■能楽堂十月「菊の花」「檜垣」

*国立能楽堂十月特別企画公演の□2舞台を観る.
□狂言・和泉流・菊の花■出演:野村萬,野村万之丞
□能・金剛流・檜垣(ひがき)■出演:金剛永謹,宝生欣哉,野村万蔵ほか
■国立能楽堂,2023.10.26
■「菊の花」は、太郎冠者がこっそり京見物へ行ってしまうが土産の旅話で主人に勘弁してもらう「抜参り物」である。 盗んできたのが緒太の金剛(草履)だったのは頂けない。 しかしなぜ上臈(じょうろう、貴婦人)は太郎冠者を誘ったのだろうか?
「檜垣」の上演時間は二時間を越えている。 詞章を読む限りそこまで長くないのだが、観ていて理由が分かった。 それはシテの前後登場場面が長いからだ。 序の舞も長い。 でも気にならないのが能の良さである。 今日は脇正面の前席で観たが橋掛かりの姿をじっくり観るにはこの席はよくない。 シテ面は檜垣姥から小町老女に変わる。 この変差も老女末路の姿、つまり老と霊にしっかり同期していて面白い。
笛と小鼓は物語に沿っていたが大鼓は力が入り過ぎていた。 もう少し抑えれば舞台の完成度はより高まる。 地謡は巧かった。 NHKの収録が入ったらしい。 出演者たちが裃を付けていたのはそのためかな?