■能楽堂十一月「太子手鉾」「弱法師」

*国立能楽堂十一月企画公演の下記□2作品を観る。
□狂言・和泉流・太子手鉾(たいしのてぼこ)■出演:野村又三郎,野村信朗
□復曲能・世阿弥自筆本による・弱法師■出演:大槻文蔵,大槻裕一,福王茂十郎ほか
■国立能楽堂,2022.11.30
■「太子手鉾」は聖徳太子が使った鉾を物部守屋に掛けて漏り屋(雨漏り屋根)の意味に使った冗談話。
「弱法師」は四天王寺の住職、その従僧と能力、高安通俊そして俊徳丸の妻も登場して賑やかな舞台である。 幕が開き、妻の肩に手をのせて橋掛かりを歩く俊徳丸は演劇的な姿にみえた。 舞踏的な「蝉丸」と比較をしてしまった。 今日の舞台は現実的な演出である。 そのぶん劇的さが無い。
聖徳太子建立の由来、俊徳丸の舞、<みえてくる>西の海の風景、雑踏のなかで転んでしまう姿。 これらは淡々と舞そして語られる。 緻密に組み立てられた構造から物語がリズム良く流れ出てくる充実感は十二分にあった。 黒長髪で「弱法師」の面を付けた俊徳丸は何とも言えない若者の表情が漂う。 ツレは「小面」。
本日は満席、その6割は女性客だ、いつもは4割くらいだが。 着物姿も30人はいただろう、いつもは5人くらいだが。 ところで地謡前の通俊野村萬斎は目が据わっていないようにみえたが。