■偽義経冥界歌 にせよしつねめいかいにうたう

■作:中島かずき,演出:いのうえひでのり,出演:生田斗真,りょう,中山優馬ほか,劇団☆新感線
■東劇,2020.10.24-(2020年制作)
■「けむりの軍団」はタイトルも内容もモヤモヤした出来だったが、今回はビビッと感じるものがあったので即観ることにした。 はたしてタイトルを裏切らない面白さだった。
義経そして偽義経が早々に死んでしまうという期待を裏切る驚きが前半にあり、後半には死者として甦りケジメをつけてから成仏するという驚きの死と再生の物語が置かれている。
「源義経黄金伝説」「中尊寺藤原4代ミイラ」は勿論のこと、秀衡の思想と行動は「ハムレット」の亡霊や悪鬼羅刹に変身していく「魔界転生」に通ずる。 大陸の王となる「義経成吉思汗伝説」、弁慶と伴にする僧「常陸坊海尊不死伝説」への想像も止まない。 舞台を飛び越える楽しさが溢れている。
歌が冥界の扉を開ける鍵になるのがとてもいい。 それにしても生き返った死者たちに勢いがあり過ぎる。 死と生の境界線から大きく離れると単なるゾンビ映画になってしまうからだ。 しかし舞台の躍動感でこれを跳ね除けるのが新感線の力だろう。
国衡の積極思考には枯れた雰囲気が入り混じり味が出ていた。 黄泉津方や北条政子の女の強さが骨格を支えていた。 そして遮那王牛若役早乙女友貴の殺陣はスピード感があり神経組織を喜ばせてくれた。 久しぶりに楽しめた。
*ゲキXシネ2020年作品
*「ブログ検索」に入れる語句は、 いのうえひでのり