■ロメオとジュリエット

■作曲:シャルル・グノー,指揮:カルロ・リッツィ,演出:トマ・ジョリ,振付:ジョセファ・マドキ,出演:エルザ・ドライシヒ,バンジャミン・ベルネーム,ロラン・ナウリ他,演奏:パリ・オペラ座管弦楽団
■NHK・配信,2024.2.11(パリ・オペラ座バスチーユ,2023.6.23・26収録)
■今年7月開催のパリ・オリンピック芸術監督トマ・ジョリの演出らしい。 さっそく観ることにする。
舞台は「レ・ミゼラブル」や「オペラ座の怪人」を思い出させる雰囲気を持っている。 暗くて湿気が漂う船のような形をした建物と階段、天井には虚ろなシャンデリア群、そこに屯い奇抜な衣装を纏う合唱団と舞踊団。 でも、彼らの腕や手をバタバタさせる忙しない振付が気持ちを苛立たせる。 ミュージカルオペラと言ってよい。
それも次第に落ち着いてくる。 物語展開は大胆に進み、ロメオとジュリエットに焦点が絞られてくるからよ。 どこにでもいる普通の二人にみえる。 ジュリエットが妙薬を飲む場面は彼女の覚悟が伝わってくるわね。
墓場の中も蝋燭と花で一杯。 この場面では一番厳しいバージョンを採用するの。 それはロメオが毒薬を飲んだあとジュリエットが目を覚まし、二人は愛し語り合う、「一緒に逃げよう」「二人で幸せになろう」と。 しかしロメオに毒がまわってくる・・。 ジュリエットは短剣で胸を刺しロメオを追いながら幕が下りる・・。 やはり涙を誘うわね。
舞台に多人数を乗せてもブレない強さ、展開の巧さがあった。 カーテンコールでは演出家も登場したが、セーヌ川を使ったオリンピックが今から楽しみだわ。