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■恐るべき子供たち

■原作:ジャン.コクトー,上演台本:ノゾエ征爾,演出:白井晃,出演:南沢奈央,柾木玲弥,松岡広大,馬場ふみか他 ■神奈川芸術劇場.大スタジオ,2019.5.18-6.2 ■雪合戦をみて急にJ・P・メルヴィルの映画を思い出しました。 昔のことなのでストーリーは忘れたが最初の雪合戦シーンだけは覚えていた。 舞台は白の薄布で覆われている。 殆どこの布だけで場面を作っていきます。 恐るべき舞台美術ですね。 美術と同じく役者たちの科白や動きも殆ど修飾を省いている。 この為か物語が進むにつれて硬い感動が積み重なって行きます。 恐るべき感動です。 それにしても姉エリザベートの弟ポールへの独占欲は異常ともいえる。 アガートとポール、エリザベートとジェラールの関係を姉が壊してしまうのですから。 しかしこの欲の姿がみえない。 エリザベートは心のこの部分だけ見せてくれない。 恐るべき演出です。 アガートもジュラールも青春の酸っぱさが伝わってくるというのに。 ・・恐るべき子供の意味が分かりました。 エリザベートは子供の仮面を被っていたのです。 *劇場サイト、 https://www.kaat.jp/d/osorubeki

■そこから先は独りでしか行けない

■演出・出演:大森政秀,出演:ワタル,辻たくや,小林友以,野井杷絵 ■テルプシコール,2019.5.25-26 ■大森政秀が病に罹っていたらしく復帰後の天狼星堂は久しぶりの舞台だった。 その大森も元気に登場し2場面を踊る。 さすが貫禄十分。 舞台に姿を現す時はいつも画家有元利夫の絵の中の人物を思い出してしまう。 イタリア・ルネサンス期のね。 作品全体では6・7場面くらいあったかな? でも尻切れトンボのような終わり方が多かった。 各場面の終わりをもっと丁寧にまとめればずっと良くなる。 意味深な題名で舞台との関係が掴めなかったのが少し残念。 でも帰り道は中野駅までカタルシスが続いたわよ。 *天狼星堂舞踏公演-域+2019 *劇場、 http://www.studioterpsichore.com/oldcomment/old16_comment.html

■1001

■作・演出:天野天街,劇団:少年王者舘 ■新国立劇場.小劇場,2019.5.14-26 ■少年王者舘のいつもと違ったリズムが現れていた。 上方漫才のような台詞が長く続き役者の滞在時間が伸びて身体的な躍動感が減ってしまった為だと思う。 多くのことを詰め込み過ぎたようだ。 作者のリキミスギから来ているのだろう。 舞台も広すぎた。 役者が2・3歩で入退場できないので切れ味が鈍い。 でも拘った世界の大きさは表現できていた。 作者が1960年代生だと初めて知った。 づっと40年代生まれと思っていたのだが。 「黄金バット」も60年代に映画で再登場している。 彼は<再登場時代>人として、独自の想像力で時代を遡り創作しているようだ。 そして劇団名の通り少年が王者であることを証明している。 この作品は隅々まで戦後日本の思い入れがみえる。 旧日本軍兵士を登場させ戦争責任を語らせている。 老兵士は自身の責任の裏にある天皇の戦争責任も追及する。 霊話の時代に入って、先ずはこれを論じるのは意義がある。 *NNTTドラマ2018シーズン作品 *劇場、 https://www.nntt.jac.go.jp/play/1001/

