■少女と悪魔と水車小屋

■原作:グリム兄弟,作:オリヴィエ.ピィ,演出:宮城聰,出演:鈴木真理子,武石守正,大内米治,貴島豪,大道無門優也,永井健二,若宮洋市,劇団:SPAC
■静岡芸術劇場,2020.1.18-2.2
■舞台はシンプルな構成で白一色の紙(?)でできている。 白衣装の役者の動きや科白もこの趣向に沿っています。 それは人形のような動きと喋り方をする。 単純化しているのに物語の要は外していません。 英語字幕はもっと約している。 考え抜かれた詩的世界が表れていますね。
少女が悪魔に両手を斬られてしまう。 貧乏から抜け出すのに父が悪魔と契約を結んだ為です。 娘は放浪の末、王様と出会い彼の子供を産む。 しかし悪魔は娘(王妃)と王の間に入り再び混乱させてしまう。 王妃は森へ逃げ子供と静かな生活を送ることになる。 戦場から戻った王は事の始終を知り王妃を探しに出ます。 そして二人は目出度く再会し愛を確認する。 このようなストーリーです。
悪魔は黒尽くめの衣装で登場する。 その悪魔に娘が両手を斬られる残酷さがこの作品の一つの見所ですね。 「本当は恐ろしいグリム童話」は本当だった。 しかし舞台では娘の両手が森の生活で新しく生えてくる! 「奇跡だ!」、王は叫ぶ。 妃は「・・でも、春になると森じゅうで新しい芽が生えるのです」。 王は喜び答える、「(そうだ、この世界のすべてが)奇跡だったのだ。 そのことに驚き続けよう」と。
此の世に生まれてきたのは奇跡といってよい。 この宇宙に生まれる確率は殆ど0だったにもかかわらずです。 生きているだけで素晴らしい。 王様のように奇跡に驚き続けます。
*原作はグリム童話「手なしむすめ」
*SPAC2019シーズン作品
*劇場サイト、https://spac.or.jp/au2019-sp2020/grimm_2019