日本の地方の物語である」とのプレトークに影響されてか、役者の服装や動き・表情が60年代の雰囲気を持っているように見えた。 このレトロな入れ物に豊かな現実を詰め込んだ混沌のパフォーマンスである。
ショーステエジ用?衣装での踊りや女子プロレスまがいのパフォーマンス、マイクを持っての発声練習?なども混乱しそうだが、これらを積み重ねてコクのある舞台となって現れる。 音楽もこの流れに沿っている。 総合力で勝負しているパフォーマンスだ。
三姉妹の「生きていかなければ」のセリフで幕が閉じる。 劇団解散理由を日本社会の過度の混乱が運営に支障をきたしている為とアフタトークで答えていた。 舞台芸術の社会的影響力の低下を食い止められない業界への批判も含まれているのだろう。
*CoRichサイト、http://stage.corich.jp/stage/18889

2011年12月19日月曜日

■別冊谷崎潤一郎

■原作:谷崎潤一郎,演出:鈴木忠志,出演:SCOT
■吉祥寺シアタ,2011.12.9-25
■「お國と五平」の三角関係、「或る調書の一節」の夫婦関係が役者の身体を通してずっしりと伝わってきたわ。 役者の動きがとても少ないから隙がなくて緊張が緩まない一時間だった。
前半は広島弁かしら? このセリフが独特のリズムと雰囲気を醸しだし舞台を豊かにしていた。 また後半は浄土宗派の仏教観が悪人物語に一層の深みをあたえていた。 この宗教思想を取り入れたことが観た後のカタルシスを増幅したとおもうの。
久しぶりに芝居の醍醐味を味わったわ。 この数年では鈴木忠志のベストに入る作品ね。
*SCOTサイト、http://www.scot-suzukicompany.com/works/06/

2011年12月18日日曜日

■三月の五日間

■演出:岡田利規,出演:チェルフィッチュ
■神奈川劇術劇場・中劇場,2011.12.16-23
■7年前の作品ですが、舞台に無駄がなく何もない空間から爽やかに湧き出てきたような素晴らしい作品です。
見知らぬ相手とのセックスや反戦デモへの参加、ラブホテルでの泊まり、繁華街やライブでの屯など、これらは容易に日常に転化しますが非日常の一歩手前で止まっている緊張感があります。
同時に役者は観客の位置にいる眼差しをして、行動を他人に語らせ対話を時々混ぜる変わったセリフで舞台を異化していきます。 とても新しさのある舞台です。 しかし何故新しいのか説明し難い舞台です。
反戦デモの場面は全体からみて劣化しています。 観客への視線やセリフが全体から外れている役者もいます。 このダメな部分が逆に舞台の持っている新しさを炙り出しています。 多くの微妙な関係が安定しないと成り立たないような舞台のようです。
近年は雑多で太り気味な作品が多くてこの良さが弱められているのが残念でなりません。
*劇場サイト、http://www.kaat.jp/d/chel35

2011年12月13日火曜日

■帰ってきた日本

■原作:長谷川伸,演出:鈴木忠志,劇団:SCOT
■吉祥寺シアタ,2011.12.9-25
■漫画劇なんて初めて観たわ。 チャンバラのスローな動きや小刻みな歩きがコマを動かすようにみえるから漫画劇と呼んだのかしら? 後半は前半の続きと観ていたけど日本の母以外が違ってしまい戸惑ってしまった。 これは母と子、特に男子と、の物語ね。
任侠道は少しは聞いているけど後半はこれに国家がかぶさったので分かり難かったわ。 義理や仁義が世間をそして最後は国家を形成すると、北朝鮮渡世人とモンローのセリフにあったけど、これが創作途中で鈴木が意表を突かれた所ね。
ところで看護婦モンローの存在感は素晴らしいわ。 白く化粧した少しセクシーな歩き方や細かい動作、歌舞伎のようなセリフの喋りかたは役者の身体からひとつの塊のようになって観客へ迫ってくる。 これが鈴木メソッドの化身なのかしら。
そして一部とニ部は分けたほうがいいわ。 同じような場面があり後半は飽きてしまったの。 SCOTの芝居はとても緊張するから1時間くらいが限度ね。
*(SPACサイト)、http://www.spac.or.jp/12_spring/japan.html

