■ハムレット
■作:W・シェイクスピア,演出:ロバート・ハスティ,出演:ヒラン・アベイセケラ,アリスター・ペトリ,フランチェスカ・ミルズ他
■TOHOシネマズ日比谷,2026.2.13-(ナショナル・シアター,2025年収録?)
■舞台前半、南アジア的な軽やかさをまとった主人公像が英国演劇の枠組みに否応なく溶け込もうとしているようにみえた。 どこか植民地時代の影が反射しているようにも感じられる。
ハムレットの枯れたようで甲高い声による独白は、キリスト教的世界観から距離を置き、宗教性を感じさせない独特な響きを持っていた。 また、小人症のオフィーリアは身体的な異化を強烈に発揮し、舞台上を奔放に駆け回る。 二人の姿には、現代の若者文化の祝祭的なエネルギーが垣間見られる。 また(映像内の)観客の笑いが絶えず、英語を母語としない私にはニュアンスを掴み切れずもどかしさもあった。
しかし後半に入るとその笑いがピタリと止む。 ハムレットとオフィーリアの奇異な関係性が見事に絡み合い舞台の空気が一変した。 ついに彼女は天使の翼をつけたのだ。 周囲の役者も弱強のビートを刻む科白で緊張感を高め、物語は鮮やかな逆転劇へと向かっていく。 いやー、ハムレットはやはり面白い。 改めてそう実感させられる舞台だった。
*NTLナショナル・シアター・ライブ2025シーズン作品