■終わりよければすべてよし

■作:W・シェイクスピア,翻訳:小田島雄志,演出:鵜山仁,出演:岡本健一,浦井健治,中嶋明子ほか
■新国立劇場・中劇場,2023.10.18-11.18
■ただっぴろい中劇場が苦にならない。 周囲に雑草を植えただけなのに、です。 二つのベンチと大きな布がシーンを繋げていく。 なにも無い空間でも物語密度が保たれています。
そこに響く科白は静かさと伴にシェイクスピアが持つリズムを思い起こさせてくれる。 満ち足りるように物語に入っていけました、でも際どい処女の話で始まるのですが。 ヘレナの企みは支離滅裂にみえるが聡明叡智の極みです。 彼女の行動がタイトルを導いているのですね。
登場人物と俳優を分けて観る余裕がこの舞台にはある。 この余裕はどこからきているのか? フランス王が岡本健一とは、初めは分からなかった。 それだけ巧い。 ペーローレスがそんなに悪党なのか? 結局は悪党にさせられてしまった?ようにみえた。 ところでバートラムは異星人ですね。 浦井健治の発声や動きは他役者とは違う。 早口で忙しない。 シェイクスピア空間に裂け目を入れている。 演出でしょうか?
カンパニーという言葉があったので実体を探したが見つからなかった。 当劇場のシェイクスピア歴史劇シリーズに携わったスタッフ・キャストをカンパニーと言っているらしい(?) 今回は歴史劇と違って身構えないでみることができました。 これが余裕の理由かもしれない。
*NNTTドラマ2023シーズン作品