■亡霊たち、再び立ち現れるもの

■原作:ヘンリック.イプセン,翻訳・演出:毛利三彌,出演:久保庭尚子,西山聖了,中山一朗,高山春夫,藤井由紀,劇団:CAPI
■こまばアゴラ劇場,2020.2.20-3.1
■幽霊だとヒュードロドロになってしまう。 亡霊のほうが合いそうだ。 舞台を観ていたらストーリーも追うように思い出してきた。 奇妙な感覚だ。 気にかかったことをまとめると・・。
・母ヘレーネの息子オスヴァルへの愛がこんなにも盲目的だったのか!? ここに彼女の亡霊の源泉があるのかもしれない。
・オスヴァルを簡単に捨てるレギーネの竹を割ったような性格に戸惑ってしまった。 二人は外の世界へ行こうとしていた同志だ。 外れたオスヴァルはもはや不要になったのか!?
・オスヴァルが終幕に母ヘレーネと駆け引きをするのは芝居が過ぎる。 母と子の対話で腑に落ちない場面が幾つかあった。
・孤児院の火災原因は大工エングストランの煙草ではないのか?  エングストランの態度と科白の裏側はそう言っていた。 牧師のマンデルスの態度も平凡すぎる。
・・などなど。
隙のない舞台だ。 科白の空間(構造)と時間は淀んでいない。 役者もしっかりしている。 <大人>の演劇と言ってよい。 感動もそれに従った。 内に込めたオトナの感動が湧き起こってきた。
それより亡霊が今も立ち現れているのを思い出させてくれたことだろう。 しかもそれが生物学や医学に深くかかわっているのが面白い。
*CoRichサイト、https://stage.corich.jp/stage/105255
*「このブログを検索」に入れる語句は、 毛利三彌