2011年12月11日日曜日

■誤/娯楽

■作・演出:赤澤ムック、出演:黒色綺譚カナリア派
■こまばアゴラ劇場、2011.12.8-18
http://image.corich.jp/stage/img_stage/l/stage24417_1.jpg?1323558871
■チラシはとてもよくできています。 観に行きたくなる写真や文章です。 しかし裏切られます。 芝居がツマラナイからです。
ただセリフを喚きちらしているだけです。 言葉が紡いでいかないでセリフそのものが観客に届きます。 役者の肉体も過激にしただけで日常をそのまま見せているだけです。 言葉と身体を統合して劇的にする仕方をこの劇団は持っていないようです。
今回で活動停止と聞いています。 休息と充電が必要です。 そして次への新しい舞台を期待したい。

2011年12月10日土曜日

■わたしのアイドル

■作・演出:千葉雅子,劇団:猫のホテル
■ザスズナリ,2011.12.2-11
■舞台の周辺に男優が4名座っている。 女優二人が親しみのある対話を始める。 小話をつなげていくようなストーリである。 5話くらい進んだところで二人の関係がわかる。 作詞家&マネージャとその歌手のようだ。 その後は流れが見えてきた。
全部で12話くらい続いたが照明や音楽の使い方、男優の登場タイミングなどどれも考え抜かれている。
これは大人の芝居である。 芸能界の内輪は知らないが、しぐさや言葉や些細な出来事が現実社会で経験してきた慣れを含んでいるのがみえる。 だからとてもリアルである。 この種のリアルさに出会う劇団は今はとても少ない。 充実の舞台だった。
*CoRichサイト、https://stage.corich.jp/stage/31705

2011年12月9日金曜日

■その妹

■作:武者小路実篤、演出:河原雅彦、出演:シス・カンパニー他
■シアタートラム、2011.12.2-26
■http://stage.corich.jp/img_stage/l/stage23810_1.jpg?1409560120
■力強い妹が印象に残った。 久保田万太郎は「妹の身売りの芝居と見てはいけない」と言っているようだが、妹は資本主義さえもこえていく超商品の凄さがある。 それに比して兄や西島はカネがなければ何も出来ない。 彼らはニートの祖先だ。
セリフの速さ、兄の小刻みな動き、椅子取りゲームのように対話を進める役者たち。 とてもリズミカルな舞台である。 良し悪しは別として、心の有り様をセリフで反復する方法をとるので流れがブレない。 八畳に廊下を巻いた三方向通路も形がいい。
相川はそんなに悪い奴なのか? もはや善悪区別のつかない時代に入ってしまった。 後半は少し混乱したが、市川亀治郎は役以上に押さえているようにみえた。 妹と蒼井を庇うためもあったが、このでしゃばらないおかげで大正と現代が豊かに結びついた。 

■百合懐胎す

■出演:吉本大輔、主催:天空揺籃
■東生田会館、2011.12.1-7
■白塗りに赤の口紅、赤のマニキュア、綺羅びやかな黒の衣装と赤のショール、そして赤のローヒール。 これは老いについて踊っているようにみえるわ。 舞台に敷き詰められた枯葉と鉢植えの常用樹林のズレも老人の肉体と意識のズレそのものね。
すぐに服を着てゆっくりと舞台を歩きまわり便器に座って衣服を脱ぎ再び裸で転げまわる。 方向はあるけど空虚な視線、口をパクパクするしぐさ、仰向けに横たわった姿はレオナルド・ダ・ヴィンチが描いた素描画の老人がそのまま舞台に現れた感じね。
幕が閉じて一言挨拶があったの。 「皆さんが私の年齢になったときこの踊りを思い出してくれたら・・」。 大輔も踊っていて同じことを感じていたのね。 だからガブリエルの抱える百合はこれからも無関心に咲き続けるの。

2011年12月6日火曜日

■ボート ヒア、ボート

■演出:桑折現
■アルテリオ小劇場、2011.12.3-5
http://stage.corich.jp/img_stage/l/stage24218_1.jpg?1409612803
■舞台にはアルミの梯子、背景は鏡のような反射シート幕が張られていて金属的な舞台でカッコイイっす。 ダンスだとおもいきや詩のようなセリフ、小道具との動きが多くて一種のパフォーマンスですね。
「あなたの国のことを教えて・・」、「国民は健康で政治・経済は安定、楽しい労働・・」。 ユートピアのような話が進みます。 「ロボットになりたい」、「タイムマシンにのりたい」。 交易や交通を肯定しているようですがハッキリしません。 未来もよく見えません。詩は童話の世界のようでメッセージが弱く感じられます。 ダンスや小道具を使ったパフォーマンスがひとつにまとまっていないのも弱さを助長しています。 ボートはあるのですが動いていません。 「新たな決断をして」船出をしたいところです。

2011年12月4日日曜日