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7月, 2011の投稿を表示しています

■眠っちゃいけない子守歌

■作:別役実,演出:富永由美,出演:二瓶鮫一,別府康子 ■旧眞空鑑アトリエ,2011.7.25-31 ■旧眞空鑑第31回公演案内の葉書の端に・・ 女1 もしかしたら、ものすごく論理的なタイプなんですよ、あなたは・・ 男1 私はただ知りたいだけだよ、この世界が私に何をしようとしているのか・・ 女1 この世界が・・? 男1 そうだよ・・ 女1 と言いますと、この・・ *YouTubeサイト、 http://www.youtube.com/watch?v=GQqjMcx4yBA

■荒野に立つ

■作・演出:長塚圭史,出演:阿佐ヶ谷スパイダーズ ■シアタートラム,2011.7.14-31 ■シアタートラムの欠点を隠している舞台構造、そして簡素で素敵な舞台美術ね。 中身はシュルレアリスム映画とカフカの小説を混ぜあわせて現代に持ってきた感じがするの。 個々の場面は事件が浮き出てくるような面白さがあったわ。 抑えの中に時々きついセリフもあったし。 でも芝居の全体にこの良さが伝わっていかない。 ストーリーとの愛想が悪いのよ。 しかも乾いたような無機質さが微かに覆っているような舞台だから。 個別は面白いけど全体はシラケている。 これは現代社会と同じね。 ・・ひょっとしたら最初からこの雰囲気を出そうとしたんじゃないかしら? 現代人が荒野で彷徨っている姿が浮かんでくる芝居だったわ。 だから、荒野に立つ!しかない。 *劇団サイト、 http://www.spiders.jp/kouyanitatsu/index.html

■再/生

■演出:多田淳之介,出演:東京デスロック ■STスポット,2011.7.16-24 ■上演時間70分で台詞は二箇所の数分間しかない。 この為セリフが観客の身体に深く刻み込まれる。 あとは役者の肉体の疲れきっていく踊りを終幕まで見続ける。 観客は芝居だと考えているのでダンスの上手下手は関係無い。 そして醒めたトランス状態が舞台に出現する。 これを背景に場内はダンスが持っている根源力に近づいていく。 この力が身体を解放して、最後に観客は芝居に戻り「再生」を実感することができる。 2006年初演は観ていない。 当時の写真を見ると宴会を催しているようだ。 今回はより抽象化がなされ良い形でダンス領域の純粋性に近づいたのではないか? フランケンズ版も観たいが前期試験が迫っていて行けない。 *劇団、 http://deathlock.specters.net/index.php?e=45

■目覚めよ、闇の種子たち

■演出:大森政秀,出演:天狼星堂 ■テルプシコール,2011.7.16-17 ■前半の舞台は不調和の連続のようで緊張してしまいました。 ナナは精神的に余裕のある踊りで今一番脂がのっている時期にみえます。 ワタルの強すぎるギラギラの目は観客を現実に戻してしまいます。 ピアノの曲になってやっと落ち着いて観られるようになりました。 やはり天狼星堂はヨーロッパの深淵を目指すべきです。 浴衣は似合いません。 終幕迄になんとかまとめあげた作品といってよいでしょう。 演後の暑い夜、ホットした気分で中野駅へ向かいました。 *主催者サイト、 http://mayakoookura.com/kouen11_07.html

■PROJECT POINT BLANK 2011

■演出:小尻健太、山田勇気、児玉北斗&ステファン・ラクス ■アルテリオ小劇場、2011.7.15-17 ■ http://www.projectpointblank.com/2011/entrance.html ■①のちのおもひに②BEAT③GO-MAの三作品を上演。 ①立原道造の詩が読まれたが複雑すぎてついていけなかった。 ダンスと調和したとは思えない。 後半仮面で変化をだしたのは面白い。 全体の動きと流れは素晴らしい。 ②女性ダンサーははじめから舞台に登場せずに、いきなり途中から入場したほうが驚きがあるとおもう。 パンツの色は白より青にしたらどうだろう。 ついでに男性ダンサーのシャツを黄色に。 真面目すぎる感があるのでこれにより躍動感がでるとおもうが。 タブラのリズムに乗った面白い振り付けだった。 ③レンガを積んだり、投げ合ったりして重みが伝わってくる踊りというよりパフォーマンスだ。 テーマの時間など無関係に見える。 物質の存在を無視できないでいる人間を表現しているようだ。 その存在と重みを軽々と踊ろうとしているところが面白い。  ・・三作品共によく練られていて誠実さのある作品だった。

