■un

■脚本・演出:一宮周平,出演:佐藤竜,辻本耕志,中前夏来ほか,劇団:PANCETTAパンチェッタ
■シアタートラム,2020.11.19-22
■食事と排泄がなくなった未来を描いています。 でも食事も排泄もしたい! そういう人々が登場する。 でもこの行為には罰則がともなうらしい。 だから隠れてする・・。
登場人物の一人が焼いてきたナンを、周囲に憚りながら、皆が貪り食う。 「un」はunkoのウンですか? ナンにもかけているのかなぁ? ナンを見たときウンコ塗れの下着かと勘違いしました、ウハッ!
綺麗な話にならないのは分かりますが、それよりもストーリーが盛り上がらない。 パンを作ったが膨らまないという感じです。 途中のダンスにも乗れない。 それは・・
長い台詞が中途半端な文語調だからでしょう。 哲学書の一部を抜粋してきたように聞こえる。 特に存在・価値・行為など硬い単語が耳に引っかかりました。
もう一つ、人物たちの縮こまってしまう台詞が多い。 罰則はわかりますが家族の縛りが気になりました。 「母さんが言っていたから・・」。 「両親がやってはいけないと言っていたから・・」。 舞台の流れが切れてしまう。 つまらない動機です。 縛りから解放されていた姉の直感的行動は冴えていましたが。
それよりも排泄や食事は舞台に馴染まない。 生身の身体が演ずるので気を抜くと日常に戻ってしまう。 この挑戦に迷いがあった(ようにみえる)。 以上が膨らまなかった3点です。 舞台美術と照明は逆にどっしりしていてストーリーとの折り合いに苦労しました。  
*第6回世田谷区芸術アワード”飛翔”舞台芸術部門受賞記念公演
*シアタートラムネクスト・ジェネレーションvol.13