2013年1月29日火曜日

■トロイアの人々

指揮:F・ルイージ、演出:F・ザンベッロ、出演:D・ヴォイド、S・グラハム
東劇、2013.1.26-2.1
「歌を歌い、踊りを踊る」舞台。 だからオペラにはみえない。 題材が叙事詩だから? 国の滅亡と建国の話だから余計ね。 合唱団とダンス場面が多いためかしら、対話による楽しさがないの。 ダンスだけの場面も寄せ集めると30分以上はあるはずよ
三幕初めアエネアスの出航の歌でやっと目が覚めたみたい。 観客の拍手もずっと儀礼的だったけど、この歌でやっと拍手に力が籠った。 この後はディドーも生き返ったみたい。 でも時既に遅し。
出演者が多いから大変な作品ね。 METでも10年に一度しか上演していないようだけど。 でも今日の内容をみると人気の無いのがその理由のようにみえる。

■ヤバレー、虫の息だぜ

作・演出:江本純子,出演:毛皮族
座高円寺1,2013.1.23-27
2階建てで上が劇中劇の舞台、下が楽屋の舞台構成です。 なんと舞台ではあの映画「クレージーホース」を生実演します。 ですから下の楽屋は踊り子や舞台担当の溜まり場になります。
それにしても楽屋での踊り子の話はつまらないですね。 対話になっていません。 ストーリーが深まって行きません。 高校演劇でもこれ以上でしょう。 出産の映像は結構異化効果がでていましたが。 そして楽屋の雰囲気や赤系統の色彩はよかった。
終幕近くの道具係が銃で殺される場面から面白くなりました。 唐十郎の名前がセリフにもありましたが、終幕は唐の雰囲気がでていましたね。 驚きですが演出家は映画ではなくパリで実演を観たそうです。 それで迫力があったんですね。 クレージー!!

■DISK

作・演出:船岩裕太、出演:演劇集団砂地
シアタートラム、2013.1.24-27
兄と妹はこの世にいない父や母そして祖父の亡霊から逃れられない。 「母に似てきた」「父に似てきた」「祖父はこう言った」「子は鎹」・・。 これは家族探しである。 「だって家族だもの」「子が死んだ時完成する」「兄でしょ」「クローンは」「妹だから」・・。
表面は現在だが、明治大正の小説を読んでいる気分である。 真面目な芝居である。 作者は女性に恨みでもあるのか? 登場する女性たちは<意味の病>に罹っている。 逆に兄はこの病から解放されているようだ。
兄は自殺を試みる。 しかし理由がよくわからない。 薬を服用していることで観客は迷ってしまうからだ。 主人公が薬を飲むと芝居は成立しない。 そして妹は留学したことで先の病から回復したようにみえる。 よくあることだがこれでは平凡すぎる。
終幕、この二点が核心的問題を遠ざけてしまった。 ところで舞台は家具だけの部屋の中である。 観客と垂直に役者が位置して対話をする場面が多い。 このため一人は背しかみえない。 観客は一人と正面に向かい合うことである種の緊張感がでていた。

2013年1月28日月曜日

■ダイナミック・ダンス

新国立劇場・中劇場,2013.1.24-27
コンチェルト・バロッコ
音楽:J・S・バッハ、振付:ジョージ・バランシン、演奏:新国立劇場弦楽アンサンブル、出演:新国立劇場バレエ団
ここの劇場は何か寒々しさを感じます。 アブストラクト・バレーだから尚更です。 しかも生演奏だと舞台と観客にオーケストラが割り込みますからこれはもうどうしようもありません。 神経を集中し舞台を引っ張り寄せて観ました。
テイク・ファイヴ
音楽:デイヴ・ブルーベック&ポール・デスモンド、振付:デヴィット・ビントレ、出演:新国立劇場バレエ団
これも劇場のせいです。 無機質空間の硬さがありますね。 いっそのこと楽団を舞台上後方に乗せてしまうのはどうでしょうか? 振付も男と女の関係が硬すぎます。 日本的ですね。 監督ビントレーは<初めに日本有りき>で考えたのでしょう。
イン・ジ・アッパー・ルーム
音楽:F・グラス、振付:T・サープ、衣装:N・カマリ、出演:新国立劇場バレエ団
やっと調子がでてきました。 グラスとサープのコンビもなかなかのものです。 グラスのミニマルが陶酔感を伴う永遠のダンスを現前させます。 少しずつ赤色が多くなる衣装も期待というベクトルを付加して高揚感を増幅していきました。
終わり良ければ全て良しということです。 ところで大量の霧(スモーク)を使っていましたがこれはどういう効果があったのかイマイチわかりません。
*NNTTバレエ2012シーズン作品
*作品サイト、http://www.atre.jp/12dynamic/

