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■NODE/砂漠の老人

■ 演出:藤本隆行,白井剛,出演:吉本大輔,川口隆夫,平井優子,カズマ・グレン,白井剛 ■神奈川芸術劇場・ 中スタジオ,2013.5.26-28 ■ 舞台は細断された紙?で埋め尽くされ、黒衣装で覆われたヴァイオリニストが弓を釣竿のように動かしている。 セリフの同時通訳から物語は未来の砂漠のようだ。 音響と照明は鋭さがあり相当凝っている。 終幕近くの照明は素晴らしい。 個性あるダンサーたちばかりだが、その個性が発揮されず素人的動きが多い。 これは舞台上の凹凸や紙、ラジオやスライドのせいだが、音響と照明が強すぎて身体が動けないのだろう。 もはや照明・音響>身体である。 この不等号が等号になる瞬間が何度かあった。 例えば川口が喋りながらグレンと動きまわる場面である。 技術が高度化する中で、この等号がどれだけ現れるかが舞台の面白さに比例するのかもしれない。 *劇場サイト、 http://www.kaat.jp/detail?id=7186

■ミーツ

■ 脚本・演出:三浦直之,劇団:ロロ ■ こまばアゴラ劇場,2013.5.23-6.2 ■ 家族の物語ですか? 父のカタチをコーヒ缶で代替したり、人形を使って親戚関係や友達などを語ります。 また母と息子の関係にも比重をかけます。 大きな子供が小さな子供を演じている舞台です。 日常生活に<想像>を付加したストーリーのようです。 メタ想像も使っています。 笑えます。 しかしこれら想像力が進化していきません。 「バラまいているのですが」、表面をなぞっていくだけです。 近隣近辺的想像力のみで固めすぎたようです。 コペルニクス的転回が必要です。 *劇団サイト、 http://lolowebsite.sub.jp/?page_id=31

■ナブッコ

■作曲:G・ヴェルディ, 指揮:P・カリニャーニ,演出:G・ヴィック,出演:L・ガッロ,M・コルネッティ,K・ゴルニ,樋口達哉,谷口睦美 ■ 新国立劇場・オペラパレス,2013.5.19-6.4 ■ 劇場内にデパートが開店したのかしら・・? 一瞬勘違いしちゃった! このような舞台は「愛の妙薬」や「指輪」の方向性と一致しているし新国オペラの戦略としてはいいんじゃないの? キーワードは近未来ね。 NYやロンドン、パリに対抗するにはこれしかない。 でもヴィックが言っている一神教=自然はインパクトが弱い。 これと消費社会がうまく結びつかなかったのが舞台の味を薄くした理由ね。 真面目な頃のヴェルディの作品だから宗教表現が硬すぎるのも一因かも。 キューピー顔の偶像もちょっと遊び過ぎネ。 ガッロの歌唱は抑制が効いていてコルネッティやゴルニの感情表現と面白い対比が出せていた。 歌手達がエスカレータ上を行き来するのは目まぐるしかったけど高所からの音響は良い方に効いていたわ。 *NNTTオペラ2012シーズン作品 *劇場、 https://www.nntt.jac.go.jp/enjoy/record/detail/37_004792.html

■息を止めるピノキオ

■ 作・演出:佐野木雄太,出演:劇団銀石 ■ 渋谷GALLERY LE DECO,2013.5.21-26 ■ 寝不足で観に行ったので途中ウトウトしてしまいました。 「ピノキオは人間になれるのか?」を見届けたかったのに残念です。 チラシに「演劇の嘘を否定せず・・、そこに本当の瞬間を生み出す・・」とあります。 復活前と違ったところは未だはっきりしませんが、役者のセリフや動き・美術・照明で「演劇の嘘」の部分が写実に近くなっているようにみえました。 では「本当の瞬間」はどうか? ウトウトしたので見逃してしまったようです。 *劇場サイト、 http://ledeco.net/?p=7693

