■能楽堂十二月「内沙汰」「竹雪」

*国立能楽堂十二月普及公演の□2作品を観る。
□狂言・和泉流・内沙汰(うちさた)■出演:佐藤友彦,井上松次郎
□能・宝生流・竹雪(たけのゆき)■出演:武田孝史,大坪海音,水上優ほか
■国立能楽堂,2022.12.10
■「内沙汰」は主人公が関わる揉め事を裁判所に提訴しようとする。 そこで妻から裁判の練習を勧められる・・、しかし裁判官を演じた妻にコテンコテンに負かされて夫婦仲に亀裂が入ってしまう。 劇中劇の面白さがある。
「竹雪」のプレトーク「家族再生の物語」(小田幸子解説)を聞く。 ・・「金春禅竹の資料から推測して1450年頃の作品だろう」「幽玄能が確立した時期の為その対極にある当作品のような人情物には禅竹も警戒していたはず」「それでも継母にいじめられる子供と実母の再会は人気があった」「現代にも通じる母子の姿がある」「実母は継母を、姉は父を批判し最後に父が詫びる」「当時の家族観が垣間見える」などなど・・。
息子の死を告げられ現場に向かう実母と姉、笠を被り白の道行姿の二人が橋掛かりを歩く姿に圧倒される。 物語がぎゅっと凝縮されているからだ。 面は母が「曲見(しゃくみ)」姉は「小面」。 演者が遠い世界から全人生を背負ってやってくる姿を見事に捉える「橋掛り」は凄い。 先日の「弱法師」もそうだった。 この姿に会うため能楽堂に通うのだ。