■能楽堂十月「呂蓮」「呉服」

*国立能楽堂十月定例公演の□2舞台を観る.
□狂言・和泉流・呂蓮■出演:佐藤友彦,鹿島俊裕,今枝郁雄
□能・宝生流・呉服(作物出)■出演:東川光夫,小倉健太郎,則久英志ほか
■国立能楽堂,2023.10.4
■「呂蓮(ろれん)」は<この世>と<あの世>はどちらが大事か?を問う。 人はこれで悩む時がある。 出家を決意した夫だが、妻が登場した途端に悩み事を引っ込めてしまった。 凡人にとって<この世>は強すぎる。
機織りは5世紀頃に呉国から日本に伝わったらしい。 そのときに渡来した縫工女(きぬぬいめ)の呉服織(くれはどり)と漢服織(あやはどり)の二人を主人公にした作品が「呉服(くれは)」である。
この作品はデュオの効果が出ている。 二人が登場し橋掛かりで向き合ってじっとしている場面はなかなかの感動モノだ。 二人の立ち位置が想像できる。 そして中ノ舞も面白い、ちょっと固さはあったが。 面はシテが泣増(なきぞう)ツレが小面(こおもて)。 登場した時はどちらがシテか分からなかった。 物語が進むにつれて面の違いに納得、それは泣増には遠い故郷への複雑な思いが表れているから、かもしれない。
十月に入り謡も囃子も裃を外して登場、公演もダブルビルに戻ったので集中力を落とさず観ることができた。