■2013年ロイヤル・バレエ ベスト作品■

■ 2013年シアタス ロイヤル・バレエ ベスト作品■ ・ くるみ割り人形 ・ 眠れる森の美女 * 今年のロイヤル・バレエのベスト作品を勝手に選んだわ。 MET と同じようにね。 演劇的な濃い作品群でとても充実していた。 中でも胡桃と眠女の2本が最高! *並びは上映日順。  選出範囲は2012 ・13シーズンの、 白鳥の湖 、マ ノン 、ジゼル 、ロミオとジュリエット 、不思議の国のアリス 、ラ・フィーユ・マル・ガルデ と上記ベスト2の計8作品が対象。 *ROH英国ロイヤル.バレエ.シネマ

■ラ・フィーユ・マル・ガルデ

■ 出演:R・マルケス、S・マックレ、P・モスレ、英国ロイヤル・バレエ団 ■ ワーナ・マイカル・シネマズ、2013.5.22 ■ http://www.theatus-culture.com/movie/ ■ 今年のシアタスカルチャ最後の作品としては良い選択ね。 愛と死の表裏一体の作が多い中これは死が見えないから。 第一幕はすべてが最高。 バレエだけどバレエでない感じもいいわ。 市井の祭りのようで気分が落ち着くわね。 第二幕は残念だけど落ちてしまった。 舞台が室内の為感情が内向きになり細かい動きが目立ってしまったからよ。 ところでアランはボケ過ぎていないかしら? 物語が盛り上がらない理由の一つかも。 もっとピエロ的要素を取り入れても流れを邪魔しないはずよ。

■2013年METライブビューイング ベスト3

・ テンペスト ・ 仮 面 舞 踏 会 ・ パ ルシファル *並びは観劇日順。  選出範囲は2012 ・13シーズンの、 愛の妙薬、オテロ、皇帝ティートの慈悲、アイーダ、トロイアの人々、マリア・ストゥアルダ、リゴレット、フランチェスカ・ダ・リミニ、ジュリアス・シーザーと上記ベスト3の計12作品が対象。 *「 2012年ベスト3 」

■ジュリアス・シーザー

■曲:G.F.ヘンデル, 指揮:H・ピケット,演出:デイヴィッド・マクヴィカー,出演:D・ダニエルズ,N・デセイ ■ 新宿ピカデリ,2013.5.18-24(MET,2013.4.27収録) ■ 三人ものカウンターテナーが登場すると戦闘場面が女性的になってしまいコミックのようね。 しかもズボン役もいるし、振付もユーモアがあるから尚更なの。 復唱が多いから曲の一つ一つが心に残る。 これらをまとめた結果、とても風変わりな舞台が出現するの。 それはリズムの面白さと言ったらいいのかしら? もちヘンデルの素晴らしさがベースになっているんだけど。 舞台では背景の海の波がとてもよかった。 その波間に浮かぶ古代都市アレキサンドリアと英国の軍艦や飛行船から二つの帝国主義が重なってみえてくるわ。 D・マクヴィカはMETでは「アンナ・ボレーナ」「マリア・ストゥアルダ」で3度目。 毎回違っていて掴みどころのない演出家ね。 *METライブビューイング2012作品 *主催者、 https://www.shochiku.co.jp/met/program/s/2012-13/#program_12

■マインド2013

■ 作・演出:大橋泰彦,出演:劇団離風霊船 ■ スズナリ,2013.5.16-22 ■ 舞台の居間が貧弱でちょっと心配になってきた。 幕が開きTVに出ている役者の演技で苦笑い。 父親がなぜ4人も登場するのか不思議だ。 父親が子供の頃の1960年代?風景の舞台に替りやっとわかった。 彼らは忘れていた60年代の輝きを持っている父の分身だったのだ。 もう一度夢を!? しかし何がしたいのかよくわからない芝居だ。 60年代も古すぎる。 終幕には妻や娘が4人も登場して余計混乱してしまった。 妻や娘の分身にはどういう意味があるのか不明のままである。 *チラシ、 http://stage.corich.jp/img_stage/l/stage35283_1.jpg?1368747773

