2019年10月6日日曜日

■みんな我が子 All My Sons

■作:アーサー.ミラー,演出:ジェレミー.ヘレン,出演:サリー.フィールド,ビル.プルマン他
■TOHOシネマズ日本橋,2019.10.4-10(オールド.ヴィック劇場,2019.5.4収録)
■科白を聞き逃すまいと画面に釘付けになってしまった。 粗筋を知らないので猶更だ。 (米国からみた)太平洋戦争が物語に蠢いている。 戦争が残した傷跡が家族を締め付けていく。
先日「七つの会議」(監督福澤克雄、主演野村萬斎)を観たのだが、ネジ不良の隠蔽がもとで社員が右往左往する話だ。 野村萬斎がサラリーマンには有り得ない支離滅裂な行動で解決していく面白い映画だった。 ・・ぅぅ、話が逸れそうだ。
主人公ジョー・ケラーは戦闘機に使うシリンダー不良を隠蔽していたのだ。 裁判は勝訴したらしい。 「(戦争中の行為を言うのなら))国民の半分は刑務所に入らなければならない」。 父親ジョーは家族の前でこう言わざるを得ない。 彼の科白には「正義」や「愛国」を取り払った米国資本主義の原点がある。 戦争はビジネスである。
それは息子クリスにも窺える。 しかしピューリタンの清潔さである隣人への<愛>を武器に父と対決する。 (父の不正は)戦死した人に対して申し訳ないと彼は言う。 父の会社で成り立ってきたクリスの生活はまさに戦後米国中産階級の表裏となっている。
この舞台は父子二人が骨格を作り二人の女性が肉付けしている。 女性とはもう一人の息子ラリーが戦場から戻ってくるのを今も待ち続けている母ケイトと、ラリーの元恋人でクリスと結婚しようとしている娘アンだ。 二人はとても賢い。 自分自身が何者であるのかを知っている。 しかし父子が壊れていくのを母とアンは助けることができない。 それは母の家族への硬直した愛の為だ。 アンはケイトに向かって叫ぶ。 「(あなたから)ラリーは死んだとクリスに言って!」。 でもラリーからの手紙は突飛すぎる。 しかも兄弟の似ている罪悪感に驚く。
終幕の悲劇を乗り越えてクリスとアンが結婚できれば再び未来に希望がもてる作品にみえた。 家族劇で興奮したのは久しぶりだ。 家族を構成している物心両面が時代の核心と繋がっていたからだろう。 それは現代ともつながっている。 母役サリー・フィールドの演技に圧倒された。
*NTLナショナル・シアター・ライヴ作品
*映画comサイト、https://eiga.com/movie/90572/
*「このブログを検索」に入れる語句は、 アーサー・ミラー