■月光露針路日本 つきあかりめざすふるさと

■原作:みなもと太郎,演出:三谷幸喜,出演:松本幸四郎,市川猿之助,片岡愛之助ほか
■新宿ピカデリー,2020.10.2-(歌舞伎座,2019.6収録)
■三谷幸喜演出の舞台は初めて観るの。 映画は「清須会議」くらいかな? 好みが違う演出家とみていたから。 でも新聞や雑誌に載る彼のエッセイやインタビューは欠かさず読んでいたわよ。
舞台はシラケが入り混じる雰囲気から始まった。 「日本に帰りたい」の声が初めから強過ぎるからだと思う。 でもアムチトカ島を脱出してからエンジンがかかってきたようね。 帰郷途中で死んでいく仲間も次々と現れるし・・。 博物学者ラックスマンが登場したときは三谷幸喜だと勘違いしちゃった。 顔かたちや眼鏡が似てるからよ、八嶋智人だと後で知ったけど。 そして遥かサンクトベテルブルまで行きエカテリーナ(市川猿之助)に謁見とは驚き!ここは一番の見せ場ね。 終幕近くの船頭光太夫(松本幸四郎)と庄蔵(市川猿之助)の別れは心に響いたわよ。
それにしても「これは歌舞伎でも映画でも漫画でもない」と演出家が言っているように、どのジャンルにも属さない、掴みどころのない舞台に感じられた。 漫画を原作にしていることもある。 それより歌舞伎自身が変化しているからよ。 歌舞伎ではない生舞台を観ないと演出家三谷幸喜の姿は見えない。
*原作は歴史ギャグ漫画「風雲児たち」
*シネマ歌舞伎第36弾