■雨の街

■ 作:宮森さつき,演出:多田淳之介,出演:二騎の会 ■ こまばアゴラ劇場,2013.5.10-19 ■ 女の家は子宮なのか? なぜ旅人は登場人物たちの関係を気にするのか? でも男は家にも関係性にも深入りしません。 男は女に一緒に逃げようと言います。 結局男は女や旅人とは最後まで打ち解けなかった・・。 商人の解説ですが最初は劇場からの事務メッセージだと勘違いしてしまいました。 異化効果というより舞台の流れに合いません。 SFを導入している為かいつもの青年団風とは違うからです。 また見知らぬ空間にワープしてきたとか持ち時間がなくなると消えてしまうとか・・、これもSFを安易に使っています。 時間=貨幣論も突飛です。 これらは壁に突き当たった時に已むを得ず採用する材料です。 作者は創作に苦しんでいるのでは? 芝居も肝心なところがぼやけています。 雨の音は雑音のように舞台を支配していました。 落ち着かない音ですが面白い効果です。 中央にダイニングテーブルと椅子が4つ。 周囲にある35席の客席はゆったりしていてとてもリッチでした。 いつものアゴラ劇場とは一味違ってみえました。 *劇場、 http://www.komaba-agora.com/play/272

■獣の柱

■ 作・演出:前川知大,出演:イキウメ ■シアタートラム,2013.5.10-6.2 ■ いつものSFである。 しかし盛り上がらないストーリーだ。 それは最初から<神>を意識してしまったからである。 面白いSFは神を意識させないで神のレベルに到達しないといけない。 預言者?二階堂望も登場理由がアヤフヤである。 <見える者>も幼年期の終わりの者には見えない。 でもA・C・クラークと比較するのが誤りかもしれない。 終幕には避難民や食料や人口の話もあり、むしろ柱は現代社会の歪の象徴なのかもしれない。 メッセージが分散してしまった舞台にみえる。 これで壮大さや深淵さも散ってしまった。 ところで役者たちはリキミがなくて観客との一体感はあった。 観後の印象も悪くない。 「まとめ*図書館的人生㊤」は観ていない。 この内容なら㊤の影響は無いだろう。 *劇場、 https://setagaya-pt.jp/theater_info/2013/05/post_324.html

■(艸'∀゚*)lilΣ( @Д@∥;)i|l(゚∀゚三゚∀゚三゚∀゚)。+.。゚p(≧□×。)q)))゚。+。゚。+。

■ 作・演出:塚田朋揮,出演:宗教劇団ピャー!! ■ 新宿ゴールデン街劇場,2013.5.8-13 ■ 2メートルx5メートルの舞台に12人もの役者が一杯で同じようなセリフと動きをするから途中で飽きちゃったわ。 好みの単語とビッグデータを入力、統計処理をして自動生成した戯曲のようね。 戯曲自動生成プログラムを作ったのかしら? 文章単位は意味深だけど対話の時点では雑音に聞こえてしまう。 これを全役者に平等に配ったから堪らない。 以上の二つ、情報過多過疎なセリフと役者平等主義がツマラナイ理由よ。 でもプレトークでのメタや役者の話は面白かった。 プレソングもね。 アフタートークは聞けなかったけど、プレやアフタのほうが面白いことはよくあること。 そろそろ本体も面白くしてネ。 *チラシ、 http://stage.corich.jp/img_stage/l/stage_reverse33863_1.jpg?1368139345

