■ROOM Rhapsody in White
■作・演出:佐藤信,出演:服部吉次,桐谷夏子,内沢雅彦,龍昇ほか,劇団クロテント
■スズナリ,2026.3.18-22
■主人公の潜水夫が就職先へ赴くものの、就業書類の不備によって手続きが滞り、待ち続けることになる、そんな物語である。
舞台は白一色で統一され、そこに白い机と椅子が置いてあるだけだ。 チラシには「・・待ち続けている、あの部屋で」とあったが、当初は不条理劇「ゴドーを待ちながら」の系譜かと思われた。 暫くして、役所の業務が迷宮化していることが、主人公を待たせる原因であるとわかり、むしろ「カフカの城」に近い世界観が立ち上がってくる。 実際、役人と住民の滑稽で無意味にもみえる遣り取りが延々と続いていく。
科白は詩的で断片的なため、ストーリーは殆ど存在しない。 昭和を思わせる唱歌や踊り、さらには歌謡曲「帰り船」まで歌われる一方で、サイレンや砲弾の破裂音も響く。 役者たちの淡々とした演技が詩的な台詞と調和し、舞台全体に独特のリズムを生み出していた。 刺激的な場面もあっが、どこか落ち着く舞台だった。
場内で配られた演出家の「稽古場ノート」には、千田是也から「信は物語が書けないからな」というエピソードが記されていた。 今日の舞台を観て、この指摘が示すところの<一つの完成形>に佐藤信は辿り着いたのではないのか、そんな思いが胸に浮かんだ。
*劇団黒テント第80回公演
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