■至上の愛  ■我ら人生のただ中にあって/バッハ無伴奏チェロ組曲

■東京芸術劇場.プレイハウス,2019.5.9-5.19 □至上の愛 ■振付:サルヴァ.サンチス,A.T.D.ケースマイケル/ローザス,音楽:ジョン.コルトレーン,出演:ローザスRosas ■タイトルはジョン・コルトレーンの1964年作品から採っている。 モダン・ジャズの世界です。 装置剥き出しの舞台で踊る黒系衣装の4人のダンサーをみているとニューヨークに居るみたいです。 劇場側面のレンガ壁がそれを一層盛り立てていますね。 そして(録音ですが)演奏と絡み合いながら踊り続けるダンサーをみていると身体が熱くなってくる。 最高です。 振付はローザスを意識させるがディープな米国を現前させてくれます。 今「Live in Antibes 1965」を聴きながらこれを書いています。 □我ら人生のただ中にあって/バッハ無伴奏チェロ組曲 ■振付:A.T.D.ケースマイケル/ローザス、音楽:J.S.バッハ,演奏:ジャン=ギアン.ケラス,出演:ローザスRosas ■第一番BWV1007から1012まで全曲を演奏しましたね。 バッハはピアノで踊るのは時々見るがチェロはあまり無い。 やはり舞台は粘っこくなる。 この曲だと人により大きく違ってくるでしょう。 ダンスが個人主義的になってしまう。 性格に合うかどうかのレベルになる。 展開の進め方は面白いのですが、曲のイメージと違って私には合いませんでした。 どちらにしろ、もっと曲を聴き込む必要がありそうです。  ケースマイケルはピナ・バウシュの若い時に似てきましたね。 顔つきですが。 演奏者ケラスは近視なんでしょうか? ダンサーを追う目つきが細めになり大変そう。 演奏姿を四方から見ることができて満足です。 そして黒沢美香や山田うん等々いろいろ混ざり合って思い出す場面がありました。 時々ローザス風の振付に帰る。 でも想像力が広がりません。 藤森亮一の演奏を聴きながらこのブログを書いています。 *劇場サイト、 http://www.geigeki.jp/performance/theater208/

■ワルキューレ

■作曲:R.ワーグナー,指揮:フリップ.ジョルダン,演出:ロベール.ルパージュ,出演:クリスティーン.ガーキー,エヴァ=マリア.ヴェストブルック,スチュアート.スケルトン ■新宿ピカデリー,2019.5.10-16(MET,2019.3.30収録) ■1幕、禁断の愛には久しぶりにハマってしまったわ。 これはジークリンデ役ヴェストブルックとフンディング役G・グロイスベックの力が大きい。 特にグロイスベックはワーグナーが何者であるかを知っている(とおもう)。 背景の影絵は邪魔よ。 2幕、父娘はちょっとはしゃぎ過ぎかもね、妻フリッカがまとめていたけど。 父娘は3幕も同じようだった。 二人は身体的雑音が多い。 これが逆に現代に繋がっている、でももう少し静寂さが欲しい。 ブリュンヒルデ役ガーキーは2011年版のデボラ・ヴォイトが若返ったみたい。 そしてフィリップ・ジョルダンの演奏は最高。 ガーギーが言っていたが「マシンが音響を撥ね返す」から金管の響きが違う。 再演のためか舞台美術を含め歌手の動きにも締まりがあった。 毎度のことだけどワーグナーに酔ってしまったわ。 *METライブビューイング2018作品 *作品サイト、 https://www.shochiku.co.jp/met/program/860/

■現代能楽集 鵺 NUE

■作:坂出洋二,演出:鵜山仁,出演:坂東三津五郎,田中裕子,たかお鷹,村上淳 ■新国立劇場.情報センター,2019.5.12(新国立劇場,2009.7.17収録) ■見逃した作品を観ることができてラッキー! それにしても映像も音響も良くない。 これにはガッカリ! 記録資料の一つという位置づけだからしょうがないのかな? この作品は作者で内容が大きく変わる。 「頼政と鵺」「川向こうの女」「水の都」の3部から成り立っている。 平安末期から1960年日本へ、そして21世紀を向かえたベトナムへ、川や地下の水が混ざり合った時空の跳躍が眩暈を一緒に連れてくる。 そこに現れる妖怪は人間との境界があやふやだ。 暗くて粗さの目立つ舞台はまさに地下演劇と言ってよい。 「・・天衣無縫な鵺が・・芝居の楽しみに直結した」(鵜山)とおりの舞台だった。 照明の届かない場面が多いから映像では全体が見え難い。 生の舞台ならまた違った感想を持ったかもしれない。 役者ではたかお鷹に存在感がでていた。 また田中裕子の声が甲高く聞こえた。 ある種の異化効果が表れていたがどう受け取ってよいのか迷ってしまった。 *NNTTドラマ2008シーズン作品 *劇場、 https://www.nntt.jac.go.jp/play/20000067_play.html

■裸の劇場、小金沢健人

■感想は、「 裸の劇場、小金沢健人 」