2020年2月17日月曜日

■野兎たち

■作:ブラッド.バーチ,翻訳:常田景子,演出:マーク.ローゼンブラット,西川信廣,出演:スーザン.もも子.ヒングリー,小田豊,七瀬なつみ,サイモン.ダーウェン,アイシャ.ベニソン,田中宏樹,永川友里
■新国立劇場.小劇場,2020.2.8-16
■中村家の娘サキコが結婚のため夫になるダンと彼の母リンダを連れて英国から一時帰国する。 しかしサキコの兄が行方不明になっていた・・。
「タイタニック」や「ダイ・ハード」、ゾンビ映画が機内で話題になったがスタッフに映画好きがいるようだ。 この流れからゾンビは「バイオハザード」に違いない。
両親は行方不明の兄を世間から隠そうとしている。 事件を知られたくない。 父の昔は実業家で兄には厳しかったらしい。 母も娘の結婚式については口うるさい。 両親に戦後日本の保守的な人生観がみえる。 しかも郷土史、古城、仏壇、鮨、和菓子、神社、盆栽などが舞台に上るから尚更だ。
両親の時代錯誤が気になる。 兄の失踪理由は家族、特に父との確執に疲れてしまったのだろう。 両親から精神的に捨てられた娘をみれば分かる。 彼女はピンピン元気だ。 兄の仕事の失敗は失踪の原因とは言えない。
チラシをみると「荒涼たる曠野で孤独を生きる野兎たち・・」とあるが孤独云々というより昔からの家族問題が主題のようだ。 日英共同制作と聞いている。 日本側スタッフはチラシの状況を作りたかったが英国側に押し切られたのかもしれない。 結果として明治時代の私小説気分が漂ってしまった。 現代の孤独がテーマならこのような両親は登場し辛いし風景も似合わない。
登場人物で唯一現代人を意識させたのはダンの母リンダだ。 彼女は一人悠々の生活をしていたがダンのチョッカイで舞台に引きづり出されてしまった。 彼女の結婚観を含め現代世界への対応は的確だ。 「タイタニック」を何度も観ているのも頷ける。 主人公ローズが親の決めた結婚から逃れる話だから。
そして終幕、両親と娘それに兄嫁が鍋を囲む風景で幕が下りるのはどういうことなのだろう? 両親は兄の代わりに娘を縛り付けて家族を演じ続けていくのだろうか?
ところで字幕が役者の近くに写し出されていたが見難かった。 役者から離した方が良い。 ついでに、動き回る細長いボックス映像も雑音のようにしか見えなかった。 舞台集中の妨げになった。
*可児市文化創造センター+リーズ.プレイハウス日英共同制作公演
*劇場サイト、https://www.kpac.or.jp/nousagitachi/
*「このブログを検索」に入れる語句は、 西川信廣