■ダークマスターVR

■原作:狩撫麻礼,演出:タニノクロウ,出演:FOペレイラ宏一朗,金子清文,日高ボブ美,庭劇団ペニノ
■東京芸術劇場.シアターイースト,2020.10.9-18
■ゴーグルを付けて観る作品が多くなった。 (ゴーグルを付け映像内の主人公となった私が)下町の洋食屋に入る場面から始まる・・。
・・(私は)食堂主人にコロッケ定食を注文したらしい。 主人は調理した料理をカウンターに置くと私は(内なる身体の手が伸びて)勝手に食べ始める。 突飛だが、彼は私に店を継いで欲しいと言い出す。 私は了解したらしい。 主人はレシピをそっと教えるため私の耳に小さな通信用スピーカを挿入する。
この方法をスタッフは議論したと思う。 私の声をどうするか?幾つかの案があるからだ。 以後、私は食堂主人からの声を心の声として聞くことになる。 つまり私の身体は食堂主人に乗っ取られたともいえる。
私は食堂店員として客に料理を造り続ける・・。 店は繁盛したらしく気が付くと目の前には札束が置いてある。 酔いにかまけて私はデリヘルを呼び女と束の間を楽しむ・・。 そこで映像が終わる。
いやー、楽しいが居心地の悪い夢を見ていたようだ。 特に食堂主人が顔を近づけてくる場面、デリヘル嬢が顔を近づけてくる場面は思わずのけ反ってしまった。 原作に忠実だけあって昭和時代の雰囲気が漂っていた。 (私が)調理している場面では料理の匂いまで感じてしまったほどだ。 ゲームではよくあるが、ヴァーチャル内の私の位置づけをどこに据えるかで多様に展開できる。 特に私の内なる声と外への声をどうするかが見せ所だろう。
*東京芸術祭2020芸劇オータムセレクション
*庭劇団ペニノ創立20周年