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■夜会、リトルトーキョー

■作詞.作曲.演出.出演:中島みゆき,渡辺真知子ほか ■イオンシネマ,2020.7.23-(TBS赤坂ACTシアター,2019収録) ■編集で切り刻まれてしまった作品にみえる。 舞台は北海道のホテルから新橋の料亭そして再び北海道へと変遷していく。 でもストーリーがハチャメチャなの。 何人かの歌手が登場するけど、中島みゆきもその一人になってしまい目立たない。 メドレー風のためかジックリ聴かせてくれない。 科白や振付は子供番組と言ってよい。 夜会がこんなにも変わってしまったのは信じ難い。 作者の<若返り>それとも<老化>? どちらになってしまったの? イオンシネマも大音量で耳栓が必要ね。 先日購入した109シネマズ用を持っていたから助かったわ。 どちらも耳栓は手放せない。 *夜会VOL.20作品 *映画com、 https://eiga.com/movie/92665/ *「ブログ検索」に入れる語句は、 中島みゆき *追記・・ブログのレイアウトを変更したけどどうかしら? クリック数(=タップ数)が多くなってしまった。 画面が深くなってしまったということね。 Bloggerの出来合い部品を使ったから自由がきかないの。 これ以上の変更はもう無理。 匿名ブログだから広告は入れなかったわよ。

■殺意、ストリップショウ

■作:三好十郎,演出:栗山民也,出演:鈴木杏 ■シアタートラム,2020.7.11-26 ■ナイトクラブのダンサー緑川美沙が登場し過去を語りだす。 ・・上京した彼女は兄の勧めで社会学者山田先生の家に身を寄せ、そこで同居している先生の弟・徹男を知る。 ほどなく徹男は戦死してしまう。 戦後の混乱のなか美沙はダンサー兼娼婦として生活していくが、兄や徹男とは違う山田先生の表裏のある生き方をみて彼女自身の人生を見直していく・・。 というストーリーで中身の長い劇中劇になっている。 実は途中で、なぜ美沙が山田先生に殺意を抱いたのか肝心の場面を見逃してしまった。 気が付いたら彼女は先生を殺そうとしている。 先生は戦前がマルクス主義者、戦中は国粋主義者、そして戦後は再び共産主義者としての表の顔を持っている。 いつの時代にも若者達から熱烈な支持を得ているらしい。 そして裏では娼婦を追い求め淫らな行為を続けている。 美沙も徹男の戦死を知った日に先生から凌辱を受けている・・。 自宅に戻り、早速WEB文庫で殺意を持った箇所を探しました。 そこには先生の思想や人生観に従って死んでいった兄と徹男の惨めな死、先生の勝手な現在までの人生、この断絶からくる憎しみの発生が書いてあった。 納得しましたが、しかし戯曲は別物です。 つまり徹男の美沙への存在感が薄かったことで殺意を見逃してしまったようです。 それよりも劇場に戻って終幕のクライマクスに行きましょう。 美沙は先生と娼婦の逢引場面を盗み見しているが、そこで娼婦が痔を患っていたのを知る。 先生が娼婦を治療している真剣な姿を見て美沙は今までの考えを改めるのです。 娼婦に対して先生が取る対立する行動態度は一人の人間に同居するのは当たり前だということ悟るのです。 それは性器と肛門から国粋主義と共産主義にまで広がっていく。 美沙はストリップダンサーであり娼婦が持つであろう肉体的感覚から悟りを得たようにみえる。 これは舞台から受けた印象です。 美沙が持つ素直さもある。 そして彼女は他者から解放され<自由>になり幕が下ります。 独り舞台のためか観客との距離がとても近い。 コロナで客数が半分ですから余計にそれを感じます。 しかし満州事変や真珠湾攻撃など背景が何故か身体に迫ってこない。 役者鈴木杏の裏の無い喋り方のためか「歴史」になってしまった。 それでも作者と役者の

