■能楽堂三月「横座」「祇王」
*国立能楽堂三月普及公演の二舞台□を観る.
□狂言・和泉流・横座■出演:三宅右矩,高澤祐介,金田弘明
□能・金剛流・祇王■出演:今井清隆,金剛龍謹,舘田善博ほか
■国立能楽堂,2025.3.14
■まず、プレトーク「祇王と<女どうしの絆(シスターフッド)>」(田中貴子解説)を聴く。
「<祇王>は上演機会が少なく金剛流での公演は特に珍しいこと」「出典は<平家物語>だが能作者は不明」「相舞が見せどころであること」「作品にはシスターフッドの要素が濃いこと」などが紹介された。
また、白拍子についても詳しい説明があった。 今様は歌(謡)が中心で、白拍子は舞を主にしながら歌うこと、遊女や傀儡は座って芸をするのに対し、白拍子は立って芸をすること、当時は女性が立つのははしたないとされたこと、白拍子は芸能者として差別されず、自宅を拠点に営業し、母から娘へと芸を継ぐ女系の職能集団であったことなど、白拍子の社会的背景が語られた。 また世阿弥の時代には白拍子は衰えて曲舞になった。 このことから今日の舞台は曲舞と言える。
またプログラムに掲載された「能<祇王>の背景ー白拍子と曲舞」(兵藤裕樹己著)も併せて読む。 導師と助音、座頭(検校)と弟子、瞽女とツレ、そして能のシテとワキ(ツレ)など、芸能者の「二人づれ」の関係性が論じられており、そこからシスターフッドへと繋がる視点がみえてくる。
能「祇王(ぎおう)」の上演時間は60分と比較的短い。 祇王と仏御前が清盛のもとに参上し、二人の相舞、絆の誓い、そし仏御前の破の舞で終わる構成であり、やはり相舞が最大の見どころだろう。 面はシテが「小面」、ツレが「孫次郎(金剛景頼作)」。
プレトークとプログラム記事、そして舞台の三点が揃い、作品世界を深く味合うことができた。
狂言「横座」は、行方不明になった牛の持ち主をどのように決めるかという筋立てで、最期に巧みなオチがつく。 能とは対照的な軽妙さで楽しめた。