■少女仮面

■作:唐十郎,演出・美術:杉原邦生,出演:若村麻由美,木崎ゆりあ,大西多摩恵ほか
■シアタートラム,2020.1.24-2.9
■観客層がばらけているのは演出家杉原邦生の賜物かな? 彼は時代劇も結構取り上げているからよ。 会場に入ると未完成な舞台が目に入る。 散らかっている道具類をかたずけながらの幕開きが面白いわね。 そこに壁が下りてきて喫茶「肉体」の店内になる・・。
舞台は春日野八千代の雪組時代と1960年代の匂いを強く繋げている。 それは満州とヒースの厳しい荒野にも広がり、離れ離れの時間と空間が一つになり立ち現れてくる。 作品のエキスを忠実に掴み表現されていたからだと思う。
そして唐十郎の濃くの有る科白が高揚するときには、あのメリー・ホプキンの歌が聴こえてくるの。 「思い出すは、あの日のこと・・」。 この芝居の総てが歌声に乗ってやって来る。
ところで腹話術師の見世物は能で言えば中入り狂言ね。 人形と肉体の不思議な関係が作品全体に滲みていく。 そして寒い国からの来訪者甘粕大尉がAMAKASUと大きく書いてある白マントで登場したのはさすが美術系演出家ね、いつもは軍服なのに。 昨年末の「少女都市からの呼び声」を遡り<少女>の故郷に遂に辿り着いた。
*劇場、https://setagaya-pt.jp/performances/shoujokamen20200102.html