■けむりの軍団

■作:倉持裕,演出:いのうえひでのり,出演:古田新太,早乙女太一,清野菜名ほか,劇団☆新感線 ■新宿バルト9,2020.7.10-(2020年収録) ■時代は「本能寺の変以後、小田原攻め以前」。 大名間の抗争や人質を背景に野武士や僧兵たちが走り回る動乱の時代を描いている。 それにしてもワクワクしないストーリーだ。 平凡な事件と行動が続くからである。 どこかの国のどこかの話で歴史のエッセンスも取り込んでいない。 前半は欠伸が多かった。 後半に入り、事件の裏話や嘘と真の騙し合いが激しくなりリズムに乗ってくる。 しかし盛り上がりに欠ける。 終幕近くにはストーリーの一部を文章にして舞台を飛ばしてしまった。 内容が練れていないようだ。 前半のダラダラした流れは半分にして、もっとドキドキする事件にしてもらいたい。 *ゲキXシネ2020年作品 *作品、 http://www.geki-cine.jp/kemurinogundan/

■夏の夜の夢

■作:W.シェイクスピア,演出:ニコラス.ハイトナー,出演:オリヴァー.クリス,グェンドリン.クリスティー,デヴィット.ムースト他 ■シネリーブル池袋,2020.7.10-(ブリッジ.シアター,2019年収録) ■観客を入れた賑やかな舞台になっています。 役者たちのエアリアル・シルクで賑やかさが空間にも広がっていく。 そして四季風景や動植物の名前が続くリズミカルな科白が心地よい。 シェイクスピアを意識させてくれます。 ベッドを使った多義的な解釈が愉快です。 繰り出す劇中劇が時空を歪めていく。 眩暈を感じる舞台です。 「ピーター・ブルックへのオマージュ・・」と演出家が語っているだけのことはありますね。 職人芝居も次元戻しの異化を狙って面白い。 でも終幕の芝居はその効果が仇になったようです。 それまでの夢の世界を異化が壊してしまった。 終わりはサラッといきたい。 この作品は性別を強く意識します。 花汁の媚薬が性と愛を非連続にしているからです。 非連続性は現代社会のテーマの一つでしょう。 現代生物学にも繋がっていると言ったらシェイクスピアもビックリですか。 楽しい舞台でした。 *NTLナショナル・シアター・ライヴ2020作品 *映画com、 https://eiga.com/movie/92341/

■さまよえるオランダ人

■作曲:R.ワーグナー,指揮:ワレリー.ゲルギレフ,演出:フランソワ.ジラール,出演:エフゲニー.ニキティン,アニヤ.カンペ,藤村実穂子ほか ■東劇,2020.7.10-16(MET,2020.3.10収録) ■ワーグナーの若さと粗さがみえる舞台だった。 比してオランダ人もゼンダそして、演出家ジラールも各自のワーグナー像を持って臨んでいたようにみえる。 舞台はヴラマンクが描いたような暗い風景が続き、ゼンダ(?)のダンスから始まるの。 すべては象徴に描き具体はダーランドの船首だけ。 歌手同志の関係表現は深いとは言えず歌唱の繋ぎにしている。 背景に描かれた「目」はもはや宗教的意味しか持っていない。 何故コロナ禍でも西欧はマスクをしないのか? それは「相手と通じるのに日本人は目を、西欧人は口を重視することが多い」から*1。 この舞台を言い当てている説だわ。 ゼンダがオランダ人に会う場面、オランダ人がエリックの後にゼンダと論争する場面は目ではなく口が優先していた。 前者の沈黙は悪くはなかったけど。 ワーグナーの若さと粗さが出ていた原因かな? でも映画だと分かり難いことは確か。 生舞台なら身体を総動員させて感動にまで高められるはずよ。 愛(目)より貞節(口)を重視する宗教色の強い作品だった。 ・・救済できたのかしら? ゼンダの力強い、オランダ人の抑えた歌唱の何方も聴きごたえがあった。 ところでMET、特に109シネマズ用に耳栓を買ったの。 大音量に耐える為にね。 *1、WEB上で見つけた言葉よ。 誰が何処で言ったのか記録しなかった。 この質問はよく見受けられるが腑に落ちたので覚えていたの。 *METライブビューイング2019作品 *作品サイト、 https://www.shochiku.co.jp/met/program/2090/

