■能楽堂二月「子盗人」「高砂」
*国立能楽堂二月普及公演の二舞台□を観る. □狂言・和泉流・子盗人■出演:高野和憲,中村修一,深田博治 □能・観世流・高砂■出演:山﨑正道,山﨑友正,御厨誠吾ほか ■国立能楽堂,2025.2.28 ■プレトーク「近代絵画はどう「高砂」を描いたか」(小林健二解説)を聴いた。 今月の演目に合わせ「松浦佐用姫」「鉢木」「高砂」に沿った内容で、梶田半古「比禮婦留山(ひれふるやま)」と菱田春草「時頼図」それに川村清雄「高砂」が紹介される。 解説は短い時間だったが、プログラムに掲載された絵を見返しながら物語世界に再び入り込むことができた。 春草の「時頼図」ではワキの北条時頼を描かれている点が興味深い。 また川村清雄の「高砂」には亀は描かれているが鶴がいない。 これは画面右下の和歌「たづ(鶴)のゐる・・」にその存在を託しているのだろう。 世阿弥作の「高砂」が和歌や漢詩句を巧みに織り込んだ緻密な詞章を特徴とすることを思えば、画家もまた世阿弥の手法に呼応して描いたのかもしれない。 「高砂(たかさご)」はワキの登場から舞台全体を力強いテンポで包み込む。 続いて現れるシテの尉とツレの姥が橋掛かりで見つめ合う姿は、時間がふっと止まった静謐さを帯びていた。 後場ではシテ住吉明神が舞う神舞の力強さに再び圧倒される。 動と静の対比が鮮烈で、しかも詞章の練度が高いため舞台に確かなリズムが生まれている。 テンポとリズムが見事に統一された、世阿弥の完成度が高い作品だ。 久しぶりに脳味噌がピクピクと喜ぶような体験をした。 面は前シテが「小尉(洞白作)」ツレは「姥」、後シテは「変霊神(かわりれいしん)」。 狂言「子盗人(こぬすびと)」は盗人が寝入っていた子の可愛さに心を奪われ、盗みを忘れて子をあやしてしまうという、人の温かさがにじむ作品である。 *劇場、 https://www.ntj.jac.go.jp/schedule/nou/2025/7046/