■その妹

■作:武者小路実篤、演出:河原雅彦、出演:シス・カンパニー他
■シアタートラム、2011.12.2-26
■http://stage.corich.jp/img_stage/l/stage23810_1.jpg?1409560120
■力強い妹が印象に残った。 久保田万太郎は「妹の身売りの芝居と見てはいけない」と言っているようだが、妹は資本主義さえもこえていく超商品の凄さがある。 それに比して兄や西島はカネがなければ何も出来ない。 彼らはニートの祖先だ。
セリフの速さ、兄の小刻みな動き、椅子取りゲームのように対話を進める役者たち。 とてもリズミカルな舞台である。 良し悪しは別として、心の有り様をセリフで反復する方法をとるので流れがブレない。 八畳に廊下を巻いた三方向通路も形がいい。
相川はそんなに悪い奴なのか? もはや善悪区別のつかない時代に入ってしまった。 後半は少し混乱したが、市川亀治郎は役以上に押さえているようにみえた。 妹と蒼井を庇うためもあったが、このでしゃばらないおかげで大正と現代が豊かに結びついた。