■アグリッピーナ

■作曲:G.F.ヘンデル,演出:デイヴィッド.マクヴィカー,指揮:ハリー・ビケット,出演:ジョイス.ディドナート   ,ケイト.リンジー,イェスティンデイヴィーズ他 ■新宿ピカデリー,2020.7.3-9(MET,2020.2.29収録) ■今年も後半に入りやっとヘンデルに会えた。 「 ジェリオ・チューザレ 」「 シッラ 」が中止になってしまったからよ。 ヘンデルはいつも心をウキウキさせてくれる。 テーマは権力か愛か!? 皇妃アグリッピーナの陰謀が絶え間なく続くストーリーなの。 その悪巧みの裏には愛というより性がチラつくからとてもリアルにみえる。 このリアルが権力とは何かを語っている。 「(だから)権力を追求するのは難しい」。 演出家マクヴィカーの言葉よ。 その権力大好きなアグリッピーナと(純粋)愛を求める軍人オットーネの対決は皇帝クラウディオの計らいで丸く治まり幕が下りる。 オットーネがコントラルト(ここではカウンターテナー)なのは唯一純愛だからかな? カストラートのネローネをズボン役にしたのでオットーネが目立たなくなってしまった。 ソプラノのポッペアも同じかも。 しかもネローネの演技が派手だった、見ていて楽しかったけどね。  マクヴィカーは「 ジュリアス・シーザー 」を踏み台にして今回の作品を総合芸術として一層磨きをかけたと思う。 至福の4時間だった。 *METライブビューイング2019作品 *作品、 https://www.shochiku.co.jp/met/program/2089/

■ロミオとジュリエット

■演出・振付:マシュー.ボーン,舞台・衣装:レズ.ブラザーストン,照明:ポール.コンスタンブル,音楽:ポール.グルーサル,出演:パリス.フィッツパトリック,コーデリア.ブライスウェスト他 ■恵比寿ガーデンシネマ,2020.6.5-(サドラーズウェルズ劇場,2019年収録) ■舞台は病院の中庭にみえる。 チラシを読むと教育矯正施設とある。 ストーリーは知っているが追えない。 タイトル・ロールの二人を除き誰が誰だか区別がつかない。 プロコフィエフの音楽だけが原作を意識させてくれる。 そして終幕へ向かってコミカルからシリアスへと傾いていく。 この舞台は原作を忘れて近未来悲恋物語としてダンサーの動きを楽しめば良いのかもしれない。 しかし振付は雑にみえる。 たぶん演出だろう。 いや、ダンサーが雑だと分かる。 若さからくる粗さだ。 これが舞台に活気を呼び込んでいる。 ボーン流パラドックスともいえる。 *映画com、 https://eiga.com/movie/92454/

■ミルピエ/ロビンズ/バランシン

□クリア,ラウド,ブライト,フォワード ■振付:バンジャマン.ミルピエ,音楽:ニコ.マーリー,出演:レオノール.ボラック他 □作品19/ザ.ドリーマー ■振付:ジョージ.バランシン,音楽:チャイコフスキー,出演:ローラ.エケ他 □テーマとバリエーション ■振付:ジェローム.ロビンズ,音楽:セルゲイ.プロコフィエフ(ヴァイオリン協奏曲第1番),出演:アマンディーヌ.アルビッソン他 (以上3作品の□タイトル■スタフ&キャスト) ■東劇,2020.6.26-7.3(フランス,2015年収録) ■3作品の中では「クリア、ラウド、ブライト、フォワード」が圧巻です。 映画「 ミルピエ、パリ・オペラ座に挑んだ男 」で知ったのですが、やっと観ることができた。 無機質な色彩、明暗差有る照明の舞台背景です。 切れ目無く動き回るダンサーたちに目が釘付けになります。 小さく作った舞台の下手にダンサーが待機する長椅子が置いてある。 男性ダンサーの衣装は灰色、女性は銀色でしょうか? 緊張感が出ていますね。 「複雑な作品だから仕上げはギリギリになる」。 ミルピエの傑作と言ってよい。 他2作品がオペラ座らしい雰囲気に戻していました。 *パリ.オペラ座バレエ.シネマ2020作品 *映画com、 https://eiga.com/movie/92608/