■All My Sons

 ■作:アーサー・ミラー,翻訳.演出:詩森ろば,出演:神野三鈴,大谷亮介,田島亮,瀬戸さおり他,劇団:serial number
■シアタートラム,2020.10.1-10
■劇場に活気が戻ってきて嬉しい。 しかし前後左右が空席のため満席だが100人位の客しか入っていない。 ・・ケラー家の自宅がみすぼらしく建っているが、2階の一部が火事跡のように削ぎ落ちている。 そして庭には道路のような滑走路のような灰色の道が延びている・・。
この作品をみるのは2度目である*1。 舞台が進むごとに記憶が追いかけてくる。 それにしても科白量が多い、特に後半は。 英語版だと聞き逃しや字幕の短さから科白量が減ってしまう。 この為か今回はケラー父母と息子クリスの性格がとても粘っこく感じてしまった。 戯曲は読んでいないが翻訳が修飾過多にもみえる。 いや、この舞台がアーサー・ミラーに近いのだろう。 でないと粘り気のある「セールスマンの死」に繋がっていかない。
それにしても家族3人それぞれの行動の納得感、特に充実感が終幕になって少し欠けたように感じる。 母の信じる深さ、父の行動の迷い、クリスの正義感などの科白が互いに微妙に馴染んでいかない。 これもミラーに近づいているのか? ところで近所の子供が登場したが父との遣り取りに思わず微笑んでしまった。
シェイクスピアの舞台は作者のことを考えず自由に観てしまうがミラーの観劇数はずっと少ない。 これで翻訳や演出や役者たちと作者の関係を考えてしまうのだろう。
*1、「みんな我が子」(演出ジェレミー・ヘレン,劇団:NTナショナル・シアター)
*「ブログ検索」に入れる語句は、 詩森ろば