■1999年の夏休み

■作:岸田理生、演出:野口和彦、出演:青蛾館 ■こまばアゴラ劇場、2011.7.10-13 ■ http://www.komaba-agora.com/line_up/2011/06/RioFes/#a_04 ■遠くに聞こえるひぐらしの声、湖からの不気味な風、誰もいない夏休みの学寮、別世界からの言葉・・転校生。 思春期の秘密を思い出し舞台と重ね合わせながら観てしまったの。 科白は率直で想像力を広げられるし役者はとても初々しくて素敵だったわ。悠が和彦に無視されていたことは言葉に深く刻み込まれていて身体的に納得できるけど、薫の和彦への復讐は曖昧に終わってしまった。 だから終幕の悠と和彦の再愛も弱く感じるの。 残念なのはここだけね。 そして点滅に会えてうれしいわ。 悠が乗り移っている湖の精は涼しさがあり暑い夏に最高よ。 でも日本的表情を消し去れば尚よかったと思う。 だってヨーロッパが舞台ですもの。 「男の子は何で出来てるの? 卵から生まれて・・、蛙に蝸牛、仔犬の尻尾で」できているのが見えるような舞台だった。 久しぶりに時空を自由に飛べたわ。

■ペタルとフーガル

■作・演出:黒川麻衣、出演:熱帯 ■下北沢駅前劇場、2011.7.7-11 ■ http://www.nettai.jp/petal_and_fugal/index.html ■バンコク三星ホテルと添乗員の話と聞いて行く気になったの。 旅行好きにはたまらないわ。 舞台はホテルラウンジ。 行き交う人が絶え間なく、歩く流れのリズムがいい気持ちになって旅行へ行った気分ね。 でも物語に入っていくのがずいぶん鈍い感じね。 添乗員も旅行者も表面だけをなぞっていて深入りしていかない。 空港封鎖時に別会社添乗員の行動を見たいと言っていたのにどうなったのか?日本にいる夫と子供もどうなったのか?もね。 観劇後、題名を調べたら家具の配置方法だと知って再び最初から思い出してみたの。 椅子を中心としてまとまっていたことを再認識したわ。 こぢんまりとした芝居だった。 ぁあーぁあ、芝居なんてどーでもいーや、旅行へ行きたぁぁぁい・・

■ゲヘナにて

■作・演出:松井周,出演:劇団サンプル ■三鷹市芸術文化センター・星のホール,2011.7.1-10 ■劇場に入ると、夕焼けのような照明の中に土手のような急斜面の舞台があり資源ゴミがそこらじゅうに散在している。 すぐに作者の頭の中を舞台一面にばら撒いたのだとわかる。 それは物や人、太宰治やニジンスキーの生まれ変わり、母親、恋人・・。 これは男の意識の流れだ。 なぜなら一体化した女神そしてセックスが底流にあるからだ。 そしてモノローグのような雰囲気を持った対話は青年団俳優独特のリアルさから抜けだしている。 というよりリアルさが壊されている感じだ。 このため観ているとシラケが時々襲ってくる。 これを避けるには弛みないリズムが必要だ。 一流の映画のように。 そうすれば新しさのある劇的感動が生まれるに違いない。 *劇場サイト、 http://mitaka.jpn.org/ticket/1107010/

■おどくみ

■作:青木豪,演出:宮田慶子 ■新国立劇場・小劇場,2011.6.27-7.18 ■時は80年代後半ですが畑中家は60年代前半の家族にみえます。 軽井沢でテニスをしたとか皇族の話題も古すぎるし、背景のバブル景気もそのように見えません。 ところで戦後から続いた時代がここ80年代で変化したことも事実です。 この一つとして?天皇に焦点をあて、畑中家の長と重ね合わせて物語は進みます。 息子の天皇暗殺映画も話題に上ります。 でも終幕までになんとなく中庸に納まってしまいます。 次の一歩を躊躇する見えない流れがあります。 変化できたのに全てを引き延ばして現在に至っているのが日本人である。 その原因は天皇制だ、と芝居は言っているようにみえました。 この時期に昭和の終わりはありましたが、しかしここまで皇族を話題にする畑中家やその周辺も特殊な感じがします。 それは構わないのですが、翌日には観たことなど忘れてしまう部類の芝居でした。 *劇場サイト、 http://www.nntt.jac.go.jp/play/20000329_play.html

■THIS IS WEATHER NEWS

■演出:矢内原美邦,出演:Nibrollニブロール ■シアタートラム,2011.6.24-7.3 ■赤いハイヒールを投げあう場面からやっと見られるようになる。 ダンサーに疲れがみえ角が取れて身心の統一できてきたようだ。 それまでは意識過剰で肉体がピリピリしていた。 続く服を投げ合ったり、床に白シーツを敷いた場面も楽しかった。 前半は最悪だ。 意味ある映像だと解釈したくなるが、これがいけない。 そして舞台右半分に映写するのでダンスと混じり合わない。 しかもダンスも映像もつまらないので一方を集中して見る気にもならない。 振付は直感を繋げている感じだ。 これだけでは発作的な動きになり硬直感が漂ってくる。 別系統の動きも加えたほうがいい。 開幕直後数分の動きはとてもよかったが。 インタビューは使い古した感があるが面白かった。 このようなブリコラージュ的な要素を繋ぎ合せたほうが下手な映像より観る者の身体をはるかに解放してくれる。 *劇場サイト、 https://setagaya-pt.jp/theater_info/2011/06/this_is_weather_news.html