■能楽堂九月「芭蕉」「文蔵」「望月」

*国立能楽堂九月公演の□3舞台を観る.
□能・観世流・芭蕉■出演:観世恭秀,宝生常三,茂山七五三ほか
□狂言・大蔵流・文蔵■出演:茂山千五郎,茂山茂
□能・宝生流・望月■出演:武田孝史,野月聡,福王茂十郎ほか
■国立能楽堂,2023.9.30
■僧が法華経薬草喩品(やくそうゆぼん)を読誦し、「芭蕉」の精と共に草木成仏・女人成仏を論じ諸法実相へ導かれていく。 作者金春禅竹の思想が窺える。 これはSDGsやLGBTQなどの現代にも繋がりそうだ。 興味を持って観たが舞台はしかし応えてくれない。 シテの声が細く動きも鈍い。 これは演出なのか? 儚い芭蕉葉らしく描いたのか? おおらかな自然崇拝の世界へ浸かることができなかった。 期待を持ち過ぎたかな。
「文蔵」は1180年石橋山での源平合戦が語られる。 武将たちの衣服や装飾品から姿・形がありありとみえてくる。 当時の美術品を観賞しているようだ。 美術館とのコラボでも似合う。
「望月」は武士の敵討ちのためか歯切れが良い。 小方花若の鞨鼓(かっこ)、友房の獅子舞など芸尽くしが続く。 役者たちの途中の退場も巧い。 気持ちよい観後感だ。
*開場40周年記念公演