■金夢島

■演出:アリアーヌ・ムヌーシュキン,出演:太陽劇団テアトル・デュ・ソレイユ
■東京芸術劇場・プレイハウス,2023.10.20-26
■役者の多くは仮面をつけたような厚化粧で日本人を演じ始める。 昭和時代に戻ったような着物姿でぎこちなく動き回る。 人形のようにもみえる。 ここに異様な風景が出現します。 そして道具類はすべて手製で次から次へと持ち出してくる。 何が出るのか?ドキドキしますね。
粗筋があるようです。 死が近い老婆の夢の中で、・・日本の金夢島(佐渡島?)で演劇祭が始まろうとしている。 しかし祭りを支援する市長と島にカジノを建てようとする反市長派が対立してしまう・・。 老婆の夢で、島民に事件が起きつつ、祭りで芝居が演じられる。 この劇中劇中劇という複雑構造が何度も繰り返されるとは驚きです。
香港や中東・ブラジルなど世界中からやってきた劇団の芝居はハチャメチャだが意味深ですね。 全裸劇団も登場する。 特に政治的アジテーションは現実的です。 香港やウクライナ、イスラエルやハマスも話題に上げられ、後半は詩的な科白も加わっていく。 歌唱も入り感動的です。
祭りでは劇団ごとに舞台を作り替えていき、その間にカジノ騒動が割って入る。 まるで紙芝居のようです。 銭湯で湯に浸かったり、猿や鶴に変身し駱駝が歩きまわる。 自動車や船はもちろんヘリコプターまで飛び回る。 能舞台(風)もあり謡や日本舞踊などの異化効果は抜群です。
役者は30人くらいですか? 作品の隅々までに己の身体を出し切っているようにみえる。 彼らが動き回る舞台裏まで想像できます。 演劇の醍醐味を十二分に味わいました。
*東京芸術祭2023作品