■サイレンス

■原作:川端康成,作曲.台本.指揮:アレクサンドル.デスプラ,美術.照明:エリック.ソワイエ,衣装:ピエルパオロ.ピッチョーリ,台本.演出.ソルレイ,出演:ジュディット.ファー,ロマン.ボクレー,ロラン.ストケール,演奏:アンサンブル.ルシリン
■神奈川県立音楽堂,2020.1.25
■白い床に箱が数個置いてある極めてシンプルな舞台、その後ろに10人ほどの楽団員が一列に座っている。 川端康成の短編「無言」が原作よ。 作家大宮明房の娘富子がソプラノ、大宮の弟子三田がバリトン、語りの男が加わり3人で演じられていく。
静かに進行するストーリーはサスペンス性が感じられる。 音楽や歌唱がそれを印象的に強める。 原作を五感に響かせたような舞台に、忘れていた川端康成が形を変えて戻ってきたようだわ。 オペラ的演劇といえるわね。
背景の映像ではトンネルを通過する場面は良かった。 でも人間を映し出すのは強すぎて舞台の雰囲気を壊してしまった。 科白(ここでは歌唱)で十分に分かる。 それと「母の読める」場面を語りの男が台詞で押し通したのはしょうがないのかな? できれば歌唱で聴きたかった。
舞台が面白かったのでアフタトークを聞くことにする。 出席はデスプラ、ソルレイ、司会、通訳。 (括弧内は私の感想)。
デスプラ:昔は柔道や合気道、茶道をやっていた。(スゲッ!) 楽団衣装は雅楽を取り入れた。 (ほぅ!) 川端は映画も作っている、例えば「狂つた一頁」。 (この作品名が出るとはさすがデスプラ!) 武満徹がドビッシーを取り入れたように今回の作曲も意識してそうした。 (やっぱ、ドビッシーね) ロダン作品の「手」を見つめている川端の姿を覚えている。 (大宮の指の動き・・)
ソルレイ:三田は三島由紀夫ではないのか? (そう思った!?) ベッドは観客から背を向けさせた。 (これは良かった、しかも頭髪だけが)
司会:言葉は意味を持っているが一つ一つの音の集合である。 (ソシュールなど言語学との関連をトークで触れなかったのは残念!) (司会者は川端康成の熱烈ファンに見えたが途中で鎌倉文学館館長だと知る) 鎌倉にはトンネルも火葬場もある。 (鎌倉が溢れ出ていて、スゴッ!)
以上。 アーフタトークも楽しかったわよ。
*音楽堂開館65周年記念作品
*川端康成生誕120周年記念作品
*劇場サイト、https://www.kanagawa-ongakudo.com/detail?id=36015