■なまず

■ 作・演出:天願大介,出演:METRO ■ 東京芸術劇場・シアターイースト,2013.5.8-12 ■ えっ、浪曲? ヤマトタケルと土蜘蛛の話・・、次に著作権管理会社の生意気な事務員が地震に遭遇!そして東北王国へ。 坂口安吾堕落論の歌・ナマズ踊り・東北王国から再びの地震! 地方でよくやっている芝居のようで歌あり踊りありで飽きさせない。 度重なる地震と放射能汚染で東北は日本から独立して王国となる話らしい。 3.11に関する芝居は数本観たが何故か歯痒かった。 これは東北の独立を論ずるので天晴! これでないと舞台化する意味が無い。 しかし「とおほぐ」は弱い。 大阪や東京にヤラれっぱなしだ。 土蜘蛛の話も納得。 大衆演劇を昇華したような舞台であった。 日常生活の延長上にある面白さを持っている。 その面白さはプラスチック製のような奇妙な感触もあった。 *チラシ、 http://stage.corich.jp/img_stage/l/stage_reverse35020_1.jpg?1368139137

■野田版・研辰の討たれ

■ 作:木村錦花,演出:野田秀樹,出演:中村勘三郎,市川染五郎,中村勘太郎 ■ 東劇,2013.3.16-5.10(歌舞伎座,2005.5収録) ■ 「もっと生きたい!」。 人間これしかありません。 討入を馬鹿にするのもよくわかります。 ですから道場でやられたくらいで仕返しをするのはいただけません。 この徹底していないところが野田+勘三郎コンビのよいところですかね。 しかしこれがアダになっています。 「もっと生きたい!」が観ている者に十分納得できずに殺されてしまった感じがします。 「鼠小僧」のような深みがでていません。 舞台はセリフも動きもスピードとリズムがあり気持ちがいいですね。 舞台構造や照明もこの流れと同期がとれていました。 *シネマ歌舞伎第4弾作品 *主催者サイト、 http://www.shochiku.co.jp/cinemakabuki/lineup/04/

■シルク・ドゥ・ソレイユ

■ 監督:アンドリュ・アダムソン ■ J・キャメロンの息がかかっているけど、彼の良さが発揮できていない。 前半の水中より後半の空中のほうがずっと楽しいからよ。 この原因は物語が希薄だから。 水の場面は物語でガッシリと固めておかないと流れちゃうもんね。 だから「アビス」はつまらなかったの。 「タイタニック」の素晴らしさは水に物語が浸みこんでいるからよ。 この作品は美術も衣装も最高。 身体技術も凄い。 人間味のあるサーカスのようだけど、でもつまらない。 それはIT技術と比較しているから。 斜めになった舞台での戦いやトランポリンで跳ねまわる場面は高度な技術を使わなくてもできるんだと言っているだけなの。 キャメロンは3Dに拘り、監督は「ナルシア国物語」から抜けられなかったからよ、きっと。 *作品サイト、 http://www.cirque-3d.jp/

■大江戸りびんぐでっど

■ 作・演出:宮藤官九郎,出演:市川染五郎,中村七之助,中村勘三郎 ■ 東劇,2013.3.16-5.10(歌舞伎座,2009.12収録) ■ びっくりしました、らくだの話とは。 <りびんぐでっど>の意味はみるまでわからなかったのですから。 でも歌舞伎の本流を外れていません。 生と死が紙一重だからです。 しかしこの舞台には衝撃を受けました。 「お前はすでに死んでいる!」。 漫画の台詞ではありませんが、ゾンビと聞くと脳科学を考えてしまいます。 人間の意識の生成には意志は関係無いのでは?と。 しかも半助が存鼻であったことを自身が最後に知るところなどはF・K・ディックのSF小説顔負けですね。 永代橋が真っ二つに割れ存鼻が暴れる終幕も面白かったのですが、その原因のひとつである<はけん>と正社員の比較議論は底が浅すぎます。 *シネマ歌舞伎第12弾作品 *シネマ歌舞伎、 http://www.shochiku.co.jp/cinemakabuki/lineup/27/#sakuhin