■由比正雪
■作:唐十郎,演出:流山児祥,出演:松熊つる松,橘杏奈,岡本瑠奈,申大樹ほか ■ザムザ阿佐谷,2026.9.8-13 ■由比正雪の名は知っていたものの、その人物像や「慶安の変」については曖昧だったため、簡単に史実を調べてから劇場へ向かった。 幕開きは、夜鷹たちが大勢登場し、歌い踊る華やかな場面で始まる。 唐十郎作品に歌唱はつきものだが、今回はその比重がいつも以上に大きく、音楽劇に近い印象を受けた。 チラシに掲げられた「新宿オペラ」という言葉がそのまま舞台化されており、アングラ演劇というより、地方巡業の大衆演劇の熱気に近い雰囲気が漂っていた。 由比正雪をはじめ、丸橋忠弥、金井半兵衛、柳生十兵衛という三剣士の性格の差異がくっきりと描き分けられており、人物群像としての面白さがあった。 狭い舞台で繰り広げられるチャンバラは前列の観客に当たらないかと心配になるほど間近で、迫力は十分。 そこへ夜鷹たちが群舞のように折り重なり、舞台の熱量をさらに押し上げていた。 劇中では「正雪は何でも売る、江戸も売る」と周囲から語られるが、複数の正雪が登場し、彼の思想や行動が一つの像へ収束していく気配はない。 むしろ「正雪は日に日に形造られていく」存在として、観客の前で生成し続ける人物像が提示されていた。 全体として、いつもの唐十郎作品とは異なる趣があった。 演出家流山児祥による口上で「もう歳だから好きにやらせてくれ」と話していたが、その言葉どおり、演出家の個性が強く反映された舞台だったのではないか。 作品世界の奔放さと大衆性が心地よく混ざり合い、楽しく観ることができた。 *CoRich、 https://stage.corich.jp/stage/465857 *「ブログ検索🔍」に入れる語句は、流山児祥 ・・ 検索結果は8舞台 .