2011年3月30日水曜日

■カスケード ~やがて時がくれば~

■作・演出:岩松了
■下北沢・駅前劇場,2011.3.16-27
■青春群像劇よ。 学園ではなく既に社会に出た話だから甘酸っぱい香りが漂っているとは言えないけど。 青春も歳をとったのね。 カモメを上演する演劇関係者の話し。 前半人物関係がみえなかったけどチラシを見たら役名と本名が同じだった!
舞台はトレープレフ役の青年が自殺をしたところから始り、時間を逆に進ませるから余計混乱した。 台詞は切れが良くテンポがあるし役者もキビキビしていてスピード感がある舞台よ。
演劇も企業と同じにトップが確固たるヴィジョンを持ちそれを役員レベルが組織に具体的におとすことが要だということはわかったわ。 でもこれが出来ないから芝居になるのね。 感動というより切ない想いが押し寄せてくればこの種の芝居は成功だとおもう。 抑えの効いた演出だったし観た後も雑音を残さない良い舞台だった。
ところでここは客席が少ない劇場だけど今回は倍の席数に模様替えしたみたい。 しかも今日は立ち見もいたし・・。 芝居をみても満席理由がわかる。

2011年3月29日火曜日

■冬の旅

■作:松田正隆,演出:高瀬久男,出演:アル☆カンパニ
■新宿SPACE雑遊,2011.3.17-27
■俳優の夫婦がイスラエル?旅行をしてきた話です。 ですから平田満と井上加奈子は二重の意味で夫婦ということですね。 日常会話とモノローグから構成されています。 機上やホテル、レストランのこと。 パレスチナ?や死海のこと。
マクベス夫人の科白を舞台上で忘れてしまったこと。 何故忘れたのか?とか。 ベティ・デイヴィスや題名がわからない映画のことなどなど、お互いの生活や性格を軽蔑や柔らかな非難をしながらすすみます。
芝居ですから現実の会話より知的になっているので眠くはなりません。 かといって身をのりだすほどでもありません。 演出や俳優に興味が無い場合、この種の芝居はチケットを購入する時に躊躇します。 先日ハンマースホイ展を観たので決めました。
しかし観てしまったからにはやっぱ良かったなあと想うところがあれば得した気分になりますが、はたしてこの芝居には有りました。 もちろん口にする程のことではありませんが。 チラシはもちろんハンマースホイですがこの絵よりもっと雑音のある芝居でした。
*劇団サイト、http://aru-c.com/stage08.html

2011年3月28日月曜日

■バルカン動物園

■作・演出:平田オリザ,出演:青年団
■こまばアゴラ劇場,2011.3.18-28
■役者は動きが少なく椅子に座っている時間が多い。 結果舞台は満員の状態が続く。 セリフが重なって聞きづらいところが多々ある。 そして流れがよく見えない。 しかも奥行きの無い舞台で役者と観客の距離を縮めている。 このため息苦しい。
プロジェクターを利用した解説は強すぎる。 これで役者全てが凍りつく。 もちろん観客も。 科学史、免疫、生物実験、コンピュータ、確率などの説明が物語に溶け込んでいかない。 脳波がでている脳味噌だけの研究も異様だ。
自閉症の話題はまだしも、研究員の結婚話も動物実験材料の是非も突飛な感じだ。 科学シリーズ前二作と比較してギクシャクしていて練れていない。 今は理工学専門家と机を並べているとチラシに書いてあったがまだ演出は手がけているのかな?
*劇場サイト、http://www.komaba-agora.com/line_up/2011/03/seinendan/

2011年3月26日土曜日

■ホフマン物語

■振付:金森穣,出演:NOISM
■静岡芸術劇場.2011.3.19-20
■操り人形オランピア、男装娼婦ジュリエッタ、病弱な娘アントニアの三幕もの。 とても切れ味の良い振付だ。 これに比して照明の緩やかさ、床の肌色、沢山のブロックの木で作られた温かさ、衣装の中間色の多い細かい柄。 振付とは対照的な構成だ。
この為なんともいえない雰囲気がある。 恋の破たん劇に合っているようにみえるが、まとまりが無く混乱している舞台にもみえる。 人形の踊りや舞踏会など楽しめる場面もあったが、演者の視線が鋭く拒絶のしぐさが多いため緊張感が過ぎたようだ。 三幕のうち一幕を毛色の違う振付で臨んだらより面白くなったのでは?
*劇場サイト、http://www.spac.or.jp/11_spring/hoffmann.html

