■さまよえるオランダ人

■作曲:R.ワーグナー,指揮:ワレリー.ゲルギレフ,演出:フランソワ.ジラール,出演:エフゲニー.ニキティン,アニヤ.カンペ,藤村実穂子ほか
■東劇,2020.7.10-16(MET,2020.3.10収録)
■ワーグナーの若さと粗さがみえる舞台だった。 比してオランダ人もゼンダそして、演出家ジラールも各自のワーグナー像を持って臨んでいたようにみえる。
舞台はヴラマンクが描いたような暗い風景が続き、ゼンダ(?)のダンスから始まるの。 すべては象徴に描き具体はダーランドの船首だけ。 歌手同志の関係表現は深いとは言えず歌唱の繋ぎにしている。 背景に描かれた「目」はもはや宗教的意味しか持っていない。
何故コロナ禍でも西欧はマスクをしないのか? それは「相手と通じるのに日本人は目を、西欧人は口を重視することが多い」から*1。 この舞台を言い当てている説だわ。 ゼンダがオランダ人に会う場面、オランダ人がエリックの後にゼンダと論争する場面は目ではなく口が優先していた。 前者の沈黙は悪くはなかったけど。 ワーグナーの若さと粗さが出ていた原因かな? でも映画だと分かり難いことは確か。 生舞台なら身体を総動員させて感動にまで高められるはずよ。 愛(目)より貞節(口)を重視する宗教色の強い作品だった。 ・・救済できたのかしら?
ゼンダの力強い、オランダ人の抑えた歌唱の何方も聴きごたえがあった。 ところでMET、特に109シネマズ用に耳栓を買ったの。 大音量に耐える為にね。
*1、WEB上で見つけた言葉よ。 誰が何処で言ったのか記録しなかった。 この質問はよく見受けられるが腑に落ちたので覚えていたの。
*METライブビューイング2019作品