■獅子 The Lion Beat
■作:寺山修司,演出:杉原邦生,出演:新原泰佑,北香那,田中俊介ほか,音楽:☆TakuTkahashi ■ミラノ座,2026.10.4-20 ■寺山修司によるボクサーの物語と聞き、チケットを購入した。 主人公の米沢は、見るからに弱々しい青年である。 彼は悪魔と取引を交わし、言葉と引き換えに最強のボクサーとして生まれ変わる。 しかし、その代償として言葉を失ってしまう。 この設定のため、登場人物同士の会話にはしばしば仲介者が必要となり、そのやり取りにもどかしさを感じ、さらにミュージカルでありながら主人公が歌う場面は限定的になってしまった。 加えて、録音による伴奏の音量が大きく、歌唱が聴き取りにくかった。 確かに、ボクシング場面が頻繁に登場する本作では、騒々しく熱気に満ちた音楽は作品世界にふさわしいともいえる。 しかし、その結果として歌詞や人物の心情が十分に伝わらず、作品への没入を妨げていたように思う。 このように、「主人公が言葉を失っていること」「ミュージカルとして歌で人物を描かなければならないこと」など相反する条件が重なり、本作は舞台化の難しい作品だったのではないかと感じた。 演出家も相当苦労したのではないだろうか。 一方で、出演者たちの歌唱や振付そのものは決して悪くなかった。 むしろ、それぞれの場面には見応えがあっただけに、伴奏や音響をもう少し整理し、歌唱をじっくり聴かせる演出であれば、登場人物の感情や物語がより鮮明に伝わり、作品への共感も深まったように思う。 しかし、終幕では安易な祭り場面で締めてしまい、残念ながら舞台の世界に最後まで入り込むことができなかった。 *CoRich、 https://stage.corich.jp/stage/484311 *「ブログ検索🔍」に入れる語句は、杉原邦生 ・・ 検索結果は11舞台 .