2013年1月25日金曜日

■ジゼル

演出:P.ライト,出演:M.ヌニェス,R.ペネファーザ,B.ガートサイト,英国ロイヤル.バレエ団
■ワーナ.マイカル,2013.1.23
ヌニェスは写実的にしかも抑えを利かした繊細さがあった。 とても良かったけど正解が一つではないところがジゼルの面白さね。 一幕は言葉を背景にした仕種が多すぎる。 動きをから意味を考えてしまうから身体が見えなくなってしまうの。 だから楽しさが半減するのね。
でも二幕は素晴らしかった。 この世の出来事ではないから意味が抜け落ちて身体を取り戻すことができるの。 静かなリズムも生きていてある種の恍惚感に浸れたわ。 さすがロマンティク・バレエの生き残り作品ね。
*ROH英国ロイヤル.オペラ.ハウスシネマ

2013年1月22日火曜日

■アイーダ

■作曲:G・ヴェルディ,指揮:F・ルイージ,演出:S・フリゼル,出演:L・モナスティルスカ,R・アラーニャ,O・ボロディナ
新宿ピカデリー,2013.1.19-25(MET,2012.12.15収録)
つまらない三角関係が続くけど、二幕ニ場はやっぱいいわね。 象は登場しなかったけど。 そして三幕を境にして物語は萎んでしまうの。 それはアムネリスが司祭を敵するから。 牢屋での終幕も想像力が無いわね。 ヴェルディは何を考えているのかしら?
METでは1100回もの上演をしているからまさに日常的作品といえる。 だからモナスティルスカがとても新鮮だった。 この舞台では直球しか投げていなかったけどとても素敵だわ。 これで変化球が思い通りに投げられれば鬼に金棒かも。
*METライブビューイング2012作品

2013年1月20日日曜日

■TWICE AND ONCE

出演:川口隆夫、イド・バタシュ、アレッシオ・シルヴェストリン
スタジオアーキタンツ、2013.1.19-20
「LILLY」を観るため出かけたが日程を間違えてしまった。 明日の上演だった。 本日分を観るしかない。 ソロが三本である。川口隆夫の「グッド・ラック」。 とても私的なパフォーマンスである。 彼の舞台は時々観ているのですんなり入っていけたが観客の中には欠伸も見受けられた。 音楽に日本語の要素が漂っているので一層私的かつ日本的に感じられた。 「川口隆夫の舞台人生」の一つらしい。
イド・バタシュの「SOLOIMPRO」。 チラシに動物性への探求とあったがまさしく動物的肉体に見えた。 観客も取り込んで大道芸のような舞台である。 だから面白い。 マスクや竹馬などの小道具や馬の鳴き声はイスラエルの世界なのか?
アレッジオ・シルヴェストリン「星座」。 なんと2台のトイピアノの演奏である。 曲は「カリヨンのための音楽」や「星座のための12のメロディ」。 仏壇の鐘も使っている! 12星座の形ごとに身体もそれ合わせる動きもする。
三作品はどれも地域と歴史が色濃くでていたように見えてしまった。

■東京ノート

作:平田オリザ,演出:多田淳之介,出演:東京デスロック
こまばアゴラ劇場,2013.1.10-20
会場で係員がマスクを勧めるの。 埃がでるからだって。 ひょっとしたら「再/生」で役者が踊ったヘナヘナダンスが又あるかもね? 場内は白い絨毯で長椅子が数台置いてあり四方上にプロジェクターで映像が映し出されている。 観客は好きなところに座るのよ。 ここで演出家が登場し壁際を勧めるけど、満員で移動ができない! 多分美術館長椅子に客が座り過ぎているから?
幕が開き客に紛れ込んでいた役者が出身地など話しながら「東京ノート」に入っていくんだけど、所々にデスロック風異化効果が入って面白い!
これはオリザの芝居をどれだけデスロックできるか? でもオリザの芝居は強い! デスロックもタジタジね。 観客が舞台を埋め尽くしてもオリザの骨格は崩れないわ。 ところでヘナヘナダンスは無かったのよ。 「東京ノート」にはピッタリな踊りだったんだけど、残念だわ。

2013年1月18日金曜日

■野田版・鼠小僧

作・演出:野田秀樹,出演:中村勘三郎,坂東三津五郎
丸の内ピカデリ,2013.1.12-18(歌舞伎座,2005.5収録)
棺桶屋から幽霊そして大岡忠相まで登場し、生死・善悪が混沌としている舞台である。 野田らしい切れのある言葉と身体でこの混沌が渦巻いている。 中村勘三郎の熱演が凄い。 前半は渦の中で漂っていたが後半は善悪に集約していく。 鼠小僧神話で江戸庶民を生き生きと蘇らせている。 中村勘三郎追悼上演の一本。
*シネマ歌舞伎第1弾作品

