■DISK

作・演出:船岩裕太、出演:演劇集団砂地
シアタートラム、2013.1.24-27
兄と妹はこの世にいない父や母そして祖父の亡霊から逃れられない。 「母に似てきた」「父に似てきた」「祖父はこう言った」「子は鎹」・・。 これは家族探しである。 「だって家族だもの」「子が死んだ時完成する」「兄でしょ」「クローンは」「妹だから」・・。
表面は現在だが、明治大正の小説を読んでいる気分である。 真面目な芝居である。 作者は女性に恨みでもあるのか? 登場する女性たちは<意味の病>に罹っている。 逆に兄はこの病から解放されているようだ。
兄は自殺を試みる。 しかし理由がよくわからない。 薬を服用していることで観客は迷ってしまうからだ。 主人公が薬を飲むと芝居は成立しない。 そして妹は留学したことで先の病から回復したようにみえる。 よくあることだがこれでは平凡すぎる。
終幕、この二点が核心的問題を遠ざけてしまった。 ところで舞台は家具だけの部屋の中である。 観客と垂直に役者が位置して対話をする場面が多い。 このため一人は背しかみえない。 観客は一人と正面に向かい合うことである種の緊張感がでていた。