■リチャード二世

 ■作:W.シェイクスピア,訳:小田島雄志,演出:鵜山仁,出演:岡本健一,浦井健治,中嶋朋子ほか
■新国立劇場.中劇場,2020.10.2-25
■古びた簀子の舞台は「ヘンリー四世」「ヘンリー五世」で木材を積み上げた痕跡にみえます。 役者の衣装、手に持つ旗にもそれが甦る。 時代が遡っていくにも係わらず荒涼になった未来の風景が現れる。 舞台で演じられた順序がそのまま物語の順序になるのがシリーズの持つ面白さでしょう。
タイトルロールの通り主役の為の科白と演技で一杯ですね。 リチャード役岡本健一もこれに答えてくれた。 声は響いていたしリズムも良い。 対するボリングブルックはこれに鋭く噛み合ってほしかった。 台詞の巧さで決まる作品ですが、リチャードの独白と他役者たち巷の会話がしっくり溶け合わなかった。 それでも科白に酔えた場面は多々ある。 シェイクスピアは振幅や波形が違っても波長を合わせると酔えるところがいいですね。 
*NNTTドラマ2020シーズン作品