2013年1月15日火曜日

■仮面舞踏会

■作曲:G・ヴェルディ,指揮:F・ルイージ,演出:D・アルデン,出演:M・アルヴァレス,S・ラドヴァノフスキ,D・ホヴォロストフスキ
東劇,2013.1.12-18(MET,2012.12.8収録)
さすがヴェルディ、ドキドキしながら観たわ。 一幕の占い師、二幕の薬草取り、三幕のアンカーストレムの部屋、そして舞踏会会場へ、どの場面も緊張の連続ね。 演出家アルデンは歌唱に静寂さを求めたから緊張の度合いがより強くなったの。
主人公三人はそろそろ下り坂だけど熟年の△関係でリッチだった。 でもグスタフは「愛以外のものはすべて消えてしまえ・・」と歌っていたけど、彼は王の義務から逃れたかった。 「皇帝ティートと対照的だけど最後は許すことで王の面目を保ったのは天晴れ。
舞台装置は抽象的だけど古臭い感じがする。 それは大道具の色や照明技術に古さがあるの。 イカロスの失墜はいいけど。 むしろ声が響きすぎる構造、これが一番の問題だったかもね。 耳が痛かったからよ。
*METライブビューイング2012作品

2013年1月14日月曜日

■ゴリラと最終バス

作・演出:池亀三太,出演:ぬいぐるみハンター
下北沢・駅前劇場,2013.1.7-14
関西と関東が混ざり合っている感じの舞台にみえました。 漫才を繋ぎあわせたような流れで場面切替では踊りが入ります。 夫婦に障害持ちの兄と活発な妹の頃松一家を中心として会社や学校、隣近所の漫画から抜け出たような人達がワイワイ騒ぐストーリーです。 二時間もの長さをこれで埋めるのですからたいしたものです。
しかし最後は家族が大事だと言っているだけです。 舞台は派手ですが内向き思想を持った芝居にみえました。

2013年1月12日土曜日

■清経

出演:大槻文藏,寺澤幸祐,福王茂十郎
横浜能楽堂,2013.1.12
清経は何の為にあの世から現れたのか? 成仏はしているはずだ。 お互いの行動を非難しているが、やはり妻に会うためではないのか? はたして舞台を観てわかった。 妻に会うために現れたのではない。 これは観客に会うためである。
恋之音取の小書が入ったが、ここで清経は嫌々ながらこの世に来たことがわかる。 そして清経はこの世で観客に出会いあの世に戻っていったのである。 この作品は世阿弥の中では出来が良くない。 しかし観客に出会う為と感じる作品は珍しい。

2013年1月10日木曜日

■皇帝ティートの慈悲

■作曲:W・A・モーツァルト,指揮:H・ピケット,演出:J=P・ポネル,出演:E・ガランチャ,G・フィリアノーティ,B・フリットリ
新宿ピカデリ,2013.1.5-11(MET,2012.12.1収録)
構造は喜劇で内容は悲劇に向かうからギクシャクしているのね。 でも最後は中庸に到達。 物語がつまらない理由は二つあるわ。 皇帝ティートが最初から寛容だから、そしてセストの反乱動機がほんとうは不明だから。
それだけモーツアルトは追い詰められていたのね。 一人ひとりの人物に彼の苦しみが乗り移っているの。 でも二人のズボン役でモーツアルトの純真さを蘇らせている。 音楽も彼の人生が累積しているように聞こえる。 清楚な作品だった。
*METライブビューイング2012年作品

2013年1月7日月曜日

■GREASE

■シアターχカイ,2013.1.5-6
□Before Beginning After The END
演出:平原慎太郎,舞団:OrganWorks
時々舞台で、平原が「あの日」を話します。 ダンサーは15名も登場します。 狭いくらいです。 動きが取れません。 その為ダンサー同士の意味関係が強くなります。 平野の若さが伝染したように、短いけれど力強さと速さのある振付で動きます。 照明に暗さがあるので重たい舞台ですね。 男女の会話は聞こえません。 日常生活を解放できないで群れている感じです。
平野は最初の「挨拶」でこの作品のため正月料理も食べていないと話していました。 食べて飲まないと解放できませんね。 これで暗い舞台になったのです。
□PECUERDO
演出:カルメン・ワーナ,出演:カルメン・ワーナ,アレハンドロ・モラタ,平原慎太郎,東海林靖志,薬師寺綾
5人のダンサーが登場します。 これもストーリーがあるようですがよくわかりません。 なにか継ぎ接ぎだらけです。 でも平野と東海林のソロが入っていたのでやっと元気がでました。
モラタはなんというか身体の先端に鈍さを感じさせます。 80歳のM・カニングハムが踊っているようですね。 薬師寺は腰が引けています。 もっと背筋を伸ばさないと。 そして長髪を結わないと。 ワーナはあまり踊らなかったのでよくわかりません。 今年最初の舞台でしたがまだエンジンがかかっていない状況にみえました。