■堀のなかのジュリアス・シーザー

監督:パオロ&ヴィットリオ・タヴィアーニ兄弟
役者が刑務所で「ジュリアス・シーザー」の劇中劇を演じているのかとおもって観ていたが、どうも本物の囚人のようだ。 しかも刑務所内での練習は上手い。 舞台場面もあるが76分だからダイジェスト版である。 むしろ記録映画に近い。
囚人が「ガリア戦記」を読んでいる場面があった。 この本はイタリア(フランス?)の高校では必読書だと聞いたことがある。 彼らのシェイクスピアから離れたシーザー感というのが日本人として想像できない。 キリストは未だいない時代である。
ベルリン映画祭グランプリの作品だが、本物の囚人を役者にしたことで受賞できたのだろう。 裏のゴタゴタを一切見せないでここまで仕上げたのが理由だとおもう。 しかし総てが中途半端な作品である。 記録映画に徹した方が一層面白かったはずだ。