2011年3月24日木曜日

■人形の家・解体ーパラレルワールドのノラー

■作:エヴァルド.フリザール,演出:高取英,出演:月蝕歌劇団
■ザムザ阿佐谷,2011.3.15-17
■二組のノラとヘルメルが登場して頭の中は混乱しました。 どのように解体したのかわかりませんでした。 パラレルワールドは面白い構想ですが、物語に深みがみえない、それに加えて歌が多過ぎてストーリーを潰してしまったことが原因です。
このためか和服姿や演歌、狐の仮面や光線もどことなく白々しくみえました。 煙もモクモクし過ぎですね。 舞台全体のリズムが乱れてしまったのです。
役者が不可思議なリズムと感情を奏でている舞台を楽しみたいと観に来る観客が多いのですから、ここは緻密な計算をしてほしいところです。
*月蝕歌劇団25周年記念第4弾作品
*CoRichサイト、https://stage.corich.jp/stage/26950

2011年3月15日火曜日

■グリム童話-少女と悪魔と風車小屋-

■作:オリヴィエ・ビィ,演出:宮城聰,出演:SPAC
■静岡芸術劇場,2011.3.5-13
■父が悪魔に娘を与える契約をしてしまうが娘は両手を切り落とし旅に出る。 娘は王と一緒になり子供を産むが再び悪魔の謀で娘は子供と森へ逃げる。 しかしさいごに父や王と喜びの再開をする。 そして両手も再び甦る・・。 感動ある死と再生の物語ね。
舞台は白一色。 悪魔だけが黒よ。 木々や動物はもちろん衣装の一部も紙でできているの。 打楽器のシンプルな演奏は物語にマッチしている。 人形のような動きとセリフの、動かないダンスをみているような役者。 舞台は玩具箱をひっくり返したようね。
天使と悪魔は科白も動きも切れがあった。 照明のコントラストも良かった。 細かいところにも気を使っているのが伝わってくる。 総合力で勝負している芝居だわ。 そして奇跡の物語は別格ね。
*劇場サイト、http://www.spac.or.jp/11_spring/grimm.html

2011年3月7日月曜日

■私たちは眠らない

■演出:東野祥子、出演:BABY-Q
■三軒茶屋・シアタートラム、2011.3.4-6
http://setagaya-pt.jp/theater_info/2011/03/post_219.html
■前作の「ヴァキュームゾーン」で、特に照明に踊りが追いついていけなかったところはクリアしたようね。 理由は照明のコヒーレントが増したため踊りと対等になったからよ。 音楽も一層よくなったけど同じ理由が言えるわ。 そしてダンサーには切れがあった。
結果、東野の持ち味のドロドロさがなくなったの。 このドロリの原因はアニミズムに通ずるようなものだと思うの。 東野は恐山のイタコだったのよ。 しかし今回これが別なものに変化した。 それは宗教よ。
こんかいの音楽はイスラム教を思い出させるの。 そしてマイクを持った女性の演説がグローバリズムを語るの。 これは宗教と兄弟よ。 最後に箱を繋ぎ合せて十字架を作りコヒーレンスな照明で精神を高揚させる。 こんなにも宗教的な舞台は珍しいわ。
しかし最後に藁と骸骨が登場したの! どういう意味だか理解できないわ。 でも二つの方向が考えられる。 東野は再び恐山のイタコに戻る、あるいは本格的な宗教へ突き進む。 どちらへ行くかは次の作品を観ればわかるはずよ。

2011年3月6日日曜日

■花札伝綺

■作:寺山修司,演出:青木砂織,出演:流山児★事務所
■SPACE早稲田,2011.2.25-3.6
■歌が多いのでこれは歌劇ですね。 狭い舞台に同時に10人以上が登場するので身動きができません。 これで役者は日常生活の動きに戻ってしまいます。 これが顔にも伝わり締まりの無い表情になってしまいます。 とうてい物語の深みには入れません。
オペラのようなものだと初めからみればよかったのです。 そうすれば歌う時の無条件に明るい表情や、紙で作ったハリボテの衣装も納得できたかもしれません。 ところでチラシに「「三文オペラ」の本歌取り・・」とありましたがどこが本歌かわかりませんでした。
*劇団サイト、http://www.ryuzanji.com/r-hanafuda11.html