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■かもめ

■原作:A・チェーホフ,演出:レオニード・アニシモフ,出演:瀧山真太郎,朱花枷寧,小倉崇昭ほか,劇団:東京ノーヴエイ・アート ■カンフェティ・配信,2024.2.24-25 ■チェーホフは忘れた頃にやってくる。 そして人生で忘れていた事を思い出させてくれます。 当劇団を配信で観るのは2度目です。 下北沢の劇場に居るような雰囲気は伝わってくるが、しかし映像や音響の質は良くない。 暗くて狭い居間で上半身だけを映し場面ごとにフェイドイン・アウトを繰り返しダイジェスト版のように繋げていく。 余分な物・事が見えないので各々の恋愛関係がいつもより浮き出ていました。 二組の役者役と作者役が登場する劇中劇の構造が溶けていくような余韻も感じられた。 今、思い返すと舞台上では一度も氏名や渾名をいっていなかった!? あなた、お前、あいつ、大事な人、愛しい人・・・。 チェーホフの舞台で名前を言い合うと耳障りに聞こえる場合が多い。 ロシアの舞台全般に言える。 名前が無いと役者と観客の間が取り払われたような感触が得られます。 *第34回下北沢演劇祭参加作品 *「ブログ検索🔍」に入れる語句は、レオニード・アニシモフ ・・ 検索結果は12舞台 . *劇団、 https://tokyo-novyi.com/home/2024-online-seagull/

■ロメオとジュリエット

■作曲:シャルル・グノー,指揮:カルロ・リッツィ,演出:トマ・ジョリ,振付:ジョセファ・マドキ,出演:エルザ・ドライシヒ,バンジャミン・ベルネーム,ロラン・ナウリ他,演奏:パリ・オペラ座管弦楽団 ■NHK・配信,2024.2.11(パリ・オペラ座バスチーユ,2023.6.23・26収録) ■今年7月開催のパリ・オリンピック芸術監督トマ・ジョリの演出らしい。 さっそく観ることにする。 舞台は「レ・ミゼラブル」や「オペラ座の怪人」を思い出させる雰囲気を持っている。 暗くて湿気が漂う船のような形をした建物と階段、天井には虚ろなシャンデリア群、そこに屯い奇抜な衣装を纏う合唱団と舞踊団。 でも、彼らの腕や手をバタバタさせる忙しない振付が気持ちを苛立たせる。 ミュージカルオペラと言ってよい。 それも次第に落ち着いてくる。 物語展開は大胆に進み、ロメオとジュリエットに焦点が絞られてくるからよ。 どこにでもいる普通の二人にみえる。 ジュリエットが妙薬を飲む場面は彼女の覚悟が伝わってくるわね。 墓場の中も蝋燭と花で一杯。 この場面では一番厳しいバージョンを採用するの。 それはロメオが毒薬を飲んだあとジュリエットが目を覚まし、二人は愛し語り合う、「一緒に逃げよう」「二人で幸せになろう」と。 しかしロメオに毒がまわってくる・・。 ジュリエットは短剣で胸を刺しロメオを追いながら幕が下りる・・。 やはり涙を誘うわね。 舞台に多人数を乗せてもブレない強さ、展開の巧さがあった。 カーテンコールでは演出家も登場したが、セーヌ川を使ったオリンピックが今から楽しみだわ。 *NHK、 https://www.nhk.jp/p/premium/ts/MRQZZMYKMW/blog/bl/pXKpLarzZx/bp/pYOxy75zJq/

■う蝕

■作:横山拓也,演出:瀬戸山美咲,出演:坂東龍汰,近藤公園,綱啓永ほか ■シアタートラム,2024.2.10-3.3 ■ダンボールの大きな扉が三方向に開き舞台が顔を出す幕開きは衝撃でした。 音楽も激しい。 しかしその後はよく分からないまま終幕迄いってしまった。 <う蝕>という得体のしれない何物かに島が襲われたようです。 どういうわけか歯医者ばかりが登場する。 チラシをみたら「う蝕」とは虫歯のことらしい。 役者の科白・発声を含めた演技からどのような状況なのかが伝わってこない。 コントのような場面もある。 死者への弔いの言葉もあれば概念を論ずる言葉遊びも多い。 かの島から来た白衣の医者らしき者が「ここにいるべきでない人間が混ざっている」。 一人を除いて既に死んでしまっている人々なのか? 集中できない舞台です。 (抽選だった)席も良くない。 作者も演出家も何回か観ているが二人の組み合わせは初めてです。 でも今日はリズムが合わなかった。 不条理劇は観る側の心身の状態も大事です。 こういうことはたまにある。 *劇場、 https://setagaya-pt.jp/stage/2132/

■アマゾンのフロレンシア

■作曲:ダニエル・カターン,指揮:ヤニック・ネゼ=セガン,演出:メアリー・ジマーマン,出演:アイリーン・ペレス,マッティア・オリヴィエリ,ガブリエラ・レイエス他 ■東劇,2024.2.2-8(メトロポリタン歌劇場,2023.12.9収録) ■・・フロレンシアはマナウス公演に出演する為、かつ行方不明の蝶ハンターである恋人を探す為にアマゾンの船旅に出る。 途中、客船エル・ドラード号は嵐で難破するがアマゾネスに助けられる。 しかし目的地はコレラが発生して上陸できない。 そこで彼女は一人ジャングルの奥へ入っていく・・。 旅人たちの人生への倦怠感、愛の行き違いなどなど、日常の些細な淀みが淡々と歌われていくの。 船のように流れゆく演奏で久しぶりに癒されていくのを感じる。 そこに生息する鮮採な魚や鳥、獣が目を楽しませてくれる。 終幕、フロレンシアは恋人が近くにいることを察知する。 「生きていようが死んでいようが、・・あなたを感じる」「あなたが私の歌を聴いているのがわかる・・」。 ・・。 「・・人生を整調してくれる舞台」(演出家インタビュー)の通り、これは<セラピーオペラ>と言ってよい。 フロレンシアが蝶になってジャングルに消えていく姿をみて何とも言えない安らぎが訪れる。 不思議な生と死に挟まれた平凡な日常を肯定できるようになるの。 G・マルケスに触発された作品らしい。 スペイン語オペラは初めてかな? 「・・ラテンアメリカのスパイスが感じられる」(指揮者インタビュー)。 「メキシコ万歳」のもう一つの顔が現れている。 ところで英語字幕が舞台背景に写されていたが観客にとって見易いはず。 この方法は演出家の得意とするところね。 舞台上に字幕を写すのを日本でも流行らせて欲しい。 *「ブログ検索🔍」に入れる語句は、メアリー・ジマーマン ・・ 検索結果は3舞台 . *METライブビューイング2023シーズン作品 *MET、 https://www.shochiku.co.jp/met/program/5459/